ラーメン幸せ2016年11月16日

朝5時にベッドを出て、犬と共に夜明け前の散歩をする。
いつものコース。
いつものベンチ。
僕は缶コーヒーを飲み、犬にはビスケットをあげる。
西に傾いた大きな月は月齢16。
まだ朝のラッシュには遠く、呑み明かした酔っ払いが歩いてゆく。
どんな季節だって、そんな時間が好きだ。
でも犬が居なかったらきっと、夜明け前に散歩などしないだろう。
いつも文句も言わずに付き合ってくれる老犬が愛おしい。

7時から仕事。
うーんうーんと唸りながら、来週使う感染症レポートをまとめる。
しかしどうにも上手く書き上げられず、昼にラーメン店へ逃避。
温かな湯気が嬉しい季節になった。
ラーメンをすする、ちょっとした幸せ。



少し早めに職場を出て、遠回りして帰宅。
別に用事があったわけではないけれど、ボンヤリと運転するのが好きなのだ。
帰宅ラッシュ時の幹線道路。
沢山の車が目的地へと急いでいる。
その中を特に意味も無く流す。
やがて都営霊園に着いたけれど、もう閉門していて両親の墓参りはできなかった。

夜はタラを入れた湯豆腐で燗酒を呑んだ。
子供の頃、夕飯に湯豆腐が出たときの絶望を良く覚えている。
もちろんオカズが湯豆腐のみという事は無かったはずだけれど、
子供の僕にはそれの美味さが解らなかった。
でも今ならよく解る。
卓上コンロを注意深く操り、煮過ぎないように豆腐を温める。
そしてそれで酒をやるのだ。
きっとあの頃、親父もそれを楽しんだのだろう。
いま親父がここに居たなら、最高の酒と豆腐と自家製ポン酢を準備するのに。