秩父、神流 ― 2019年09月07日
先日のこと。
Mと車で散歩に出て、なんとなく走っていたら多摩湖に着いた。
そのまま北上して所沢バイパスに出て、巾着田あたりをウロウロ。
彼岸花にはまだ早いねえ。
そう言えば秩父の寺坂棚田で白花の彼岸花が咲いたと聞いたっけ。
じゃこのまま299号線を行ってみようか。
という訳で、秩父。
正丸トンネルを抜けると霧で、時おりそれが大粒の雨になる。
風も出てきたし、天気悪いなあ。
でも棚田を歩いている間は止んでくれて、白花彼岸花をゆっくり楽しめた。
田は間もなく稲刈り。
武甲山は霧の中。
ここに来ると必ず寄る蔵元で酒を三升買い、神社に詣で、橋を渡る。
この斜張橋はいつ走っても迫力があるな。
どこかに車を停めてゆっくり歩いてみたい、と思う。
でも車を停める所が無いし天気も悪いし、と今日もサッと渡っておしまいだ。
ちょうど昼時。
野さかか、安田屋か。
でも行列は嫌だし腹は減ったし、広い駐車場が有ってすぐに食べられるところ。
という訳でメンマ橋を越えて「雅紀屋」
わらじカツと蕎麦のセットを頂き、座敷でしばし休息をした。
さて、今からどうしようか。
NHKのドキュメントで有名になった太田部へ行ってみたかった。
でも下調べなしで山道を走って車を痛めたくないな。
車高の低いロドスタで、この辺の荒れた峠道では何度も冷や汗をかいている。
天気も悪いし、今日は知った道を走ろう。
ダムカードも欲しいしな。
71号線で桃湖の合角ダムを見に行き、ダムカードを貰う。
そのまま群馬県に入り、十国峠街道。
神流川沿いの気持ちの良い道を流し、下久保ダムを見物に行った。
これは利根川水系有数の大ダムで、以前から来てみたかった場所だ。
しかし、管理事務所への道が解らぬ。
どうやら対岸のようだ。
後で考えると、埼玉側からアクセスしなければならなかったのか。
ぐるっと回っても良かったけれど、今日は早帰りしなければ。
遠出するつもりじゃなかったから、犬を外につなぎっぱなしなんだ。
そのまま関越自動車道、本庄児玉。
空いた高速を一気に飛んで練馬まで。
18時帰宅。
耳の遠くなった犬は僕らの帰宅に気付かず、心細そそうに座っている。
灯りを付けるとようやくこちらを見て、パタリパタリと尻尾をふった。
菊の節句 ― 2019年09月09日
台風15号は960hPaの勢力で東京湾を抜け千葉に上陸した。
それは関東に上陸した台風として統計開始以来、最強クラスだという。
風速57メートル、広範の停電、1時間雨量110ミリ。
NHKが伝えるそんなニュースを聞いていたら眠れなくなってしまった。
窓を叩く豪雨。
暴風の恐ろしい音。
オロオロする犬。
巨大な空気の塊が家にぶつかり、二階家が身震いする。
ようやく空が白んできたときの安堵。
長い夜を越えてむかえた夜明けのうれしさ。
出勤を控えなんとなく暦を見たら、今日は9月9日。
菊の節句だ。
この日のことは忘れない。
親父が倒れた日だ。
あの日、出勤する僕に親父が何かを話しかけてきた。
きっと、立ち枯れたユズリハのことだと思った。
親父が子供の頃からそこに在ったユズリハの大木が枯れたのだ。
そのことを、親父はずっと気にしていたんだ。
でも時間の無かった僕は生返事で仕事に行った。
そしてその日の昼過ぎ親父は倒れ、目を覚まさないままに逝ってしまった。
あの日からすべてが変わった。
相続のゴタゴタとか、実家を失くしたこととか。
母の発病、介護、そして看取り。
ようやく少し落ち着いたころに、枯死したユズリハの樹を倒した。
こどもたちよ、これはゆずりはの木です
このゆずりはは新しい葉ができると
入れ代わって古い葉が落ちてしまうのです
こんなに厚い葉こんなに大きい葉でも
新しい葉ができると無造作に落ちる
新しい葉にいのちを譲って
新しい葉ができると無造作に落ちる
新しい葉にいのちを譲って
国語の教科書に出ていた「ゆずりは」という詩を思い出す。
譲ってもらったものを大切にしないと、と思う。
親父が倒れた菊の節句のあの日から11年経った。
秋分も過ぎた ― 2019年09月24日
秋分も過ぎた。
この頃になると朝な夕なに陽の短さを感じる。
東京の今日の日の出は5時29分。
日の入りが17時36分で昼時間は12時間7分。
3カ月前の夏至の頃に比べ夜明けは1時間遅く、日没は1時間半早く、
つまり昼は2時間半も短くなった。
それは冬至に向けてさらに加速をつけ、果てには9時間45分にまで短くなる。
太陽は低く、影は長く、陽は薄く。
もはや僕の畑から夏野菜は絶え、鍋用野菜の植え付けも終わった。
ホームセンタには暖房器が並び、やがて犬も毛深くなる。
また冬が来ることを覚悟しなければならない。
それは決して気早ではなく、確実にもうすぐやって来る事なんだ。
黄葉となった桜の落ち葉を掃いては溜息をつく。
朝顔の種も百日紅の散り花も取り残しのブドウの実も。
何を見ても往った夏と来る冬を想う。
気持ちの落ち込みが体調の変化となって表立つ。
毎年、この時期は具合が悪い。