2006/72006年07月30日


 


06/7/30 (日) なつ



   

東京に、梅雨明けのニュース。
気持ちの良い風、ゆっくり流れる雲。
ずっと待っていた季節がやってきた。

ああ、なんて素晴らしいんだろう。
早朝から埼玉の畑で草むしりをしながら、空を見て一人ほくそ笑む。
麦藁帽子の懐かしい香り、完熟した真っ赤なトマト、足元では落花生が黄色い花を付け、サツマイモのツルは凄い勢いで伸びている。
夏だ。

幾つになっても夏と言う言葉に反応してしまう。
どうしてコレほどまでに、この季節が好きなのか。
朝顔、向日葵、蝉の声。
海と空の青に白い積乱雲。 
そして冷たいビール。

8月終わりには秋風が吹くだろう。
このたった一ヶ月の真夏を精一杯に楽しみたい。



いつもの畑作業。
収穫はトマト、ナス、枝豆、トウモロコシ、モロヘイヤ、シシトウ、ニガウリ。
ゴボウの苗は順調に生育中。
サツマイモのツルが隣のスペースに侵入しないように要注意のこと。
近日中にラッキョウ植え付けの予定。

昼、Mを誘いモスへナンタコスを食べに行く。
相変わらず美味し。

梅雨明けに機嫌をよくして車で散歩。
お寺の池へ蓮を見に行ったり、釣堀で金魚を釣る子供を見たり。
ダチョウ牧場では、小さな男の子が母親にダチョウを飼いたいと駄々を捏ねていたり。

その後、Mの次男と3人で先日盗まれてしまった子供自転車を買いに行く。
パジェロミニの座席を倒し、新しい自転車を運搬。
期待通り、積載力の有る車だ。
夕方、いつもの高台から月齢5の月を見た。

夕飯は鳥手羽を塩焼きし、柚子胡椒をつけて食べた。
酒は翠露。
いつ呑んでも美味い酒。

夜、「ぼくのなつやすみ」を少しだけやった。
もう何度目のプレーだろう。
その度に新しい発見があり、毎年夏に引っ張り出す事になるのだ。

 

 


 

06/7/29 (土) 夏が来た

嬉しくなるような晴天。
梅雨明け宣言はまだ出ないけれど、前線の力は弱まり、力強い高気圧の前に屈しようとしている。
今年の夏が、まさに目前へ迫る。

久しぶりの土曜休み。
商売柄、連休を取る事が難しく、でも、他の職員が次々と一週間単位で連休するのを目撃し、すこし拗ねての2連休。
今の職場を捨てない限り、これ以上長い休みを取る事は難しい。
一月あたりの休みは多いけれど、連休する事にはかなりの覚悟がいるんだ。




畑作業とチョイ乗り用に買った中古の軽が納車されたのが25日、でもまだじっくりと弄っていない。
待望の休みの今日、朝早くに起きてお楽しみの時間。
機械が好きな僕には、ゆっくりと車弄りをする時はまさに至福の時間だ。

外装をコンパウンドとシュアラスターで徹底的に磨きこむ。
オルタネータとパワステのベルトを新品に交換。
下回りの防錆処理とブレーキのメンテナンス。
プラグ4本は新品に換え、水周りをチェック。
内装の清掃と除菌、後部ウインドにスモークフィルムを張り、畑で汚れた体で乗っても良いようにシートにウエットスーツ地のカバー、足元にはゴムのシートをひく。
コレで一応、畑特急パジェロ号は完成だ。
あとは道具として気持ちよく働いてくれれば良い。
  
昼、勉強会で四谷まで出るMを三鷹駅まで送る。
新しい車でだ。
先日、二台目の車を買ったことを電話で打ち明けたけれど、彼女は少しも驚かなかった。
欲しいだろうと思っていた、と。
買うんだろうと思っていた、と。
すべては、読まれていた訳だ。

晴れてMに初めてのオヒロメとなったパジェロミニ。
車内の後部座席が畳まれ荷台に改造された場所に、軍手や麦藁帽子、タオル、肥料。
ハサミやヒモや支柱や虫刺されの薬やカマや折り畳み椅子や長靴や蚊取り線香やクーラーボックスが置かれているのを見て苦笑いしている。
怒ると恐ろしい彼女に、何とか認証されたという事だろう。
主力機と違いオートマのこの車なら、昼間から出先で僕がビールを飲んでしまっても運転を代わって貰えるだろう。

   

三鷹へ行く前に、今、僕が一番入れ込んでいるラーメン屋、東伏見の○麺堂(まるめんどう)で昼食。
ここは季節限定メニューのラーメンを出すのだけれど、通常メニューは勿論、この限定メニューがまた素晴らしく、機会が有るたびに足を運んでしまう、
とても気持ちの良いご夫婦がやっている小さな店だ。
今日は夏限定の「TSUNAMI」というラーメン。
冷麺だ

冷やしたトンコツスープ、デュラムセモリナのモチモチ麺、その上を炙り焼きチャーシュー、ズッキーニとトマト、冷たい煮凝りが飾る。
ツルツルツルと冷たい麺を啜る幸せ。 
旨みが濃い。
オリーブオイルとバルサミコが別皿で出され、それを加えるとまた味に変化があらられる。
満足の一杯。




Mを勉強会へ送り出して、一人遊び。
埼玉方面で、畑を貸してくれる農家は無いものかとウロウロする。
耕せば耕すほどに、もっと畑が欲しい。
土が欲しいと言う欲求が沸いてくる。

自分が食べる野菜を全て自分で作れたら。
そんな想いがどんどんと大きくなる。

    



で、この新規導入マシンの機動力を思い知る。
小さくて、車高が高くて、低速で良く粘る。
到底無理だと思う荒れた道も、河川敷のデコボコ道も、ワダチのきつい農道もズンズンと入っていってしまう。
峠やサーキットは一時期入れ込んだけれど、オフロードの世界というのは知らなかった。
これは頼れる相棒になるな。
自宅から20キロほど離れた農耕地帯を走りながら、1人ニコニコとした。

遥かに広がる稲の海が、波をうつ。
気持ちの良い土曜の午後。





   

夕方、自宅のフェンスで作っているニガウリが美味そうだったので一本もいでみる。
スライスしてからサッと茹でて、鰹節、ゴマ、酢と醤油をかける。
サッパリとした苦味。
夏はコレが無ければ始まらない。
シャリシャリとニガウリを.食べては、長野の銘酒・「翠露純米吟醸中取り袋しずく生」で呑み下す。
翠露は酸味の利いた夏にピッタリの純米吟醸だ。

連休は良い。
こうして一日を過ごして尚、明日も休みなのだから。
月齢4の細い月が西へ沈む。
路地を浴衣の女性が歩く。
今夜は隅田川の花火大会なのだ。
夏だな、と思う。
電気式などではない、煙を出す蚊取り線香の匂いがその思いを一層に強くする。
今年の夏は何杯の美味いビールが飲めるだろう。
昔、よく感じた夏の気配を、今年はどれだけ感じることが出来るだろう。
いよいよ、待ち望んだ季節がやって来た。



