ジャガイモ植え2019年03月04日

南岸を抜けた低気圧の影響で冷たい雨。
昼過ぎに見た職場中庭の温度計は9度。
北風が強い。

季節は進んだり戻ったりを繰り返し、でも啓蟄まではあともう僅か。
週間予報には周期的に雨印。
しかし週の後半から気温は上がり春めいてくるようだ。
この雨と気温の上昇で、冬枯れだった地面も一気に生気を帯びてくる。
春分に向かい陽の力もいよいよ強くなるだろう。

とても久しぶりに土日を休んだ。
連休だなんてそんな贅沢して良いのかな、と一瞬思う。
そしてここしばらくの自分の生活が変だったことに気づく。
仕事中心の生活で荒んだ気持ちを少し落ち着けよう。
そうだ、畑に遊びに行こう。


3月2日、ジャガイモの植え付け。
(写真撮り忘れにて、コレは去年のもの)
玉ねぎに施肥をし、最後の白菜の収穫をする。
自宅の畑の草むしりもしたし、新たに開墾した場所にミョウガの地下茎も植えた。
キャベツも食べごろ、スナップエンドウには花が咲きノラボウも良い感じだ。
殆ど世話をしてなかった作物たちが、それでも元気に育ってくれていたことが嬉しい。

そしてロードスターにバッテリを付けエンジンも掛けた。
電動自転車のバッテリも充電した。
犬の冬毛も抜け始めた。
春だ。
外に遊びに行こう。

と言っても次の休みは金曜か。
晴れたらどこへ行こうかな。






御岳山2019年03月08日

バッテリを外して冬眠させていたロードスターのエンジンを掛けた。
久しぶりの平日休みだし、天気も良い。
どこか山の方にでも散歩に行こうか、とMを乗せ西へ向かう。


御岳山は東京西部にある千メートル弱の山で、山岳信仰、狼信仰の山として有名だ。
頂上の武蔵御岳神社、その周辺にある宿坊、御師と呼ばれる神社関係者の家。
その集落が山の中に有って、ちょっと面白い場所なんだ。

歩いても登れるけれど、今回は登山鉄道で。
乗れるかなと少し不安も有ったけれど、車内はガラガラで快適。
急こう配で有名なケーブルカーを楽しんだ。


まだ寒い山道に、ロウバイ(蝋梅)が群生し咲いていた。
光に透かすと蝋細工のように見えるからロウバイ。
今まで知らなかったのだけれど、この花、とても良い香りがするんだね。
当日は冷たい北風の日だったけれど、南斜面は平和そのもの。
ロウバイの香り漂う陽だまりで、しばらく休んだ。


神社が近くなると、古い宿坊が増えてくる。
日本狼を祀る御岳神社は畑を荒らす動物除けとして農家の信仰を集めた。
だから農閑期には神社詣での農家の人たちで宿坊も賑わうらしい。


これが御岳神社の「お犬様」
これは大口真神という狼の神だ。
敷地内にはたくさんの狛犬(ここでは狼)を見ることが出来る。

ここ奥多摩から秩父へかけて、狼の狛犬が見られる。
七つ石神社、三峯神社、宝登山神社・・
日本武尊の神話に関係する狼信仰らしいけれど、よく解らない。
いつか調べてみたい。


14時、下山。
腹が減った。
もうずいぶん前、Mの娘と山歩きをした後に偶然見つけた釜めし屋さんを探す。
名前も忘れたけれど、それでも少し迷って見つけることが出来た。
そうそう、ここだ。


店内はこんな感じ。
ストーブの暖かさが何より有難い。
なんたって、こんな北風の日に車をオープンにして走ってるのだ。
久々のオープンカーの運転が楽しくって。
北風に巻かれながら助手席に座るMには申し訳も無いが。


釜めしが美味い。
セットに付いてくる水炊きで体も心も温まる。
他に客も無く静かな店内が居心地よく、ずいぶん長居をした。

青梅の酒蔵で新酒を三升買い、少し川遊びをして帰宅。
1月から2月末にかけて忙しく、遊びに出掛ける事も少なかった。
でもこうして車でどこかへ出掛け、美味しいものを食い、土産に酒を買う。
そんな休日はやっぱり最高だ。
春もやって来たし、時間をつくってどんどん遊ぼう。
次は海かな。

