実家の庭2015年09月25日

明け方に寒くなるのは解りきっているのに、窓を開けたまま寝る。
雨音を聞きながら眠りたいからだ。
寝室の窓の外は畑で、先日耕した黒土と雨とそして金木犀の匂いが夜気に混じる。
昨夜もそんな夜。

5時半、長靴を履いて大粒の雨の中を犬と散歩。
気温は18度。 
JRのガード下から図書館前まで往復して帰宅。
ソファに座ってしまえばそのまま仕事をサボってしまいそうな、気だるい朝。
サボる訳にもゆかぬから、溜息一つついて車で出勤。

仕事は多難。
職場の中で大きな部署はそのまま大きな力となる。
反対に僕のような殆ど独りの部署は、常に本流に左右され振り回され翻弄される。
でも僕はその大きな部署に馴染めず、ここに転職してきたのだ。
いまさら文句を言う筋でもない。
この職場の良いところをもっと見るようにしよう。

昼食は緑のたぬき。
午後、また頭痛がはじまり今日のそれは涙が出るほど酷くなった。
うな垂れて定時退勤。
自分の都合で定時に帰れるのは、この職場最大の良いところ。

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夕飯用に、ニガウリを一本収穫する。
自宅裏のフェンスで育てているやつだ。
そしてその場所からしか見えない実家をふと見て戦慄した。
実家の庭が、まるで冬枯れの山のように枯れ果てているんだ。

その瞬間に全てを悟った。
母が居なくなって僕も出入りしなくなったその庭は、この一年で雑草に埋まった。
その処理に困った奴が、除草剤をまいたのだ。
母が集めた山野草も丹精した花壇も刈り揃えた芝も、すべてが消えた。
イカリソウもカンアオイもムラサキシキブもオダマキもホトトギスも。
そこはまるで生きる物の気配の無い、異様な場所になっていた。

草花に興味が無く枯らしてしまった、と言うなら理解できる。
でも、わざわざ薬をまいて枯らすだなんて。
母がどんなにその庭を愛していたか、奴も知っているはずじゃないのか。
到底血の繋がった兄弟とは信じられぬ。
その行為に寒気がする。


夕飯は作る気力なし。
ニガウリを塩もみして、それを肴に酒を飲む。
苦い。

コメント

_ まちこ ― 2015年09月26日 12時01分

うーん、この塩もみはごま油も使っていますか?
つやつやしてすごくおいしそうですね!

私にも兄がいますが、もう10年以上も実家でニートしています。
47歳の兄が73歳の母に小遣いもらってるんですよ。
私の兄は結婚もしたことがありません。私もさんざん嫌な目に遭わされてきましたが、母にもしものことがあったらと考えるのが一番ゆううつです。
bonoさんのお気持ちが、分かるような気がします。

_ bono ― 2015年09月27日 08時09分

そうそう、ちょこっとごま油です。
一本植えただけですが、豊作で食べ切れません。

兄弟って不思議な存在ですね。
子供の頃は仲が良かったんです。
親が健在だった頃は普通に会話も出来ました。
でも今、他人より遠く感じます。
きっと仕事もしてないだろうし、これからどう暮らしていくのか。
まあ、心配するだけ無駄なんですけど。

_ 西洋にんじんぼく ― 2015年09月27日 20時24分


bonoさん
お久しぶりです
私の住んでる地域は最近やっと
金木犀が香りだしました\(^^)/
夏の暑さも落ち着いた頃の
なんとも言えない甘い匂いが好きです

植物が好きなので
ご実家のお庭の話しは
心が痛みました
お気持ち察します

_ bono ― 2015年09月27日 22時21分

あ、西洋にんじんぼくさん。 こんにちは。
金木犀と沈丁花って、なぜか懐かしい記憶に結びついた特別な香りな気がします。 どんな記憶なのか、あるいは前世の思い出なのか。 この頃は外に出るとつい深呼吸してしまいますね。

庭や植物に興味がなければ、何も考えずにやってしまうことなのかもしれません。雑草が伸びたから除草剤。
でもやっぱり思い出の庭が枯れ果てたのはショックで、昨夜もよく眠れませんでした。 しばらくは実家の方を見ないことにします。

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