2009/3 ― 2009年03月30日
09/3/31 (火) おくりびと
ソメイヨシノは8分咲きか。
3月最後の日は花曇りの火曜日。
この頃は日の出の時間も早くなり、出勤が楽になった。
冬の間はまだ、星が輝いている時間から仕事を始める事も多いんだ。
それは僕だけでなく24時間休まない現場の人たちの全て、もちろんMも昼夜を問わず走り回る。
仕事を始める前の静寂の時間、たとえば今朝は6時。
自室で紅茶を飲みながら、その日するべき事を書き出す。
そのほとんどは現場作業だ。
そんな時願うのは、人の痛みの解かる人間で居たい。人の弱さの解かる人間で居たい。
データでなく人を見たい。
でも、前線へ出てしまえば慌ただしさの波に流されて、ついおざなりになってしまう。
忙しさに呑まれ、声にならない願いを聞き漏らしてしまう。
今日もまた1人お見送り。
僕はその人を見てゆっくり話す事すら出来なかった。
そんな時、嫌悪に襲われもうこの仕事を辞めようかと思う。
昨日、引き出しの中身を整理していてたくさんの紙片を見つけた。
半年前、父が危篤だった時の主治医のメモだ。
まじめな主治医は毎晩見舞う僕のために時間を割き、メモを書きながら父の状態を説明してくれた。
当時の日記にはとても書けなかった数値やら反応やらが書かれたメモを読み返し、あの時のことをありありと思い出す。
そして、あの医師は本物のプロだったと思う。
家を建てようかという無謀な野望の僕に、ハウスメーカーを紹介してくれた友人は2人。
その内の1人が紹介してくれた会社が破綻してしまったのは先日書いた通り。
そしてもう1人が教えてくれた重量鉄骨住宅の担当から手紙が届く。
そこには、着工数の激減により現在新規契約は行っておりません。 とあった。
僕が思っているより遙かに住宅関連は厳しい状態なんだろう。
こんな時期に家を造る事になるなんて。
相続関連の作業がもうすぐ終わる。
そうしたら空いた時間の全てをハウスメーカーの研究に当てよう。
そして金策も考えなければ。
今回の騒動でお金の事ばかり考えてきたけれど、やっと自分自身の金策を考えるところまで漕ぎつけた。
明日は仕事を休んで司法書士、銀行、郵便局、不動産屋。
どうやらMも付き合ってくれるようだ。
早く終わったら映画でも見ようか。
09/3/30 (月) ロールキャベツ
早い時間から仕事をした見返りに、16時半帰宅。
昨日、畑からとってきたキャベツでロールキャベツを煮てみた。
今からM宅へお裾分けだ。
09/3/28 (土) ソラマメの花が咲いた
5時に起きた時の気温は4度。
北風が冷たい。
5時33分の日の出は雲の向こう。
乳白色の春の朝。
自宅の小さな菜園で、菜の花に混じってソラマメが花を開いている。
今年もまた、自分で作った好物のソラマメを肴にビールが飲めそうだ。
5月の中旬には収穫できるかもしれない。
この菜園で野菜を作るのも、これが最後だ。
夏には、兄一家の自転車置き場になるだろう。
朝からの頭痛は昨夜の酒の名残りか、はたまた花粉症の影響か。
なんだか気持ちに張りが無く、意欲がわかない。
職場へ出てしまえば有無をいわさず全開になり、走り回る事になるのだけれど。
自転車で出勤。
午前、機器を持ち込み前線にて仕事。
1人の方をお見送り。
あっという間に昼。
時間は有ったけれど、食欲無く紅茶を飲んだ。
午後はずっとルーチンワーク。
明日は朝から畑の予定。
自宅の菜園から、ニラやアスパラ等移植可能なモノを埼玉の畑へ持って行く。
サルスベリやバラなどの根回しも始めた方がいいだろう。
今まで可愛がった庭を亡くすのは辛いものだ。
諦めたつもりでも、湧き上がる感情は抑えられない。
09/3/27 (金) 情けなくて嫌になる
午前、猛烈な勢いで顕微鏡を見ていた僕に外線が入る。
相手は銀行から業務を委託された債権回収会社の担当者。
しばらく話し込む。