 

06/7/26 (水)  すこしガッカリしたこと

   

久しぶりの青空。
自宅外周フェンスで作っているニガウリの大きな実も、黄色い花も、陽に照らされ光っている。

自転車で出勤。
久しぶりに明るい外の景色。
職場の窓から見下ろす雑木林の葉が、気持ちよさそうに揺れている。
西の方から梅雨明けのニュース。
やっと大好きな季節がやってくる。



昨夜のMからの電話で、この夏の計画が消えた事をはっきりと知らされる。
Mと付き合って10年以上もの間、ずっと熱望しつつも実現しない旅行の件だ。

今年の夏はMの元夫が子供達を旅行へ連れて行くと言っていた。
それなら、その日程に合わせてたった一泊で良い。 
近場の温泉くらい行けるのではないか。
長年の夢がやっと叶う。
それ位のご褒美があっても良いんじゃないかと思った。

長い長いMとの付き合いで学んだ事の一つに、期待しない事、というのがあった。
独身同士じゃ無し、さまざまな事情に縛られた付き合いなんだ。
子供や仕事や元夫との関係や、そんなものの下層に僕との付き合いがあり、その順位は決して上がらない。
それはMのせいでも、誰のせいでも無いのだけれど。

そして、Mの元夫は8月の初旬に3泊で海に行くと言う子供達との約束を反故にした。
彼のしそうな事だ。
よってその日程を子供達は自宅での勉強と部活に当てる事になった。
僕らのささやかな計画など、あっと言う間に粉砕され吹き飛んだ。

期待してはいけない。
それは解っていたのに、今回だけは迂闊にもMとの旅行を楽しみにしてしまった。
ここ暫く、旅行の事ばかり考えていた。
行きたい旅館のブックマークは溜まり、露天風呂のリストを作り、デジカメ用に大容量のメモリーカードを買った。

ままならない事が多すぎて溜息が出る。
自分の力ではどうしようもない事が多すぎる。
初めから期待しなければ、こんな思いをする事も無いのだけれど。



仕事帰りにスポーツジムへ寄り、長く走る。
あと何キロ走るのか、どの位のスピードを維持できるのか。
それを決めるのは、自分の体力と気力だけだ。
自分と向きあうだけの、走ると言う行為がとても好きだ。
誰にも左右される事なく、そこに有るのはただ自分だけだ。

そして走っているうちに、もうどうでも良いやと思う。
いろいろな面倒な事なんかどうでも良い。
家に帰って冷たいビールと枝豆があるなら、もうそれで満足しよう。

 

 

 


 

06/7/25 (火)  学校見学へ

今日もまた、霧雨が降る。
夏はどこに行ったのか。
本物の夏らしさなんて一ヶ月にも満たないというのに、未練がましい梅雨なんかに貴重な時間を浪費させられたくない。

河川敷ではオミナエシが咲いている。
庭の萩も咲き始めている。
それなのに。
夏の青空はどこへ行った?
白い積乱雲はどこへ行ったんだ?
縁側で楽しむ最高の生ビールは、いつになったら呑めるんだ。

10時45分。
遥々大阪から陸送されてきた僕の支援輸送機が納車される。
年式から想像するより遥かに綺麗な外装。
高い車高と静かなエンジン。

農家で使われていた車ということで走行距離は出ているけれど、納屋の中に停められていたと言うだけあって塗装はピカピカだ。
機関部はこれからじっくり時間を掛けて仕上げていこう。
とりあえず今日は、エンジン・ミッションのオイルチェック、ブレーキフールド・冷却水のチェック、プラグを磨いてエアクリーナを新品に交換。
オルタネータとファンのベルトを発注し、エバポレータの脱臭。
知り合いの工場でリフトアップしたかったけれど時間無く、今日はココまで。
今度の休みの日にはじっくりとコンパウンドで磨きこみ、下回りも入念にチェックしよう。

三菱・パジェロミニという名のこの車は、さっそく後部座席を畳まれ、そこに大きなプラのトレーを固定され、農作業特急に改造された。
そこにはいつも、肥料や農具や軍手長靴、収穫された野菜が乗る事になるだろう。
大阪からやってきたこの車と、楽しい思い出を沢山作りたい。





   

昼、Mの娘を迎えに行く。
今日は某国立看護大学のオープンキャンパス日なんだ。
この子を看護師にしたくて僕が1人で空回りしているだけかも知れないけれど、資料を集め、洗脳し、今日の日を迎える。
看護師養成機関としては最高峰の施設。
施設見学で次々と見せられる最先端の機器に涎が垂れる。
僕が基礎医学を学んだ頃とは、隔世の感がある。
こんな所でこの子に学生生活を送らせる事が出来たら、どんなに素晴らしいだろう。
その事を考えるだけで、胸が熱くなる。

数時間後、車の中で娘と話す。
今日見た内容に随分と興味を持ったようで、でもその反面、入試の狭い門が気になるようだ。
それもそうだろう。
全国から受験者が集まるこの大学の競争率は、とても高い。

僕に出来る事は限られているけれど、数学と化学だけは家庭教師が出来るよ。
あの時、再会してからというもの、この子には随分と助けられてきた。
この子が居なければ、今の僕とMとの関係は無いだろう。
だから、こんな時だから、僕に出来る事は全て出し尽くそうと思う。
高いハードルだけれど、挑戦してみないかい?。

打ち上げの時、高い軌道に上がった人工衛星はずっと其の軌道を維持し回り続けることが出来る。
でも、最初から低い軌道にしか上がらなかった衛星はずっと低空飛行なんだ。
幾つかの選択肢が目の前に出されたとき、迷わず一番難しくやり甲斐の有る道を選んで欲しい。
人は挑戦した挙句失敗した事に対して後悔するのではなく、成さなかった事に対して後悔するんだ。
だからたとえ失敗に終わっても、後で後悔しないだけの努力をしてみて欲しい。
そんな事を、路肩に停めた車の中で話した。
話しながら、我ながら臭い事を言うと恥ずかしくなったけれど。

夜、久しぶりにウイスキーを呑む。
明日の天気はどうなのか。
梅雨はまだ続くのだろうか。

明日、月末の水曜は忙しくなるだろうな。
でもまだ、朝起きるまでに7時間の時間が有る。
その間に本を読み、犬と遊び、風呂に入り酒を呑むのだ。
まだ、山積の仕事に忙殺されるまで7時間あるのだ。











 

06/7/24 (月) 陸運へ

   

曇り時々小雨。
梅雨、今だ去らず。

仕事を昼で切り上げて、陸運局へ行く。
先日衝動買いした車が明日、届くからだ。
登録と、納税申請と、新しいナンバープレートの受け取りと。
軽自動車は封印が無いので、もらったナンバープレートを自分で取り付ければ即乗る事が出来る。
陸運に実車を持ち込む必要さえないのだ。