3.112019年03月11日

あの年の今日、何をしていたかなと考える。
寒い日だったと記憶している。
外部から講師を招いて、会議室で研修中だったっけ。
経験した事のない大きな揺れ。
窓の外の電信柱や自動販売機が波打っていた。
来ると言われていた首都直下型なのか、東海地震なのか。
そう思うほど、それは大きく長く続いた。
でもそれがまさか、遠く離れた東北を震源とする地震だっただなんて

帰ろうと思えばすぐに帰ることが出来た。
でも、引継ぎするはずの職員が出勤してこない。
交通網は壊滅的で、電車は止まり大通りは大渋滞。
電話も通じず、家族との連絡も取れなかった。

そしてテレビに映し出される驚愕するような映像。
職場の託児施設に床暖房を入れて、帰宅不能な職員たちと一夜を過ごした。
泣いている人、茫然とする人、テレビに釘付けになる人。
止まらない余震。
それは東北ばかりではなく新潟、長野方面をも震源とし、
この国全体の危機なのではないかと思った。

あの頃の新聞を保存してある。
この時期になると、それを目にする。
確定申告に必要な資料を入れてある収納庫に、それを仕舞ってあるからだ。
そしてその度に、あの時の事を思う。
まだ8年なのか、もう8年なのか。
今年もあの日がやって来た。



母の実家2019年03月14日

昨日、Mと二人で母の実家あたりへドライブに行った。
子供の頃の毎年の夏休みを過ごした場所だ。
見る景色も、地元の人の話し言葉も、牛小屋の匂いですら懐かしい。


伯母はデイサービスへ、叔父はどこかへフラフラと、従姉は仕事。
連絡もせず行ったものだから誰とも会えなかった。
でもそれでも良いんだ。
また盆の頃、今度はゆっくり遊びに行くから。


ここの海はいつでも良いけれど、特に冬は美しい。
ずっと見ていても飽きないほどだ。
それにしても今日は風が強いね。
あの頃だったら喜んでこんな海に入ったけれど、今じゃもう怖くて無理だな。


鯨尽くしの定食を食べた。
日本で五か所だけ残っている沿岸捕鯨基地の一つがここにはある。
昔はバケツを持ってレンガほどの塊を買いに行ったっけ。
今じゃすっかり高級品だ。


酒蔵に寄り、濁り酒を5本買った。
これは甘く、そして強い。
飲み口の良さに油断をするとベロンベロンになっちゃうやつだ。

帰りは普段の倍以上の時間を掛けて帰った。
強風でフェリーは欠航、橋は通行止めだったから。
渋滞を抜けて帰宅し、土産に買って来た干物でこの酒を呑んだ。
そして気付いたら、一本空けてしまっていた。
好い酔い心地で就寝。
摘んできた菜花の甘い香りが家中に漂っている。


馴染みの店が閉まること2019年03月16日

そりゃ都心に出れば、美味い物を食わせる店はいくらでもある。
名店と言われる店も、長い歴史を誇る店も沢山ある。
でも自分が普段歩いている、ごく近所の普通に美味い店。
親や婆ちゃんなんかと行った懐かしい店。
遠くからお客は来なくても、地元の人たちが大切にしている店が好きだ。

ここ1年くらいの間に、僕の回りのそんな店たちが次々と閉店してしまっている。
和菓子の「利久」が閉まって狼狽し、中華の「櫻華」閉店には涙した。
そして今月末で寿司の「魚孝」が、4月には喫茶「くすの樹」が閉まる。
それらのお店は本当に昔から通い、愛した店だ。
僕のアタマの中では寿司=魚孝であり、珈琲=くすの樹なんだ。

去年閉店した櫻華の張り紙

どの店も店主が高齢だったことから後継問題も有ったんだろう。
だから閉店は仕方のない事なのかもしれない。
でもそこに通っていた客はこれからどうすればいいんだろう。
櫻華の消滅の傷も、利久の幕切れの哀しさも癒えないうちに、また大切な店を失う。

あれほど通った本屋も酒屋も今はもうない。
大盛りの定食屋さんも、ガンモが美味い豆腐屋さんも、おまけをくれるケーキ屋さんも。
あとに残るのはチェーン店ばかり。
お店の人と会話をすることも少なくなった。
いつかまた、地元に馴染みの店が出来る事が有るだろうか。