父が相続対策で作った賃貸物件がある。
建設費は家賃のアガリで払うので何の問題もないのだけれど、
そのローンを母親名義に変えるための手続きが法定相続人の一人である兄の怠慢で進まないんだ。
このままではマズイ事になると脅された。
すべての仕事を投げ打って帰宅。
こんな時に限って自転車で出勤しており、向かい風の坂道を立ち漕ぎで急ぐ。
資料ファイル4冊を持ち、車で新宿へ。
担当者にまるでバッタのように頭を下げ、状況を説明し、兄にはキチンとさせると約束し、今出来る書類をその場で作る。
ここ数ヶ月、ありとあらゆる手続き作業をやって来たけれど、その全ては上手くいった。
でも、兄が絡むと途端にこの様だ。
奴がたった一枚の書類を提出しないがために、周りの全てが迷惑を被る。
午後、疲れて職場へ帰る。
デスクの上は沢山の伝言とやりかけの資料。
今日共に仕事をするはずだった部署にとんでもない迷惑をかけた。
ひたすら陳謝。
帰宅後、兄を呼び出し大喧嘩を仕掛けようと思った。
でも、喧嘩にもならず。
「暖簾に腕押し」 「ぬかに釘」 そんな言葉がアタマをよぎる。
今、最優先でしなければならないローンの相続を放り出し、今日も一日遊んでいたのか。
心底情けなくて、泣きそうになった。
夜、ヘトヘトになって自分の場所へ戻り、ネットでニュースをチェックして瞠目した。
先日、友人から注文住宅の会社を紹介されていたんだ。
安い建築コストで施主の思い通りの家を建ててくれる会社で、友人はそこで建てた家をとても気に入っているという。
今度の日曜日、その会社へ僕の家の建築相談に行こうと思っていたんだ。
ネットで見たのは、その会社が50億の負債を抱え民事再生法の適用を申請したというニュースだった。
なんてこった。
駄目だ。
今日は何をやっても上手くいかない。
酒を呑んでさっさと酔っ払ってしまおう。
好物のウドとホタルイカのぬた。
ウドは美味いな。 畑の隅で作ってみようか。
09/3/26 (木) 肥えた
まだ薄暗い時間に自転車で出勤。
気温は4度。
肌寒い朝。
Mに贅肉を指摘され、なるべく自転車での通勤を心がけるようにする。
と、思うのもこれで何度目か。
趣味はダイエット、特技はリバウンドだ。
学生時代はずっと56キロ程度だったのに、この頃は少し気を抜くとあっと言う間に体重が増える。
とくにこの数ヵ月はスポーツジムを止め、ストレス解消に暴飲暴食を繰り返し、通勤にも車ばかり。
気付けば体のシルエットは変わり、ズボンばかりかヘルメットまでがキツイ。
ガソリン代の節約にもなるし、自転車をもっともっと使わなければ。
仕事は順調。
昼食にカップ麺を食べる程度の時間は取れた。
某職能団体の某支部で行う「精度管理調査」の世話人を押し付けられていた事を思い出し、午後はその作業も。
こういう世話人仕事は労多くして報われず。
でも、なぜか僕に話しがまわってくる事が多い。
仕事帰りに父名義の借金20万円の振込み。
ワンコのおやつと僕の食料を買い込み。
夜、造園屋さんと相談。
僕が家を作るかもしれない場所にある数本の樹の植え替え相談。
植え替えた樹が根付いてくれるなら、お金は惜しくない。
でも、移植するにはどの樹も大きすぎ、数十万円をかけても枯れる可能性が大きいと言われた。
樹を切りたくない。
でも、今のままでは家は建たない。
建築予算の目処など全くないと言うのに、そんな事で悩んでいる。
今夜の酒は新潟・原酒造の「越の誉 和醸蔵初出し 純米大吟醸無濾過生原酒」
美味し。
明日も朝が早い。
09/3/25 (水) 払った
インターネットで僕のファルコン号を見た。
僕が育てた車なのに、そこには182万円と書かれている。
いつも窓の向こうに停まっていた奴が、PCの画面に値札を付けて出ている。
不思議な気分。
買取価格+15万円は良心的な値段だろう。
そしてそこには
「もう一度、マニュアルミッションで、車の運転をしてみませんか?
