ロータリーエンジンのこと2011年10月08日

予想していたことだけれど、こうして発表されると寂しさを感じる。
技術と意地の結晶だった唯一無二のロータリーエンジンが、ついに終焉を迎えるのだ。
通常のエンジンに比べれば環境性能に劣るロータリーエンジンが、エコファッショとも言える現代に生き残れるはずは無い。
現代のエンジン性能とはすなわち排気ガスのクリーンさと燃費の良さで、回転フィーリングや、マスのコンパクトさによる運動性への貢献などどうでも良いことなのだ。

我々の世代のオトコどもは皆、車好きだった。
エンジンの話しだけで酒が飲めた。 
トヨタの4A-GとマツダのB6はどちらが回るか、とか。 ホンダのZCが素晴らしい、とか。
13Bのサイドとペリはどう違うのか、とか。日産のRBは世界最高の直6だ、とか。
古いアルファロメオの直4をばらして元に戻せなくなり途方に暮れたり。
旧式のアメリカンV8が好きだった僕はいつかコルベットを買おうと目論んでいたり。

いまやエンジンなど誰も語らない。
僕も今自分が乗っている車のエンジンに興味を感じない。
エンジンが縁の下の存在となり、ただ自己主張せず廻れば良い時代なのだ。
先日試乗した日産リーフのように、やがては無音で人を運ぶだけの車ばかりになってゆくのか。
スポーツカーなど、もうどこにも棲息する余地が無いのだ。


僕があのロータリーエンジンの車を降りて2年以上が経つのか。
あの時、本当にRX-8を手放す必要が有ったのか今では解らない。
1万回転近くまで一気に廻るエンジンと低い重心の感触とを今でも覚えている。
それは速く走りたいという本能を具現化する、まったく稀有な存在だったのだ。
あの時確かに感じた衝動は、どこへ消えてしまったのだろう。

コメント

_ りば ― 2011年10月10日 14時40分

こんにちは。
我が家では家族が5人になり4人乗りの真っ赤な8を泣く泣く手放したのでした。内装、外装、ステップにいたる一つ一つを撮影しました。そしていつかまた、大人の娯楽として8に乗ろうと約束をして。

時代に反比例した乗り物だったのかもしれませんが
あの滑らかなボディの曲線。加速、ハンドルとタイヤの一体感、コーナリング
そして飛行機の離陸を思わせるようなエンジン音。ロータリーエンジン。。。

もう味わうことはないのでしょうか。寂しさで一杯です。
譲渡の時に無くしたはずの鍵が見つかったので宝物にします。

_ bono ― 2011年10月11日 10時47分

りばさん、お久しぶりです。
そうでしたか、8にお乗りでしたか。
ああいう車の生き難い世の中になってしまいましたね。
スポーツカーの良さをもっと沢山の人に知ってもらいたいと思う反面、もう時代遅れなのかな、とも思ってしまいます。
だから最後に8に乗れた僕はとても幸せだったのかな、とも。

なんて、数年後にはまたああいう類の車に乗っていたりして。
ロータリーエンジンの再始動を願いつつ、いまはあのフィーリングの思い出に浸っています。

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