以前ユーザー車検を受けた時と言い、今回と言い、陸運の人たちの親切には頭が下がる。
勝手がわからずウロウロしていればカウンター越しにこっちにおいで光線を出してくれるし、
マークシートにトンチンカンな記載をしても苦笑いと共に添削してくれる。
新しいナンバーを交付されるまで15分ほど。
業者に頼めば1万円は取られる登録の作業を、親切な人たちのお陰で楽しんで済ますことが出来た。

陸運局というところは何度来ても面白い。
名車、珍車、旧車。
様々な車やバイクが車検を取るためにやって来る。
ライン上でエンジンが掛からなくなってしまう古いハーレー。
えらく車高が低い車が来たと思ったら、デトマソパンテーラじゃないか。
かつて僕も乗った事がある鉄仮面のスカイラインは少し白煙が出ていたけれど、ラインは合格したようだ。
まったく、見ていて飽きない。
登録の用事が終わっても、暫くの間キョロキョロと歩いていた。

警察署で車庫証明も取ったし、あとは納車を待つだけだ。
遥かナニワの国から陸送されてくる僕の車。
webで見られる配送状況によれば、今は神奈川の座間まで来ているらしい。
納車は明日の午前。
少しずつ楽しみになってきた。



明日は納車に立ち会った後、M宅。
Mの娘を学校見学へ連れて行くのだ。

その性格から母親と同じ看護の道を薦めたい僕は、いくつかの学校から資料を取り娘に渡したんだ。
その中の最難関、国立看護大学のオープンキャンパスが明日なんだ。
もし、それをきっかけに看護の道を目指してくれれば、これほど嬉しい事は無い。
あの子は優しい子だから、きっと患者を癒すいい看護師になるだろう。





 


 

06/7/23 (日)  ドロンパ号

息苦しくて、5時に目が覚める。
昨夜、寝るときに窓を開けるのを忘れていたからだ。
寝室の空気が重く停滞している。
窓を開け、酸素を求める金魚のように深呼吸した。
結局そのまま起きてしまい、冷たい牛乳を飲みながら暫くネットを徘徊。
7時にやっと重い腰を挙げ、顔を洗い歯を磨く。

霧のような雨が降ったり止んだり。
しかし段々と回復し、雲は低いものの8時には野外行動可能となる。
待ちかねたように「チョイノリ」で畑へ出動。
二箇所に借りている畑の草むしりと作物の手入れ、そして収穫。


   

今日の収穫。
長ナス8本、トウモロコシ7本、トマト大量、枝豆一晩酌分。
今年初収穫のトウモロコシは過去最高の出来。
美味しいトウモロコシを食べたくて何年も頑張ってきたけれど、これだけ満足できるものは初めてだ。

   

あの、太いくせに簡単に折れる茎の感触。
収穫したての、その切り口から甘い樹液が流れだす。
皮を剥くと、黄色い繊細な繊維に守られた実が独特の芳香と共に顔を出す。
汗と泥にまみれての帰宅後、シャワーも後回しにして茹でてみた。

夢中になって2本を平らげた。
あぁ、こんな瞬間のために休みの殆どを捧げ、蚊に刺されながら草むしりをし、土を寄せ、芽かきをし、肥料をやり。
その苦労は、この美味さで報われた。
天候に大きく左右されるとはいえ、自分の努力が素直に形になるこの趣味の楽しさを、塩をふったトウモロコシを縁側で齧りながら痛感した。

あとは夏を待つだけだ。
ジャガイモは収穫済み、枝豆、トウモロコシ、トマトは畑で待機している。
ビールのツマミの準備は出来ているんだ。
真夏に美味いビールを飲むために、この何ヶ月も畑で頑張ってきた。
だから、梅雨なんか早く追いやって真夏の太陽を見せて欲しい。
短い夏を、長引く梅雨なんかに割いている時間は無い。


   

ドロンパ号。

アクセルをちょっと捻れば200キロをオーバーするようなバイクも乗ったし、
ゆったりと腰掛ける、大きなスクリーンと巨大な収納スペースが快適なデカスクーターも乗った。
そして常に複数台を所有してきたバイクの末弟として、ほんの軽い気持ちで買ったのが、この「チョイノリ」
バイクは速さとデカさを良しとしてきた僕にとって、あまりの機動力の無さに、ずっと放置していたのだけれど、
先日の大粛清の後、唯一残ったのがコイツなのだから皮肉なものだ。

この、僕にとって8台目となったバイクは空冷49ccエンジンが発する、たった2馬力の力で駆動される。
平地での最高速は40キロ。 
その40キロですら、分解しそうなほどの振動と音で精神的リミッターが作動してしまいアクセルを戻す事になる。
結局このスクーターは、路地裏をまさに原動機つきの自転車としてトコトコ走るのがお似合いなんだ。
歳のせいか、速いバイクに乗る事が怖くなった僕にはちょうど良いのかもしれない。

オイルを代え、チェーンを張り(チョイノリはチェーン駆動)、エンストしがちなアイドリングを上げ、ブレーキを調節し、プラグ磨く。
長い事放置されていた、「ドロンパ号」はすっかり生き返り、機嫌良さ気にポコポコポコとアイドリングを続ける。
暫くはこの空冷OHVエンジンの発する長閑な音が相棒となるだろう。
また大きなバイクが恋しくなる時まで。

夜は枝豆でビール。
その後、ナス焼きとカツオの刺身で日本酒を2合ほど。
そして今、大きなグラスに大量の氷、そしてウイスキーを入れてきた。
これを持って、読みかけの文庫と共にベッドへ行くのだ。

寝る前の、この心地の良い時間は誰にも邪魔されたくない。
明日出勤するまでの長い夜は僕だけのものだ。










 

06/7/21 (金) 梅雨明けず

いまだ長く伸びる、勢力を増す梅雨前線。
今年の夏は難産となりそうだ。
あと一息で大好きな夏が来るのは解っているのだけれど、連日の停滞する厚い雲に溜息をつく。
枝豆もトマトもスイカも、日照不足が影響し、今ひとつ元気が無い。

早朝、ベッドの上でさっきまで見ていた夢の事を思う。
収容所に向かう貨物列車から逃げ出した僕は、別れ際、神父に貰ったハンカチ包みを握り、空襲の荒野を逃げ惑う。
何日も食事をしておらず、命がけで追っ手から逃げるも空腹で体が動かずもう体力の限界で・・
そんな夢だ。
汗をかいて目覚めた後、その夢に見た話は中学生の頃の国語教科書に出ていた「一切れのパン」と言う物語りだった事に気付く。
確かに空腹で目が覚めたのだけれど、何もそんな夢を見なくたって。
一切れのパン、中学の授業で読んだ人はどの位居るだろう。
25年程前の事だけれど。

電車で出勤。
雨の中、駅から2キロの距離を歩けば濡れてしまう靴下とTシャツの代えをデイバックに入れ、携帯ラジオでFMを聞きながら歩く。
仕事は適度な忙しさ。
トラブルもなく、一日が早い。
昼に、この頃凝っている龍口春雨とガリガリ君。
おやつは食べる時間無し。