忘れていた車を操る楽しさが、この車なら体現できます。」
との宣伝文句が添えられている。
確かにそうかもしれない。
どうか、良い飼い主のところへ嫁いでくれ。
そしてもう二度と僕の前に姿を見せないで。
知らない誰かが乗っている姿を見たくないから。
仕事を休んで奔走。
ついに、相続税を支払った。
父の死、その後のゴタゴタ、重い税額、胃を傷め血を吐き涙も出ない日々。
そんな万感の思いに浸り、なんだか放心した。
これで大きな山を越えた。
あとは銀行関係の処理が終わればそれで良い。
ここ数ヶ月、僕はとても頑張ったな。
そして、頑張った挙句に何が残ったのか。
父が生きていたら美味い酒を奢ってくれたかもしれない。
09/3/24 (火) 家を建てたくなる
今日もまた、風が強い。
職場中庭の桜はシダレ桜で、染井吉野よりも早く咲く。
やっと5分咲き程度に開いたその花が、強風に吹かれ雪のように散ってゆく。
この季節は風が強いものと決まっているけれど、ここ数日の風は酷すぎる。
今朝も早くにチョロQで出勤。
仕事は特記事項なし。
昼に司法書士事務所。 全ての書類は揃い、あとは手続きを待つだけだ。
一昨日見に行った分譲マンション業者から数回の着信。
マンション不況の昨今、何としてでも売りたいようだ。
僕にしたって、売れ残りで一千万円以上も値段の下がった新築マンションは買得かも知れない。
昨夜、いつまでも眠れずに考えていた。
今年中には今の家から出なければならないだろう。
何でこんな事になってしまったのか。
まさかあんなに突然オヤジが逝って、僕がこの家を失うことになるなんて。
自分の住処は必要だ。
マンションを買うのか、家を建てるのか。
マンションを買えば、今とは全く違う新しい生活を始める事が出来る。
自分の物だった家に、あの一家が住み付く様子を間近に見なくても済む。
僕の親族の目を気にせずMも遊びに来易いだろう。
家を建てるなら予算的に他の場所に土地を買う事は出来ない。
となれば、今住んでいる家に隣接する場所に建てるしかない。
今は空き地になっている、僕名義の土地だ。
そこに住めば垣根越しにあの一家の生活を感じなければならない。
ここ数ヵ月間に経験したあまりに理不尽な相続のゴタゴタが、それを激しく拒絶する。
でも。
2002年に今の家を建てた時の事を思い出す。
間取りを考え、好みの家を作るのは楽しかった。
もう一度、あれをやって見たい。
たとえそれが、今住んでいる家の半分以下の小屋になるとしても。
今度こそ、誰にも邪魔させない終の棲家となる家を作ってみたい。
資金繰りの目処も付かないのに、そんな事を考えた。
職場がお金を貸してくれるというが、それは断わりたい。
やはり銀行へ頼み込むしかないだろう。
そういえば相続税だってまだ払えていないのだった。
09/3/23 (月) 病児学級でジャガイモを植えた
昨日から続いた強風は止まない。
前線を伴った低気圧の等圧線は密で、大きな目玉のように見える。
朝5時の気温は11度。
風で落ちた椿の花が、駐車場一面を覆っている。
今月の出勤日は今日を入れて7回。
いよいよ忙しくなってきたけれど、それは遅くまで仕事をするのでは無く、朝早くに出勤する事を意味する。
でも僕にはそれが合っている。
まだ誰も出勤して来ない本館と、常に最前線の現場とを行き来するのも悪くない。
そして僕はやはり前線が好きなのだと自覚する。
昼、また司法書士事務所。
先日売却したファルコン号の代金を、相続登記の費用として支払い。
沢山の必要書類を提出。
夕方は早めに職場を出、ずっと関わっている某病院の病児学級へ。
長期入院で通学出来ない子のための病院内学級だけれど、理科の授業の一環でささやかな菜園を作っているんだ。
チョロQに耕運機を積んで行った。
今年初めての耕運機かけ。
子供建ちは、赤い耕運機が嬉しそう。
そして、ジャガイモの植え付け。
数ヵ月経てば、収穫した芋は家庭科の教材になるだろう。
ここは父が逝った病院だ。
半年前、毎日通い詰めたのは9階のどの部屋だったか。
