昨日のこと2013年12月06日



昨日はMと山歩き。
僕の好きな低山を尾根づたいに半日歩いた。
天気は良いし、風はないし、すれ違う人も少ないしで言う事は無い。
陽だまりでお茶を飲んだり、峠から下界を見ながらオニギリを食べたり。
体の奥に溜まったものが昇華し、気持ちがグニャグニャになってゆくのがわかる。

今はもう、八ヶ岳や南アルプスに登りたいという気持ちはどこかへ行ってしまった。
歩きたければもっと歩けば良いし、疲れたら休めば良い。
何も気負わないし、体力も使わない。
そんな低山の散歩が好きなんだ。




帰り道、ナビのモニタに覚えの有る地名が出た。
湖の先の谷あいの集落。
地名を見た瞬間、そこに行きたいと思った。
僕はそこを知っている。 
家族旅行で来た事がある。
あれは僕が虫垂炎で入院した年の夏だったから3歳の時だ。

伊豆だって箱根だって良いはずなのに、なぜ何も無いこの場所へ来たんだろう。
出不精だった父がなぜ、旅行に行こうなどと言ったんだろう。
あるいは歴史好きだった父が、この谷に伝わる姫様の伝説にでも惹かれたんだろうか。

そこには一軒だけ温泉旅館があり、両親と兄との4人で一泊したんだ。
でも覚えているのは旅行に来たという事と家族と一緒だったと言う事。
それだけのはずだった。

その旅館はすでに廃業していた。
集落は廃屋だらけで、誰もいない寒いだけの場所だった。
でもそこを歩いて、僕は3歳だったあの時の事をありありと思い出したんだ。
あの橋を覚えている。
この川で兄と遊んだのも覚えている。
旅館の部屋にトイレが付いていなかった。
岩風呂が楽しかった。
朝食に生卵が出て戸惑った。

古い記憶はいったいどこに仕舞われていたんだろう。
なんだか色々な感情が一気に湧いてきて、ちょっと困ってしまった。
でもその場に突っ伏して泣くわけにもいかず、ただウロウロと集落を歩いた。
あれからもう40数年も経っているなんて、なにかの冗談のように感じる。

家に帰って調べてみたら、その旅館は最近まで営業していたとの事。
山歩きの人が立ち寄り湯した記事などがいくつも出てきた。
ああ、もう少し早くあの場所へ行っていたら良かったのに。
Mと2人であの旅館に泊まったら、僕は何を感じたろう。




今日の月2013年12月06日



月の欠けている所が明るく見える「地球照」
地球に反射した太陽光が、暗い部分を照らすんだ。
冬は地球照の良く見える季節。
露出を長めにした写真だと良く解るけれど、夕方の細い月なら肉眼でも解ると思う。

双眼鏡で月を見ていたら、「かぐや姫の物語」が観たくなった。