少し熱感あり、スポーツジムへ行かず真っ直ぐ帰る。
霧のような雨。
体も髪も服も、なにもかもシットリと濡れている。
食材を買う気力もなく直帰。
玄関を開け、犬の歓待を受ける。

大きなバイクを先日処分し、唯一残っている原付の整備。
これからメインとなる、その原付の任意保険加入。
近所の散歩と、産直野菜売り場のチェック。
僕の作る野菜のほうが良く出来ている事を確認し、悦に入る。

   

何となく食欲無く、イワシの干物と焼き海苔で酒を呑む。
読みかけの「剣客商売」、上等な冷酒、ベッドの上で枕(1万円のテンピュールだ)を齧る犬。
僕なりに、苦労も不満も怒りもある日々だけれど、こんな時間があるなら、それも有る程度は我慢できる。
ある程度は。

軒に吊るした南部鉄の風鈴が鳴る。
少し風が出てきたようだ。
毎晩和ませてくれるスズムシたちは、今夜は全く鳴いてくれない。
窓を開けると、雲が低い。
明日も曇り時々雨の予報。





 


 

06/7/20 (木)  車を買う


   

朝起きて温度計を見ると20度。
この位の気温だと、確かによく眠れる。
開けたままの窓から夜の間に雨が吹き込んだようで、フローリングがしっとりと濡れている。
曇り。 しかし濃密な雨の匂い。

スズムシにナスとキュウリのエサをやる。
贅沢なスズムシだ。
東京で飼われているのに、畑から採れたての無農薬野菜を毎日食べているんだ。
でも毎晩、優しい声で歌ってくれる。
最初は気になるのか、水槽に手を入れてチョッカイを出し、スズムシ達を恐慌状態に陥らせていた僕の犬も
この頃は慣れた様で気にも留めない。

棚の巨峰の実は少しずつ大きくなってきている。
そろそろ袋掛けの時期だろうか。

自転車で出勤。
昼までミッチリと働く。
そして仕事が上手くはこぶと気分が良い。
敷地内のいくつもの建物を動き回り、溜まっていた仕事をバッサバッサと片付けていく。
僕は、やれば出来る子なんだ。

遅い昼にカップの「龍口春雨・さんらーたん麺」を食べる。
最近食べたカップ麺の中では至上的最高の美味さ。
一度気に入ると食べ続ける癖が有るから、きっと週末あたりに箱買いすると思う。



3分でカップ麺をやっつけてから携帯を握り続ける。
相手は車のオークション業者だ。
グレード、エンジンの状態、車体の状態、タイヤや車検の残り。
妥協と駆け引きと諦めと。
入札しては出し抜かれ、次ぎの車は希望の物と違い、その次は過走行で、他の奴は装備が悪く。
でも最後は、「勝ったな感」と共に電話を切る。
そう、車を競り落としてしまったんだ。

初めての軽自動車、そして中古車。
畑へ行く時に堆肥や農具を満載し、トランクには収穫した数十キロの芋を積み、汗とドロにまみれて革のシートに座る。
そんな使い方を普段の車にさせる事がもう無理だと思っていたんだ。
だって、どうも車内が臭いと思ったらトランクルームで玉葱が腐っていたり、
20キロの鶏糞の袋が破れてしまい、内装を剥がして高圧洗浄されるスポーツカーなんて可哀想過ぎる。

主力戦闘機に対して支援輸送機の役割を担ってもらう為に手に入れた車は現在大阪に有り、来週早々に陸送されてくる予定。
後部座席は取り外し荷台にしよう。
野菜を直射日光から守るためにスモークを貼ろう。
まずは徹底的に整備だな。
名義変更、車庫証明、保険の手続き。
忙しくなりそうだ。

しかし、買うと決めたのは今朝。
その6時間後にはネットバンクから送金まで済んでいたのだから、
いくら前から欲しいとは思っていたものでも少し衝動的だったかもしれない。
怖くて、Mには言えない。 すぐにバレるだろうけれど。




仕事帰りにスポーツジムへ寄り、またいつも通りのプログラムをこなす。
走りながら色々と考え事をしていたらペースを上げすぎ、コケそうになった。

マシンルームの壁面に並ぶテレビから、長大に伸びた梅雨前線の影響による大雨のニュースが流れる。
大雨警報が出た八丈島の映像が映る。
そこは僕がかつて長く付き合った女性と、ある夏にテントを張った藍ヶ江の浜だった。
海の色が藍色を帯びた、美しい入り江だ。

あれからもう恐ろしいほど長い時間が経つと言うのに、その映像を見て狼狽し、おもわずランニングマシンを停めてモニターに見入る。
そして、そんな自分に驚く。
時間が経っても、少しも消えない記憶がある。
ただ、普段は思い出さず海馬の底に沈んでいるだけなんだ。

そして夜。
18年前の夏のキャンプを色濃く思い出していた僕は、今日がMの誕生日だと言う事にようやく気付く。
酒に侵された灰色の脳細胞は新しい記憶の保持は苦手らしい。
まずいぞ。
車衝動買いの件と言い、コレは嵐の予感。

怖いので今夜も早くに寝るつもり。



 

 

 

 

 


 

06/7/19 (水)

   

とうとうと、時が流れる。
そして連日の雨。
灰色の空の下、薄紅のコスモスが咲く。

特に理由は無いけれど、何となく元気なし。
仕事も私生活もパッとせず、背中を丸めて歩く。
きっと梅雨がいつまでも明けないせいだ。
この前線さえ行ってしまえば。
そう思いながら天気図を睨む。

今日の昼はMと昼寝。
夕方、Mの元旦那の件で非常に不愉快な思いをし、うな垂れて帰宅。
夜は畑から採ってきた賀茂なすで田楽を作った。

予報では暫く雨が続く。
電車通勤の消耗と、ここ数日続く微熱とがグッタリと気持ちを萎えさせる。
今夜も早くに寝よう。
熟睡できれば、少しは快復するかもしれない。


 

 


06/7/16 (日)

   

雲の多い日。
早朝、ベッドの中で目覚め、あぁ今日はお別れの日なんだと溜息をつく。
苦楽の時間を共有したバイクと別れる日。
自分で決めた事だ。
メソメソするのは止めにしよう。

朝から蒸し暑く、小雨が降ったり陽が差したりの日曜日。
自宅から程近いバイク買取業者の駐車場に並んだ愛車を見おろす。
手に入れたときのこと、好きな山道を走ったときのこと、バッテリーが上がり押し掛けしたときのこと。
懐かしい思い出が浮かんでは消える。

それなのに。
名義上まだ僕が所有するバイクなのに、いざ業者へ持ち込むと、もう遠く離れてしまったように感じる。
手放す事を決めた僕にはもう、こいつらを想う資格が無いという事なのかもしれない。
それでも、新しい持ち主の元で素晴らしいエンジンの音色を放ってくれる事を願う。
こいつらの魅力を充分に発揮できる飼い主に出会える事を祈る。

