もうすぐ2015年05月18日

少し前ならまだ朝とは言い難かった時間にはもう、東の空が白んでくる。
東京の日の出は4時34分。
夜と朝の間の静謐なそんな時に、犬と歩く。
考え事をしながら歩いていると、気配を感じるのか時おり犬が振り向き僕を見る。
こいつとは10年の付き合いだ。
ちょっとした気持ちの機微を、犬に隠せない。

もうすぐ5月20日がやって来る。
一年前、母が逝った日だ。
なんだかこの頃ずっと、この一年を越えることを目標にして来た気がする。
一年越えれば、少し楽になるだろうかと。
でもそれがかえって気持ちを追い詰めているのかもしれない。
一年前の今頃、いよいよ具合の悪くなってきた母を思い出し気持ちが塞ぐ。
後悔なのか、哀れみなのか、寂しさなのか、悼みなのか、それとも祈りなのか。
自分でも良く解らない感情を抑えられず、その捌け口も知らない。

混乱は終息せず、ただ深く沈み凪いでゆくだけだ。
母が病気になった。 介護が必要になった。 苦しんだ。 自宅で看取った。
そしてその後の1年の間にあったいろいろなこと。
それらを忘れる事は望まないし忘れられない。
でも、もう少しだけ気持ちを平穏に収める事が出来たらと思う。
そうすればもっと母との思い出を懐かしむ事ができるのに。
今はまだ辛くて、それらをどう扱えばいいのか解らない。

それにしても母はどこへ行ったのだろう。
毎朝、お茶を淹れラジオを点けたまま出勤する。
帰宅後ラジオを消し、夕飯に作ったものを少し供える。
その度に少し話しかけるのに、何の返事もしてくれないんだ。