車のこと2016年07月31日

車が趣味って訳じゃない。
車でどこかへ行くことが好きなんだ。
あと僕の場合、混んだ電車やバス、もちろん飛行機なんかに乗れないという事情もある。
とにかく僕にとって絶対に必要なものが車だ。

父が突然逝ってしまった時、僕は三台の車を持っていた。
車高の高い軽の四駆と、足の硬いロータリーエンジンの奴と、車内の広いワゴン車。
当時僕は父と作った二世帯住宅に住んでいて、車もその庭に置いていた。
でもその家が相続でどうなるか解らない。
駐車場所どころか僕自身も住む場所を失くし、自分の家をまた建てる事になった。
つまり何台も車を持つ余裕なんて全く無くなってしまった。
2009年のことだ。

その三台を一台にまとめる為に、少しの諦めと共に買ったのが今の車。
高速をストレスなく走れて荷物が積め、不正路も走れる車を探したんだ。
2リッター四駆のそれはどんな使い方をしても要領よくこなした。
峠を走っても高速に乗っても街乗りでも80点くらいの期待に応えた。
凡庸の才、という言葉が良く似合う車。
そんな車が気に入って、7年間で8万キロを走った。

その後の母の発病と、この車の事は今は書かない。
ただ、車に酔う母が視界の良いこれを気に入り、喜んで隣に乗った。
通院も、近所の散歩も、もうこれで最後だろうと生家に出掛けたのも。
病室で話せず静かな場所を求め、駐車場に止めたこの車の中で話したこと。
いろんな事がこの数年の間にあったんだ。
辛い思い出の方が多いように思う。


でも今日のように雲の綺麗な日、この車の心地よさは最高だ。
天井がガラスで気持ち良いんだぜ、と友達に自慢した7年前を思い出す。
そうだ、僕だってあれから7つ歳を重ねたのだ。
その7年の間に色々なものが変わってしまった。

今日、新しい車を買った。
納車まで2ヶ月と少し掛かるとの事。 
夏が往けば、この車ともお別れだ。
いつもの河川敷に停めた車の中でアイスコーヒーを飲みながら空を見た。
その空は積乱雲に覆われ、やがて素晴らしい夕立となった。
それを車内から見ながら、良い車だったな、と思った。

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