これから先、もう大きなバイクに乗る事は無い気がする。
小さなスクーターに乗る事はあるだろうが、脳髄が麻痺するような加速をもたらしてくれる凶暴な鉄の塊には、乗らないだろう。
緻密に組まれたエンジンの鼓動。 
ピストンとバルブ、カムの動き。そしてエグゾーストの共鳴。

それでも、万が一。
またこんな奴らに乗れる日が来る時の為、ヘルメットだけは大切に仕舞いこんだ。
そのときが来る事を願いつつ、綺麗に拭いてクロゼットの奥にそっと置いた。
いつかまた、この真っ赤なヘルメットを使う事が有れば嬉しい。
そんな日が来るだろうか。








 

 


 

06/7/15 (土)  バイクを手放す

素晴らしい暑さ。
東京の最高気温は36.1度。
今日の空は、間違いなく真夏のそれだった。
なんて気分が良いんだろう。
職場内の雑木林ではクヌギの葉が緑の濃さを増し、キジバトが巣を作る。
午前、仕事を放り出し汗を流しながら敷地内を散歩した。
職員の誰かが作ったのだろう。 七夕飾りが忘れられ、ゆれていた。

昼に大勝軒で中華蕎麦。
店内を見回せば殆どの客は冷たい「もりそば」を啜っている。
こんな暑い日にアツアツの中華蕎麦を注文するのが真の大勝軒マニアっていうもんだ。
大振りな丼に、なみなみと注がれた熱く濃い醤油味の汁を飲み干した。
相変わらず美味し。

14時半。
文句の付けようが無いほどの雷雨が通り過ぎる。
急速に暗くなる空。
突風と遠雷、そして土砂降りの雨。

空を裂く稲妻と、腹に響くほどの雷鳴。
バチッという衝撃と、そして停電。
僕は子犬の様にクルクルとはしゃいで、非常口の踊り場で向かいの大通りを眺める。
昼間だと言うのにヘッドライトを点けた車の列、ワイパーが役に立たず路肩に寄る教習車。
びしょ濡れになって走る人と、強風に鳴く高圧電線。
ほんの10分ほどだったけれど、これほど完璧な驟雨を久しぶりに見た気がする。

そして嵐の後、停電でダウンした機器のフォローに走り回る事になる。




仕事を終え、今夜は犬と遊びたいから真っ直ぐに帰宅しようと思っていた。
でも、スポーツクラブへ行く。
あの大きなガラスの壁沿いに並んだランニングマシンで走りながら、考え事をしようと思った。
昼間の熱気に火照った下界を眺めながら、機械の上で10キロ走る間に決めようと思った。
バイクを降りようと思っているんだ。

この頃、ずっと考えていた事。
バイクのことを考えると、うまく説明できない寂しい気分になる。
ここ数年、バイクに乗る事に新鮮味を感じなくなっていたんだ。
僕にとって、バイクが趣味の乗り物ではなく、単に「簡便な移動手段」に成り下がってしまっていた。

今年になってから何度もバッテリが上がり、その度に押しがけをしてエンジンをかける。
レッドゾーンまで引っ張るとジェット戦闘機のような快音を出す4気筒16バルブのエンジンも、綺麗な黄金色に焼けていた集合管も今はもう色褪せている。
カバーを掛けられ、くすんだ車体からは以前のような溢れるほどの自由の力を感じることが無い。
そんな状態を打開しようと3年前に買った流行のデカいスクーターはただ場所をとるだけの邪魔者になっている。
カウルもスクリーンも曇り、うな垂れている。

教習所に通い、バイクの免許を取ったのは遥か昔の事。
教習車はヤマハの重いXJで、一本橋の苦手な僕は深夜の公園で1人練習したっけ。
モーターサイクリストなんていう雑誌のツーリングレポートを読んでは、僕もこういう経験がしたいと思った。
そして自分のバイクを手に入れてから、箱根の峠道、房総の海辺、都心のビルの谷間を走り周り、やがて幾人かのバイク友達も出来たんだ。
あの頃、たしかに道行く見ず知らずのライダーとの間に、ある種の連帯感を感じていた。

でも、長い時間の果てに当時のバイク友達のある者はバイクを降り、またある者は家庭を持ち、そして1人は事故で死んでしまった。
そして僕は左肘に事故による一生消えない障害を残し、それでもズルズルと当時の思い出を引きずりあの頃をを忘れられずに居た。

バイクに熱中した人なら解る、あの緊張感と開放感。
そして今感じる、バイクに乗る事の怖さ。
そう、正直に白状すれば、ここ何年もバイクに乗る事が怖くなっていたんだ。
容赦なく、自分が歳をとったことを認めざるを得ない。
怖くなってしまっては、おしまいだ。
朽ちさせるのは惜しい。
足代わりのコレを残し、他のバイクを手放そうと決めた。
明日、買取業者に持ち込もう。




   

夜は玉コンニャクを煮た。
酒は喜界島の黒糖焼酎「朝日」をロックで。
体の芯がボンヤリ熱く、風邪をひいたのかも知れない。
今夜は早くに寝よう。

 


 

06/7/13 (木)  サツマイモを植える

堪らない程の蒸し暑さ。
隣接する練馬区では35度を越えた。
我が家の1歳半のお嬢さんも、この暑さにはお手上げらしい。

   


東京は盆の入り。
明治の頃、太陰暦から太陽暦へ変わった時に東京地方はお盆行事も新暦へ移行し、
7月がお盆月なのだ。
でもやはりお盆は8月が良い。
海辺の母の実家で子供の頃に経験したお盆を思い出す。
盆提灯が灯って、迎え火を焚いて、キュウリとナスで馬を作って。
ヒグラシが鳴く夕方の庭で、今はもう死んでしまった従兄弟と線香花火をやったっけ。



適期から1月も遅れてしまったサツマイモを畑へ植えつけよう。
高さ40センチの高畝を作るためにシャベルを振り回す。
5メートルの畝を3本作り終える頃には汗とドロで酷い状態で、それでも黙々と作業を続ける。
平日の1番暑い時間帯。
畑には僕の他に人影は無く、とても静かだ。


帰宅後シャワーで生き返り、しばらくボンヤリ。
色々な妄想を楽しんでいたら少し眠ってしまった。


ウトウトしながら、ジュンサイが旬だなあ、なんて思う。
僕はこのジュンサイと言うものが大好物なんだ。
1年中売っているジュンサイだけれど、アレは加熱後に瓶積めしたもので美味しくない。
生のジュンサイを食べられるのは、この時期だけだ。
そう思ったら止まらなくなった。
多糖類に覆われたツルンとしたジュンサイを冷たい出汁に浮かべて食べたい。


母を車に乗せ、電話で予約した和食屋へ行く。
茶室作りの個室で、ガラス越しに完璧な手入れのされた中庭を見ながら食事をした。
トビウオお造り、キスのてんぷら、車海老の握り、アイナメの木の芽焼き、湯葉の茶碗蒸し。
そして冷たい昆布出汁に浮いたジュンサイ。
車で来たのでほうじ茶を啜りながら、次々と運ばれる料理を平らげて行く。
白玉ぜんざいで〆ておしまい。
途中、素晴らしい雷雨がやって来て、あっと言う間に去って行った。


