昨日行った山歩きルートがお勧めなこと2011年10月13日

学生時代は高い山を目指し、八ヶ岳も南アルプスも登った。
でも今改めて、低山の魅力に気付いたのだ。
穏やかな自然の中に居ると、心身の底に澱のように溜まった何かが昇華してゆく気がする。
東京-山梨県境付近には、そんな魅力的な山が多い。

昨日、海へ行きたいなどと言っているくせ秋晴れに誘われ山歩き。
今までに何度も歩いたそのルートの楽しさを再認識し、ここに紹介したい。

(注1:低山と言っても2000メートル級。荒れれば遭難もあるので油断は絶対禁)
(注2:そろそろ山は寒くなります。冬山は危険が大きいので初心者は10月中が無難です)
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写真は全てクリックで大きくなります。
撮影は同行のM。



おなじみ、奥多摩湖。 東京の水道用人工湖ですね。
東京方面から青梅街道(411号線)を西へ向かい、この湖に出ればもう景色は深山の様相。
車高の低い車なら楽しいカーブが沢山有るけれど、今の車では大人しく走るだけ。



山梨側に入り、丹波山を過ぎ411号線最高地点の柳沢峠を越えれば道は一気に下ります。
目的地へは裂岩温泉近くのこの標識で201号へと左折します。
この道は冬季は通行止めです。



険しく細い道を行くと、やがて見えてくるのは「ロッジ長兵衛」 
このロッジの脇から登山道が伸びています。

以前は長兵衛山荘という名前だったかな。 
この長兵衛というのは安政時代にここに住んでいた男の名。 
峠越えの旅人に茶など出す小屋をやっていたらしいが、度々旅人を殺し金品を奪っていたらしい。
もちろん現主人は長兵衛とは無関係です。



ロッジ長兵衛の周辺数箇所に、無料で使える駐車場があるので車を止めます。
この辺は甲斐武田家終焉の地にも近く、興味のある人は歴史の散策も良いかもしれません。
ただし道が狭くすれ違い要注意。 登山客を運ぶタクシーも多いです。



今から歩くルートは、この写真の「現在地」が出発点。 
そこから「福ちゃん荘」「唐松尾根」「雷岩」「大菩薩峠」そしてまた福ちゃん荘へ戻る三角ルート。
行程をアタマに叩き込んでおきましょう。

ちなみに山頂の大菩薩嶺は木立の中で視界ゼロ。 面白みがないので行きません。
全所要時間はゆっくり歩き、ゆっくりお弁当を食べて4時間ほどです。



ロッジ長兵衛の脇から登山道は始まります。
まずは明るい木立の中を「福ちゃん荘」を目指しましょう。
この日は気温、湿度共に心地よく、気分が盛り上がります。



標高1720メートルの「福ちゃん荘」までは20分ほどです。
ここでコーヒーでも飲んで休憩しつつ、山の情報を入手するのも良いです。
僕達は800円なりの熊避けの鈴を買いました。

ちなみにこの福ちゃん荘は赤軍派による大菩薩事件の舞台となった場所です。
当然ですが、今の穏やかな佇まいからは想像も出来ません。



福ちゃん荘からルートは分岐します。
唐松尾根をゆけば雷岩へ。 大菩薩峠へ直にゆくなら右ルートです。
三つ上の写真ルートに有るように三角形に歩くのでどちらを行っても良いのですが、今回は唐松尾根ルートへ進みます。

ちなみにこの唐松尾根ルートはガレ場で勾配がきつく、大菩薩峠ルートの方が歩きやすいです。
でもガレ場の下りはキツイので、それを登りの行程にしてしまう唐松尾根ルートがお勧めです。



樹林帯を抜けると展望の利くガレ場となります。
この辺が、全行程で一番勾配のキツイところで写真も撮っていません。
と言っても、段々と展望が開ける様は素晴らしく、ぜひ景色を楽しみながら歩きたいものです。
天気が良ければ標高が上がるにつれ富士山が見えてきます。

福ちゃん荘から「雷岩」までは約一時間。 標高は2038メートルです。
大菩薩嶺の山頂は視界が開けないため、この雷岩が実質の山頂扱いとなります。
ちなみに雷岩は昔は「神成岩」と言い信仰の対象だったそうです。
岩の周辺から古代の供え物が出土するそうです。



雷岩からの眺望。
大菩薩湖の向こうに富士山が見えています。
天気は良かったのですが残念ながらガスが出てしまい、遠望が利きません。
それでも甲府盆地から甲斐駒ケ岳まで見渡すことができます。
これで透明度がよければ最高の景色でしょう。



雷岩から大菩薩峠を目指します。
この雷岩-大菩薩峠間がこのルートで最も気持ちの良い道となります。
紅葉を見ながらゆっくり歩きます。
標高差のあまり無い稜線で展望も利き、何度も立ち止まっては歓声を上げます。



「賽の河原」と呼ばれる場所を通ります。
今の舗装された道からは想像も付きませんが、昔の青梅街道はこの辺を抜けており、当時は度々遭難者も出たそうです。

そこに建っている丸太小屋は「避難小屋」 
天候急変時などに誰でも使える小屋で、さすがに頑丈に作られています。
中に入ってみましたが、とても綺麗に掃除されていました。



「大菩薩峠」という未完の大長編小説があります。(たしか41巻まで出ています)
その作者は中里介山と言い、小説の舞台は当然この大菩薩峠。
僕も少し読んだことがあるのですが、あまりの長さと未完という結末に挫折しました。
青空文庫で読めるので、興味のある方は是非。

やがて、その大菩薩峠と中里介山に由来する「介山荘」が見えてきます。
標高は1897メートル。 
雷岩から一時間も掛からないでしょうが、急いでしまうには勿体無い道です。
僕達は昼食もとった関係で1時間半以上は掛けました。

峠の眺望も素晴らしく、よく晴れた日には新宿や東京スカイツリーも見られるそうです。
僕達がよく行く温泉のある小菅の集落も眼下に認められ、なんだか嬉しくなってしまいます。
嬉しくなりすぎて、峠の写真を撮り忘れる失態もありました。

介山荘には宿泊も出来、こんなところに泊まって星を見たらどれほど素晴らしいだろうと想像してしまいます。



介山荘から福ちゃん荘への下り道。
いよいよ今回の山歩きもゴールが近いです。
時おり甲高い鹿の声が聞こえ、一度は僕らの目の前を群れで走ってゆきました。
鹿なら可愛いものですが この辺にも熊は出ます。
熊避けの鈴は必須かもしれません。

峠から福ちゃん荘を経てロッジ長兵衛の出発点まで1時間ほど。
楽しい山歩きもおしまいです。



靴をサンダルに履き替え上着を脱ぎ、車に乗り込んで雄叫びをあげます。
やはり山歩きから帰ると達成感があるんです。
さて、もと来た道を帰りましょう。
行きたいときに行きたい場所へ移動できる車って有り難い。

大菩薩程度の山歩きでも、やはり靴は重要です。
怪我を防止するためにも、スニーカーより少し頑丈な靴が必要です。
山歩き用のステッキもあると楽です。

この周辺には温泉も多く、山帰りに汗を流すのも楽しみの一つです。
僕はトロリとしたアルカリ泉の「のめこい湯」が気に入りです。
肌がツルツルになりますよ。


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