Mの娘のこと2018年01月06日



二十四節季の小寒と大寒の期間を寒中と言い、もっとも寒さの厳しい時期とされる。
その寒中に有って、自宅二階の出窓でハイビスカスが咲いている。
これは家を建てたとき、20センチほどの小株を買ったものだ。
以来、毎年の切り戻しと植え替えを経て健康に育っている。

この木が開花を休むのは、僅かに2-4月の間だけ。
それ以外の期間、この派手な赤を見せつけ、部屋の中を明るくしてくれる。
植物って、愛情を掛けると応えてくれるから好きだ。

        ----------------------------------------------

Mの娘にはじめて会った時、あの子は2歳だった。
それがいつの間に28歳。
どれだけ長い時間が流れたんだろう。
そのあいだ、僕がどれほどあの子を大切にしてきたかをここには書かない。
書ききれないし、上手く書けないもの。
でもあの子はそれに応えてくれ、僕によく懐いてくれた。
母親と同じ看護師になり、遠くに住んでいるけれど、
たまに電車を乗り継ぎ顔を見せにやって来る。
そして食事をし、いつの間に覚えた酒を飲み、また自分の部屋へと帰ってゆく。

年末、その子に言われた。
付き合っている人がいる。 一緒に住みたいと思っている。 と。
それを待ち望んでもいたし、恐れてもいた。
嗚呼、ついにその瞬間が来たのだ。
歳を想えば当然の事だ。
でもまだ気持ちの整理がつかない。
あの子が遠くに行ってしまった気がして、寂しくて。
Mは喜んで笑っていたけれど。

        -----------------------------------------------

東京の日の出は6時51分。
それは月末には10分ほど早くなる。
明けない夜はない。
もうきっと春も近い。





コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策で認証を入れます。
それから と4文字入力して頂ければコメント残せます。

コメント:

トラックバック