久しぶりにゆっくりと話しをした母が、今年70歳になるのだと言う事に気付いて愕然とする。
すっかり髪も白くなり、長く患っているリウマチの影響で体調もあまり良くないようだ。
色々と考える事多し。


夜はジムで走った。
遠くで青い稲光。
明日も暑くなりそうだ。

 

 


 

 

06/7/11 (火)  朝顔

朝4時、喉の渇きで目が覚める。
飲み慣れた日本酒と違い、他の酒は酔い加減がよく解らない。
昨夜は焼酎のロックをつい飲みすぎてしまったんだ。


氷水を飲み、枕元のラジオを点ける。
カーテンを開けるとボンヤリとした夜明け。
家の外周フェンス沿いに植えた朝顔の花は、この時間まだ開いていない。

   

7時、自転車で出勤。
この時間になると朝顔の花は満開だ。
今年は株数が多いので、近所でも評判になるほどよく咲いている。
全て、僕が好きなブルーの花だ。


まるで霧の中を行くかのような湿気。
気温は朝から27度。
7キロの自転車通勤で汗が吹き出る。
職場へ着き、ペーパータオルを水で搾り全身を拭く。
シーブリーズで仕上げて、やっと生き返る事ができる。
夏が好きな僕でも、曇天続きの毎日とこの湿気には参る。


職場の窓から遠くを見ると、白く重く濁った空が広がっている。
青空に浮かぶ入道雲を早く見たい。




既視感と言うか、違和感と言うか、そんな感じに襲われる。
仕事帰り、ジムでストレッチをしていた時だ。
何だろう?と思う。
その不思議な感じから逃れたいと、周りを見回す。
走っている人、マシンで筋トレする人、エアロバイクを漕ぐ人。
そんな人達を見て、アッと思う。
この人達は、僕が3年前まで行っていた他のジムの会員さんたちだ。
3年前、ロッカーで会えばかすかに会釈をする程度だった人達が、なぜかココに何人もいるじゃないか。


夜、愛媛の日本酒・賀儀屋を呑む。
肴はナスのぬか漬け、冷奴、カタクチイワシを炙ったもの。
ナスのぬか漬けを色よく漬けるにはどうすれば良いんだったかな。
そんな事を調べようとネットを徘徊し、ついでに以前通っていたジムのホームページをみて見る。
すると、6月末で営業終了のお知らせ。
なるほど、それで会員が移って来たんだな。
当時、一緒にマラソン大会に出たジム友はどうしているだろう。
梅雨明け直後の昭和記念公園。
猛暑のレースで何人も倒れ、救急車が喧しかったっけ。


予報によると今週一杯は曇りの日が続く。
台風4号も台湾の方へ行ってしまう。
今年の梅雨はこんな日が多い。
もっと降れば良いのにと思う。
雨降りの日に傘をさして歩くのが好きなんだ。
そして間もなくやってくる真夏を思うんだ。

 

 

 



 


 

06/7/10 (月)  中々

曇り。
今日も湿度が高くジットリと空気が重い。
珍しく仕事は順調で、あっと言う間に昼間の時間が過ぎてゆく。
昼に差し入れの春雨ラーメン。
おやつは食べる時間なし。

19時。
ジム定休日にて自宅へ直帰し、車に乗り換えて酒類を大量に仕入れに行く。
日本酒専門店でついでに買うことの多い、風呂上りに呑む缶酎ハイやビール。
やはり安売りの店で買うと、普段定価で買っているのがバカらしくなる。
30缶ほども買い込み帰宅。
これだけ有れば今月一杯は持つだろう。

   

酒だけ買って食料を買うことを忘れちまった。
冷蔵庫を漁り、作戦を練る。
炒り卵を作り、塩鮭を焼き、キュウリをスライスする。
ゴマとジャコとシソとカリカリ梅。
それら全てをご飯と混ぜ合わせ、味付けは仕込み中の梅干に染み出してきた梅酢で。
サッパリと、とても美味し。
他には古漬けのキュウリとジャガイモを蒸かしたもの。
畑から30キロ以上の収穫があったジャガイモは食べても食べても減っていかない。
近所におすそ分けしようか。

酒は宮崎・黒木本店の麦焼酎「中々」を大量の氷でロックに。
焼酎はあまり飲まないけれど、この「中々」はとても美味しいと思う。







 


 

06/7/9 (日) 新しい眼鏡

6時起床。
予報では朝から雨との事だけれど、まだ降っていない。
しめしめ、今のうちに作業しようとベッドから這い出す。

0W-20と言う特殊な粘度のオイルを1500キロあたり1ℓ消費する金食い虫の車にオイルを喰わせる。
エアフィルタのチェックとエアコンの花粉フィルタの掃除。
バイクのアイドリング調整、ガタの出ていたカウルの増し締め、ブレーキパッド残量チェック。
池の濾過機のフィルターを洗い、朝顔のツルを誘引し、メダカに餌をやり、鈴虫の水槽に霧をかける。
日曜早朝の時間、自分でも驚くほど元気に動き回る。
全ての原動力は季節が夏へ向かうと言う、ただその事の嬉しさから来るものだ。

   

10時。 ラジオを聴きながら仕込み中の梅干に紫蘇を入れる。
赤紫蘇を塩で揉み、アクを出してから漬け樽へ投入するんだ。
中学生の頃からやっている梅干の仕込み。
もうすっかりと慣れてしまい、レシピなど見ずに体が勝手に動くようだ。
紫蘇の懐かしい香りと鮮やかな赤。
やっている事は25年前と少しも変わらない。


発作的に中古の車が欲しくなり、ネットで相場を調べる。
畑へ行く時は堆肥や肥料、クワやシャベル、長靴や様々な園芸資材を詰め込む。
農作業後は体中ドロドロになり、かすかな鶏糞の薫る車で帰路につく。
買ったばかりの車の象牙色の革シートにはタマネギの匂いが染み込み、サーキットでも充分に通用するタイヤは泥にまみれている。
今の車も、その前のBMWも、そのまた前のムスタングも、そんな使われ方に耐えてきた。
そんな状況に限界を感じてはいるんだ。
もう一台、資材運びや犬と一緒のドライブ、近所の買い物に気軽に使える車があったら。
そんな使い方に、中古で安くなっている四輪駆動車が欲しいと思ったんだ。


例の三菱ショックで欲しい車の相場は見事に暴落しており、これなら狙えるのではないかとほくそ笑む。
やっぱり色は赤だなとか、ちょい乗り専門だからATで良いやとか、必要も無いけれど四駆ならでかいフォグ付きが良いなとか。
そんな妄想にしばし浸り、気付けば昼。
Mと約束の時間だ。


埼玉のM宅。
しばらくゴロゴロしてからラーメンを食べに出る。
今日はMの地元で数年前に開店した「隠れ麺や 双六」
評判は聞いていたけれど、いまだ未食で気になっていた店だ。