老犬のこと2019年03月20日

午後、職場の中庭に出たらその暖かさに驚いた。
気温は20度。
明日は春彼岸の中日で春分。
花粉も春も、今が盛り。

一時は良くなった犬の失禁が、この頃また酷くなった。
そればかりか、独りでいる事を嫌がるようにもなってしまった。
犬のケージの前にネットワークカメラを置いてある。
職場や出先からそれを見ると、悲しそうにクンクン鳴いている犬が写る。
そして帰宅すると抱き着いてくるのだ。

それを見る度、たまらない気分になる。
老犬に穏やかな時間を過ごさせるには、僕が付きっきりで遊んでやる必要がある。
でも実際そんな事は不可能だ。
代案として、カメラ越しに話しかけたりラジオを点けっぱなしで置いてみたり。
どれも解決にはならず、今日もクンクンと鳴いている。
それを見ると、飛んで帰りたくなってしまうんだ。

明日は春分の日で休日。
家の玄関わきに、小さなブドウ棚を作ろうと材料を揃えてある。
たぶん一日掛かるだろうその作業の間、犬を自由に放しておいてやろう。
あの子は昔から、庭仕事をする僕の回りを走り回るのが好きだった。
明日もきっと、嬉しそうに僕の作業を見てくれるだろう。
老犬との生活は楽しい事ばかりではない。
でもそんな時間は、間違いなく幸せなものだ。




今日の畑2019年03月24日

昨日、東京西部に雪が降った。
一瞬で終わってしまったそれは、桜の花片のようだった。
ちょうどその時、従姉からの電話を受けていた。
これからチャーター機で硫黄島へ向かうという。
慰霊祭が有るのだ。

74年前、僕らの伯父は硫黄島へ行った。
子供の頃から機械好きな人だったと聞いた。
海軍整備兵として島へ入ったのだ。
しかしすでに島には整備すべき機器など殆ど無かった、と生前の祖母は言っていた。
その後すぐに米軍の上陸作戦が始まり、一カ月と少しで島は陥ちた。

硫黄島は東京から南方へ1200キロ。
地熱と火山性ガスで地下坑道は季節を問わず地獄のような暑さだという。
北風に震え名残りの雪を見ながら、そんな話を聞いた。



一転、今日は晴れ。
朝から畑に向かい、里芋の植え付けだ。
もう何年も、この時期に植えては秋に収穫。
そして一部を貯蔵しておき、またこの時期に植える。
里芋はその繰り返しだ。

こうして休みの日に趣味の土いじりをしていると、つくづく畑は良いなと思う。
耕し、植え、収穫し、それを食べる。
そんな当然であり普通のことを、こうして楽しめる事の幸せ。

寒の戻り2019年03月29日

週末、月末、年度末。
所用で出かけた皇居周辺は激しい渋滞。
千鳥ヶ淵の桜を見る間もなく、午後疲れて職場へ帰還。
気温は8度。 低い雲。

春は天気が安定しない。
偏西風に乗って流れてくる高気圧と低気圧。
それによって初夏のような陽気になったり、冬が戻ってきたり。
それは仕方がないけれど、特に寒の戻りには神経質になる。
だって3月初めに植えたジャガイモの芽が出てきているのだから。

予報では週明けからの数日間、この辺の最低気温は2度だという。
遅霜の心配も有るし、日曜日に畑に行ったら寒さ対策をしてこよう。
ようやく出た芽だけれど、そこに土を掛けてしまっても良い。
せっかく成長の始まるこの時期に霜にやられるくらいなら、
数センチの被土の方がよほどマシだろう。

今年度の勤務も明日で終わる。
月曜が4月1日で、職場内にもいろいろと動きが有る。
また新しい環境に慣れるのが面倒だ。
やっかいなポストも押し付けられた。
いったいいつまで、こういう生活を続ければ良いんだろう。
早期に引退し、その後を遊んで暮らした親父を羨ましくは思わない。
いや、少しは羨ましいけれど僕にはこの歳でリタイヤする勇気はない。
まだしばらくは足掻いて仕事の日々を重ねなくちゃならないだろう。