あの集中治療室では今も誰かが、沢山の管や電極に繋がれているだろうか。
さまざまなアラームの音と消毒の匂いと走るスタッフ達。
あの時病室で、もっともっとオヤジと会話すればよかったと言う後悔は一生消えそうに無い。
09/3/21 (土) 朝5時半から仕事
暦を見ていて、昨日が春分だった事に気がついた。
車とお別れするのに精一杯で、何の休日なのかも気にならなかったんだ。
気象学的に今年の冬がどうだったかは知らないけれど、僕にとってこれ程辛い冬は記憶に無かった。
本当に春が来るのかとさえ疑ったものだ。
でも、寒く暗く厳しい冬を抜け、これから夏至へ向って昼時間はどんどん長くなる。
畑とビールの季節がやってくる。
僕も太陽に力を貰い、元気にならなければ。
とんでもなく早い時間に出勤。
昼までの労働時間は7時間。
世間では3連休なのか。
僕ももう少し世間並みの生活をしたいけれど、その分平日休みが有るので文句は言わない。
ラジオで高速渋滞のニュースを聞きながら仕事をした。
昼食は時間なし。
午後もまた前線で作業。
車を手放す事で司法書士への金策は出来た。
でも、最大の難問は相続税をどうやって払うかだ。
週が明けたら全ての口座残高を調べ、有り金を集めてみよう。
もし払えるのなら早く済ませてしまいたい。
停滞しているとイライラしていけない。
仕事帰りに寄ったヨーカドーで、母の実家あたりでは馬鹿貝と呼ぶ「アオヤギ」の稚貝を売っていた。
これ、甘辛でサッと煮ると良い酒の肴になるんだ。
そういえば、そろそろ潮干狩りも解禁か。
今年もまたMとアサリを掘りに出かけたい。
夕飯は、四万十海苔の酢の物、アオヤギ佃煮、冷奴とヒラメ刺身。
酒は宮城の「黄金澤」山廃純米生原酒。
明日は日本海を進む低気圧の影響で午後から雨。
降り出す前に、日曜大工。
先日の強風で折れたラティスの支柱を交換だ。
09/3/20 (金) 車を手放した
さよなら僕の車。
これからも元気で走って。
こんな不本意な形で他人の手に渡すとは想像もつかなかった。
記念に外したキーホルダーだけを残して、ファルコン号は引き取られていった。
その甲高い排気音が聞えなくなるまで見送った。
自分の車を他人が運転し、去ってゆく不思議な感じ。
寂しく、そして悔しい。
大好きだった車は、相続登記のための費用に化けたんだ。
それまで大切にしていたものが、次々と僕の周りから消えていく。
そろそろ反撃に出なければ沈んでしまう。
失うだけではなく、何かを得なければ。
でも、今はボンヤリとしてしまって何も出来ない。
09/3/19 (木) 花粉症が酷い
自転車で出勤するときに通る川沿いの公園に、トンボ池が造成された。
人工的に作られた池に、人の手で植えられた水生植物。
それでも暫くすれば、沢山の生き物が住みつくだろう。
楽しみだな。
その向こうに見えるのは、先日内覧会に行った高層マンションか。
新宿まで一望できる高層部からの眺めは息を呑むほど素晴らしく、ついでに分譲価格にも息を呑んだ。
良いマンションだったけれど、自分がそこへ住んでいる姿は想像できない。
価格の面でも全く有り得ない選択だけれど。
やはり、地面に小屋を建てて住みたい。
でもその地面というのは、今僕の住んでいる場所に隣接している。
僕の家に兄一家が巣食うのを間近に見るのは辛いかもしれない。
あまり近くに住みたい人種ではないし。
まあ、それはもう少し先の話しだからゆっくり考えれば良い。
今はまだ自分の事より優先してやらなければいけないものがある。
今日も気温が上がった。
南風はまるで初夏のよう。
最高気温は23度。
半袖で歩いても良いくらいの陽気だ。
ここ数年で一番酷い花粉症に見舞われている。
クシャミと鼻水と目の痒みと頭痛。
薬を飲めば眠くなり、飲まなければ仕事にならない。
常にマスクをしている口の回りは荒れ、目は充血し、接触性皮膚炎の症状まで出ている。
冬から春への季節の流れは嬉しいけれど、花粉だけはどうにかならないものか。
黙々と仕事。
昼食代わりにキャラメルコーン。