   

住宅街の中にある目立たない店。
入店したとき、他に客は無く少し不安になる。
注文したのは「鶏塩ラーメン」で、やがて出てきたそれは唸ってしまうほどに美味いラーメンだった。

透明な汁は際立ったものは無いけれどジンワリと鶏の旨みが沁みてくる。
茹で時間一分の細麺は、太麺好きな僕でも納得の汁と良くあう縮れ麺。
ミズナとプリプリのチャーシュー。
久々にMと共々、汁を最後まで飲み干した一杯だった。
初めて行く店で、好みの蕎麦に出会えると機嫌がよくなってしまう。





Mの末っ子と合流後、ひばりが丘の眼鏡屋「和真」で先日注文していた眼鏡の受け取り。
チタンフレームと最高屈折率レンズの組み合わせで約7万円。
数年に一度は作り変える眼鏡でこの値段はキツイな。
禁煙治療にさえ健保適応されると言うのに、僕のように日常生活に影響する裸眼0.1の患者が全額自己負担と言うのは冷たいのではないか。
でも、新しい眼鏡の見えの良さに機嫌を良くし、ニコニコとする。

夕方、さかんにツバメ飛ぶ。
夕飯には鯛のカブトを煮た。

明日はまた月曜日。
雲の多い日となりそうだ。









 

 


 

06/7/8  (土) 

いつのまにか小暑も過ぎて夏も目前。
でも、梅雨特有の白い雲が低く流れる毎日。
昨夜の七夕も雲の向こう。
職場中庭の大きな七夕飾りもうな垂れていた。

朝6時に起き、犬と散歩。
その後自宅の畑を見回り、サツマイモの育苗。
植え付け適期を過ぎてしまったサツマイモ。 失敗は許されない。
温室内のスイカは驚異的な成長を見せ、トマトはそろそろ収穫できそうだ。
しかし、受粉しやすいトマトと違いスイカの結実は芳しくない。
閉鎖空間でミツバチによる受粉が期待できないからだ。
今後、毎朝の開花チェックと人工受粉が必要。

7時半、職場着。
自室で貰い物の「黒コショウ煎餅」など齧りながら紅茶をすすっていると救急呼び出し。
忙しく走り回る。
室内は空調が効いていても、建物間の移動でドッと汗をかく。

気付けば昼。
汗をかいて考えるのは冷たいつけ麺が食べたいな、と言う事。
非常口から抜け出し、バイクで大勝軒へ向かう。
1人客用のカウンターが満席で、代わりに案内された座敷に足を伸ばし、読みかけの「剣客商売」を読みながら注文の「もりそば」を待つ。
ここの麺は太く茹で時間が掛かるため、比較的待ち時間が長いのだ。
でも、待つ甲斐は有るぞ。
七味唐辛子を大量投入した漬け汁に泳がせたモチモチの太麺をたぐるのは至福の時だ。

しかし1時間後、職場へ戻って見ると測定機器から漏水し、ちょっとした騒ぎになっていたのだった。
午後はずっと事務仕事。



   

明日は雨の予報を信じてジムを休む。
雨が降るのなら、日曜に予定していた畑作業を今日中に済ませておきたいからだ。
日没と競争するように雑草を抜き、トマトの芽かきをし、ナスの整枝をし、枝豆の種を蒔く。
収穫は伏見長ナスとトマト、大きくなりすぎたキュウリ。

夕飯にはナスを焼いた。
夏の時期、焼いてキレイに皮を剥いたナスに出汁を掛けて食べるのは、ちょっとした幸せだ。
他には刻んだミョウガに先日漬けた梅から出た梅酢をかけたもの。
キュウリの古漬け。
ラッキョウの塩漬け。(ここまでは自給自足野菜)
カツオの厚切りにショウガ、シソ、タマネギなどを大量にのせ、ポン酢で。
犬には鳥のササミを茹でた。

夜、気象通報を聞きながら台風の事を思う。
宮古島の南東にある台風3号は950hPa、最大風速40メートル。 300キロに及ぶ暴風域を保ちながら悠然と進む。
眼下の海を大時化にしながら。
あらゆるものを吸い込みながら。
その巨大な渦巻きと、それを作るコリオリの力を想像する。
人の力など到底及ばない、その力を思う。

今夜の東京は湿気に淀み風が無い。
開いた窓から夜の曇天を見あげ、風を待つ。
台風の風に吹かれたいな、と思う。
今年の夏は幾つの台風を経験できるだろうか。

 

 

 

 

 


 

06/7/5 (水)  雨の中露天風呂に入る

低気圧と前線の影響による大粒の雨と強い風。
そんな中、車を飛ばして温泉へ行った。

   

高速を下りると空が広い。
その空には低く雲が垂れこめ、昼前だと言うのに周囲は暗い。
麦の収穫が終わった畑の中の一本道。
車から一歩出ると全身びしょ濡れになる程の雨だ。

腹が減ったな。
門前で栄えた水沢うどんは有名で、麺好きな僕らはそれを楽しみにしていた。
歴史の有る重厚なお店で食べたそのうどんは、モチモチ美味しく幾らでも食べられそうだった。

やっぱり麺が好きだな、と思う。
何処かへ出掛けて、その地の麺を食べるのは楽しい。
稲庭のうどんも喜多方のラーメンも美味かったな。
讃岐のうどんの美味さは忘れられないし、沖縄で初めてソーキ蕎麦を食べた時は唸ってしまった。
新蕎麦の季節に美味い蕎麦を求めて秩父を彷徨ったり、その挙句に大失敗の店に入ってしまったり。

Mとそんな話しをしながらうどんをすする。
ガラスの向こうに大粒の雨を見ながら、居心地の良いお店にしばらく居た。



   

雨の露天風呂ほど気持ちの良い物は無い。
まして、他に客も無く竹垣の向こうのMと話しながら入れるのなら尚更だ。
山肌から流れ下りてくる霧と雨と湯気に白く煙る古い露天風呂。
とても静かでこのまま眠ってしまいたくなる。
もう動きたくないよ。
ずいぶん長湯したけれど、他の客は最後まで入ってこなかった。

ふやけた体で温泉街をしばらく散歩した。
ビーチサンダルと半ズボン。アタマにはタオルを巻いて傘などあまり役に立たない大雨の中を。
こんな日は観光客も宿に篭っているのかな。
温泉街特有の街並みは、歩く人も少なくただ雨の音がするばかり。

坂が多い街は住むには大変だろうけど、こうして散歩すると良いもんだな。
これで天気が良ければ眺めも最高だろう。
居心地が良くて、路地から路地へと歩き回った。
全身ビショビショになりながら。


このままここに泊まれれば良いのにと思う。
温泉で溶けて、仕上げにビールでも飲む事ができればと。
でも、そんな事がかなう筈も無く、また高速へ乗る。
M宅最寄のインターまではたったの100キロだ。
雨の為50キロ規制が出た関越道を、淡々と走ろう。

