2014年10月28日

出勤途中の車の中でラジオを聴く。
ラジオを聴くと、母を思い出す。
母はラジオが好きだった。 
以前の古い実家で母の居場所だったキッチンでは、いつもラジオが鳴っていたっけ。
黒い革のケースに入ったSONYのラジオだった。

あの入院のとき、テレビカードを買っても使った痕跡が無い。
では、と小さなラジオを持って行った時の喜んだ顔。
眠れない夜にいつも聞いているというNHKラジオ深夜便の話し。
土曜の朝にやっているという朗読が面白いこと。
退院しても、いつもそのラジオを手放さなかった。

亡くなった後に出てきた入院中のメモに、ラジオを買ってもらった。テレビよりずっとイイヨ。
そのイイヨの後に、花丸が描いてあった。
そんな事を思い出していたら運転中に涙が止まらなくなって困ってしまった。
朝からこれでは、一日が思いやられる。

仕事は特記事項なし。
帰り道にいつものクリニックと調剤薬局とスーパーに寄る。
夕飯は鶏団子の独り鍋。



柿を買う。
まさか柿を買って食べるなんて。
でもあそこはもう自分の家では無いのだし、用も無ければ行く事もない。
今もたくさん実っているはずの橙色の柿を思う。
熟して落ちるだろう誰も食べない柿を思う。
子供の頃に見上げていた柿の木を思う。
そして、買った柿をむく。