午後も前線作業。
走り回っていたので、大汗をかいてしまった。
夕方早めに職場を出て司法書士事務所。
帰宅後、銀行へ提出する書類作り。
なんだかこんな事ばかりしている。
09/3/18 (水) お金のことばかり考える
気温は20度近くまで上がったか。
良く晴れた水曜日。
穏やかな南風。
花粉と、そしておそらく黄砂の影響か。
朝からクシャミと鼻水、そして頭痛。
天気は良いのに、気分はイマイチすっきりとしない。
それでも早い時間から走り回った。
仕事が溜まっている。
私事が極端に忙しいこの頃、どうしても仕事にシワ寄せが出てしまっている。
今月の出勤日は今日を入れて10回。
今月中に済ませたい作業を選び、それを10で割る。
この分では、ほとんど昼食の時間はなさそうだ。
食事どころで無いと言うのが正直なところか。
と言っても残業が殆ど無いのは有難い。
もし残業ばかりの生活だったら、今回の一件を乗り切れなかっただろう。
まあ、残業しないために毎朝6時から仕事しているのだけれど。
自分の財務状況が明らかになるにつれ、不安ばかりが大きくなる。
普段まったく行き来が無くても、相続ばかりは兄弟共通の問題だろう。
でも、兄のフトコロは全く当てに出来ない。
やはり、売れる物を全て処分してでも、なんとか僕が乗り切らなければいけないようだ。
税理士への支払いは済ませた。
父の准確定申告は終わった。
司法書士と弁護士への支払いは済んで居ない。
登記の為の資金には、ファルコン号の売却金を当てるしかない。
相続税は足りない分を職場に借金してでも掻き集めなければならない。
自分の住処を確保するための資金など、いったいどこに残るんだ。
もうお金の事ばかり考えている。
夜、考え事に飽いてMを誘い出し夜のドライブをした。
僕らは知り合い始めの頃、こうして良く夜のドライブをしたものだ。
青梅街道で新宿へ出て赤坂御用地を抜け皇居をぐるっと一周。
国会議事堂、六本木、青山、麻布。
ワゴン車の屋台で出ていたホットドッグを買い、東京タワーを見上げながら食べた。
ベイブッリジを眺め、お台場をひやかし、隅田川沿いを少し歩いた。
4時間、都心の底を流したら何だかあの頃へ帰れた気がする。
昼間は煩いだけの都心も、夜の散歩は心地良い。
そして、こんなドライブが楽しいのはファルコン号だからだ。
その車も、間も無く手放す事になる。
09/3/17 (火) 彼岸入り
彼岸の入り。
彼岸は先祖の供養を行うと共に、今年の農耕の始まりも意味する。
今年もまた畑で沢山の時間を過ごしたい。
今日もまた早い時間に出勤し前線で仕事。
気付けば昼。
午前の6時間なんてあっと言う間だ。
昼休みに職場近くの司法書士事務所へ行き、相続登記の相談をした。
また、沢山の書類を集めなければならない。
そして思ったよりお金が掛かる。
登記するためだけに、評価額の0.4%も税金が掛かるなんて。
そのお金をどう工面するか考えながら夕方まで仕事。
さまざまな理由で、銀行・不動産屋・司法書士の作業を同時にしなければならない。
税理士が終わっただけで随分楽にはなったけれど、それでも精神は常に緊張状態にある。
そのせいか、ここ何ヵ月も不整脈に苦しんでいるんだ。
もともと気弱ゆえにストレスが体調に影響しやすいのだけれど、不整脈も胃痛も不眠も酷くなるばかり。
また近いうちに心療内科を受診しなければ。
全てが終わったら1人で温泉旅行。
それを楽しみに、もう少しだけ頑張ろう。
彼岸の頃の太陽は真西へ沈む。
そして、その沈む白道の彼方に「あの世」があるという。
仏教のあの世と、キリスト教のあの世は違うのだろうけれど、オヤジもあの太陽の向こうに居るんだろうか。
あの世ってどんな場所だろうとか考えているうちに、日没。
明日はよく晴れ、気温も上がるらしい。
桜の蕾もまた少し膨らむだろう。
09/3/16 (月) ノビルを食べた
穏やかに晴れた月曜日。
最高気温は16度。
心地よい南風。
いつのまにか職場中庭に大きなウッドデッキが作られていた。
