お汁粉のこと2015年01月15日

目覚まし替わりのラジオは午前5時に点く。
今朝もその前に目が覚めて、片目でスマホの時計を確認。
まだ完全覚醒する前に両目を開けるのが勿体無いのだ。

その表示で今日が1月15日だと知り、そしてそれは祖母の逝った日だと気づく。
あれから14年か。
あの年の冬、両親と僕の三人は入院中の祖母の病院に交代で詰めていた。
僕は当時使っていたノートpcをそこに持ち込んだ。
そうだ思い出した。 それは当時大流行していたチャンドラ2と言われたThinkPad235。
画面は9インチ、CPUはPentiumの233MHz、メモリは32でOSはWindows98。
ドコモのP-inと言うPHSカードを使い、64Kでネットに繋いでいたんだ。
当時まだ黎明期だった某掲示板を眺めながら、何度あの個室で夜明けを迎えたろう。

ある日、モスバーガーで買ったお汁粉を食べていると祖母が目を開けこちらを見た。
祖母は禁飲食の状態だった。
でももう失うものは何も無いと思った僕は、スプンで上澄みをすくいその口に入れた。
祖母は飲み込んではまた口を開け、何度もそれを欲した。
そうだ、祖母は甘いものが何より好きだったんだ。

その数日後に僕は入院する事になっていた。
首に腫瘍が出来て、それが急速に大きくなっていたんだ。
切ってみないと解らないと言われていたそれは、オペ後に良性と診断された。
でもそれは後で解ったことで、あの時は手術の予定をずらす事は考えられなかった。
そして僕が手術を終えて帰宅した2週間後、もう祖母は居なかった。
献体登録していた祖母の遺体は大学医学部に引き取られたという。

それからしばらくの間、毎年1月15日には祖母を偲んでお汁粉を食べた。
父も母も、よくあの日の話をしたっけ。
最後に好物だった甘いものを食べられて、きっと婆ちゃんは喜んだろうと言った。

もう、みんな居ない
14年あれば全てが変わる。
独り残った僕はまるで墓守りのように、逝ってしまった家族の事を思い出す。
仕事帰りに、祖母に羊羹を買った。
本当はお汁粉が欲しかったけれど、売っていなかったんだ。