柚子湯2014年12月22日

3年ぶりに親友が帰国して来た。
それを呼び水に、幼馴染達で呑み歩く。
そして子供時代の僕の家にいつも集まった連中だから、僕の両親の話しが出る。
でもそれは湿っぽい話しじゃなくて、昔のまだ若かった父や母の思い出話しばかり。
僕の父に釣りを教わったとKが言う。
僕の母に干し柿の作り方を教わったとTが言う。
まるで昨日のことのように。 まるで自分の家族の事を話すように。
逝ってしまった両親を奴らが懐かしんでくれる事が嬉しい。
僕の記憶の中にだけ居るのかと思っていた両親が、奴らの中でも生きている事が嬉しい。

そんな週末も終わり、晴天の月曜日。
今年の出勤は今日を入れてあと6回か。 年末特有の慌しさと落ち着きのなさ。
そろそろ早めの休暇に入る人たちも居て、それもいつもの年末の情景だ。
仕事は特記事項なし。

仕事帰りのスーパーで、柚子の安売りをしていた。
今日は冬至なのだ。
去年、僕の家に母を呼んで柚子湯に入ってもらった。
母はそれを喜んで随分と長湯をするものだから、心配で扉の外から声を掛けたっけ。
そんな事を思いだしたら、柚子を買う事が出来なくなってしまった。

なるべく淡々と時間の経過に流されている僕にとって、今の時期は気持ちがざわつく。
クリスマスも正月も駅前のイルミネーションも、今年は特に目を背けたい。
去年の今頃はまだ母の容態が良く、楽しい思い出が沢山あるからだ。
一年前の今頃はこんなだった、と思い出す事が辛い。
楽しい記憶を思い出すだけなら歓迎だ。
でも、やがてそれが辛い結末へと続く事が未だに受け入れ難いんだ。


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