19時、M宅着。
畑の様子を少し見て20時に自宅へ帰った。

夕飯にはじゃが芋を蒸して食べた。
明日の東京は曇り時々雨の予報。
はるか西の方では激しく雨が降るらしい。
南海から強力な台風3号もやってくる。
夜、久しぶりにラジオを聞きながら天気図を書いた。










 


 

06/7/3 (月)  おめでとう

異性の親友から届いた入籍報告のmailを、万感の思いで読む。

初めて会った20年前の事を、まるで昨日の事のように良く覚えている。
彼女はまだ18歳で、可愛くてクラスのアイドルだったっけ。
人見知りの激しい僕は緊張して近づく事も出来なかったのに、彼女の方から色々と話し掛けてくれたんだ。
やがて2人で飲み歩くようになり、そして親友になった。

吉祥寺を根城にした、4年間の学生時代。
新宿をふらついた、その後の社会人時代。
酔い潰れては、部屋に泊めてもらったっけ。
いつも一緒に飲んだ吉祥寺の「開花屋」は閉店してしまったし、「BOGA」も、もう無い。
あの「いせや」も取り壊しになるらしいよ。
井の頭公園のベンチで始発まで話したことも、夜の高速から見た仙台の花火も、漁火を見ながら歩いた青森の漁港も。
堪えきれずに泣く君を、道行く人が好奇の目で見たあの時ですら今では懐かしい思い出。

長い時間と幾つもの出来事を経て今は遠く離れているけれど、君の思う事感じる事が手に取るように良く解る。
このmailから滲み出る、嬉しさも不安も。
先の見えない苦しい時期を越えて今、新しい生活をはじめたんだね。

でも、きっと大丈夫。
君は今まで僕が見知ってきた人の中で、最も意志が強く賢く根性の有る人だよ。
辛い思いを沢山した分、幸せになる権利が有る。

初夏の函館は良い気候なんだろうな。
いつかまた会えるときを楽しみにしているよ。
そしてまた、一緒に呑もう。
そのときまで、元気で。



   

夜はトビウオを焼いた。
酒は賀儀屋の純米吟醸生原酒。

明日の会議のレポートを作ろうと資料を持ち帰ったが、やる気なし。
今夜は少し酔おうと思う。



 


 

06/7/2 (日)  活発に動く

   

雲の多い、そして蒸し暑い朝。

6時。
日曜だと言うのにもう活動を始める。
昨晩、和歌山の農協に予約してあった完熟の南高梅が届いたからだ。

完熟した梅の芳香で、キッチン中が桃のような良い香り。
ためしに一つ齧ってみると、水分の少ないプラムのような味だった。

梅の重量に対して13%の塩。
これは減塩梅干を作るとき、カビが出ないギリギリの量だ。
25度の焼酎を一合、梅と同じ重さの重石。
梅酢が上がったら、赤紫蘇を入れ、土用干しまでまた放置。
たったこれだけで美味い梅干が出来るのだ。

8時。
ブドウの実に黒い点を見つけ慌てる。
房枯れ病か褐斑病か。
ベンレート1000倍液を作り、棚にハシゴを掛けて散布。
大事に育ている実をそんな病気で失うわけには行かない。

苗取り用のサツマイモ株の芯を止める。
この芯を止めた株から出る脇芽を畑にさしてサツマイモを作るんだ。
二箇所借りている畑の遠い方、埼玉の畑はせいぜい週に一度しか行けない為、手間のかかる野菜は作れない。
トマトやキュウリは到底不可能で、自然と作るのに手間の掛からない根菜や芋類となる。
ジャガイモを収穫した後の埼玉の畑で作るのは、里芋、落花生、長芋とゴボウ、そして今から苗作りをするサツマイモだ。

   

9時。
温室に篭り、滝の汗を流しながらスイカの手入れ。
今年初めての雌花咲く。
上手く受粉できていたら50日後に大玉のスイカが喰えるだろう。

   

10時半。
埼玉の畑でMとその息子と待ち合わせ。
Mの息子にジャガイモを掘らせる。
ゴロゴロと出てくる大きな芋に大ハシャギの子をMと笑いながら眺める。
新ジャガは美味いぞ。
夜にでもお母さんに蒸してもらって、バターを付けて食べてごらん。
芋掘りは楽しいな。
来年もその次の年も、ずっと一緒に芋掘りをしようね。

   

昼。
約40株の落花生の苗を植える。
温室内で発芽させ、この大きさまで管理したものを畑に植え付けだ。
夏が往き、空が高くなった頃、またMの子と掘り上げよう。
掘りたての落花生を塩茹でして食べる美味さは、一度知ったらやめられない。

その後、驟雨。
車の中から大粒の雨を見つめる。
急速に下がる気温。
雨に濡れて走る猫。
植えたばかりの小さな苗が、雨に打たれて揺れている。





一旦帰宅しシャワーで生き返る。
午後、再びMと合流し、大泉の大勝軒で昼飯。
僕は200グラムのつけ麺を、Mは400グラムの中華蕎麦を。
彼女がペロリと完食するのを横目に、僕はやや苦戦。
Mは痩せているのに良く食べる。

その後、方々を買い物に歩き夕方まで一緒に過ごす。
西友の地下で食材を物色。
今夜のM宅はピーマンの肉詰め。
僕は1日動いて汗をかいたから辛いものが食べたいな。
畑からナスを収穫して、辛いカレーを作ろう。

いつもの高台から、いつの間にか雲が切れ空が見えるのを2人で眺めた。
刷毛でサッと画いたような高層の雲。
まるで秋の雲のようだ。


8月の初旬。
僕の一番好きな季節に、もしかしたらMと旅行へ行けるかもしれない。
子供達が父親と出かける予定があり、その時に上手く休みを合わせる事が出来れば一泊二日の日程を捻り出せるかもしれない。

2人で旅行に行くこと。
かすかなチャンスと失望とまた次の期待と。
そんな事の繰り返しで、10数年付き合ってきて今だ果たせていない夢。
あまり期待はしないでおこう。  
まだ解らないのだから。

それでも、もう今から行きたい所が頭に次々と浮かんでくる。
僕が子供時代を過ごした海も良い。  学生時代良く行った山も良い。
Mと旅行。
そんな事が本当に出来るんだろうか。




   

チキンとナスのカレー。

大きくなり過ぎたキュウリ、タマネギ、長ナス、加茂ナス。
サラッとしたカレーが好きなので、新ジャガは別茹でし食べるときにあわせる。
付け合せはラッキョウの塩漬けと青トマトのヌカ漬け。
それとトマトのサラダ。

やった。
今夜の食事の野菜は全て自給自足だ。
そんな事が嬉しい。
もう少し経てばブドウとスイカをデザートに付ける事も出来るだろう。

明日は晴れの予報。
気温は30度まで上がり暑くなる。
でも明日はその夏日を職場の窓越しに眺めなくてはならない。
月初めの忙しい月曜日になるだろう。






コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策で認証を入れます。
それから と4文字入力して頂ければコメント残せます。

コメント:

トラックバック