桜の樹の下にまるで能舞台のように作られたそれは檜の香りを漂わせ、
靴を脱いで昇ると木の感触が嬉しい。
これは良い物が出来たな。
これから晴れた昼休みはここで過ごそう。
昼休みが取れたら。
早い時間に出勤し、昼過ぎに職場を出て銀行へ。
税理士事務所通いが終わったと思えば、今日からは父の債務を母名義にするための作業が始まる。
融通の利く個人経営の税理士と違い、銀行へは平日昼間に出向く事になるので僕にとっては負担が増える。
それに加え、未知の手続きには緊張も付きまとう。
あの債務を上手く母へ移行できなければ、僕の家は大変な事になるからだ。
また胃痛の日々が続くのか。
午後、職場へ戻り僕の勤務時間を変更するための要望書をエライ人会議に提出。
常態化している早出を勤務時間としてもらい、その分早い時間に帰宅できるようにしたいんだ。
仕事の都合で6時半から働く僕と、9時に出勤してくる連中とが同じ退勤時間なんておかしいじゃないか。
早出残業手当を出さないなら、せめて仕事の暇な時だけでも早く帰りたい。
いや、暇で早く帰れる日など無いだろうけど。
Mの下の子は今日が卒業式。
つい先日、井の頭公園で僕がオムツを替えたあの子が、この春から高校生になるのか。
僕に白髪が出てきた訳だ。
そう、この頃随分白髪が増えてきた気がする。
歳のせいなのか、ストレスのせいなのか。
夜、ノビルの酢味噌和えを肴に「開春」発泡濁りを飲んだ。
昨日、畑で放心していたときに見つけ摘んできたノビルだ。
子供の頃、これを摘んで帰ると祖父が喜ぶのが嬉しくて春先になると探したっけ。
コイツの美味さが解かったのはオトナになってからだけれど、今でもこれを食べると祖父を思い出す。
味も香りも食感も、その全てが春そのものだ。
明日も早出。
09/3/14 (土) 二日酔いでラーメンを食べた
昨夜からの強風は止まない。
日本海を移動中の低気圧に向かい、南から暖かな風が流れ込んでいるんだ。
朝6時の気温は14度。
背の高いチョロQ号が台風並みの風にあおられ、高架の上でハンドルを取られる。
僕の場合、軽い二日酔いの時は食べた方が良い。
三日酔い級の時には当然何も喉を通らず、点滴でもして復活するしか無いのだけれど、
軽い頭痛やムカつき程度なら、無理してでも食べる事で完治する。
昨夜は呑みすぎ、軽く後遺症を残した。
そんな訳で、昼に隠密でラーメン屋へ出張。
午後は機器のメンテナンス。
週明けから大量の検体を受け付ける準備だ。
久しぶりに測定部にも次亜塩素酸を通した。
早い時間に帰宅。
夕飯は作るのが面倒になり、冷凍のウドンを茹でて大根おろしとポン酢ですすった。
夜、この3ヵ月半かけて作った書類を整理する。
ファイル4冊にもなったそれは、改めて作業の困難さを思い出させる。
その書類を見ていたら、怒りなのか悲しさなのか喪失感なのか良く解からない感情が沸いてきて、
4冊のファイルを床下収納へ放り込んでしまった。
もう、あんなモノは見たくない。
明日は墓掃除。
09/3/13 (金) 峠を一つ越えた
ふと気付けば彼岸の入りも間近。
この頃、時間に流されてばかりで立ち止まる事も出来なかった。
啓蟄、彼岸入り、春分、もう暦の上ではすっかり春なんだ。
キリスト教に彼岸は関係ないけれど、墓地のにぎわう前に父の墓を綺麗にしておきたい。
納骨式の時に気になった雑草を抜き、玉砂利をひき直そう。
今度の日曜日はキャベツの植え付けをしたかったけれど、墓の手入れが先だ。
早朝に出勤し、馬車馬のごとく仕事。
3月は忙しい。
作業予定表は真っ黒に埋まっているんだ。
昼食は無し。
変わりに銀行関係へ数本の電話。
父が作った物件の債務を母に移行するための手続きを始める。
月曜昼に銀行支店へ出頭し、その数日後には自宅へ担当者の来訪を受ける事になった。
ローン相続が上手くいけば、その次は登記。
僕の住処の対策は一番最後だ。
まだしばらくは落ち着く事が出来ない。
夜、税理士事務所。
これが最後だと思うと感慨も深い。
いつもは真面目なだけの担当税理士がにっこり笑い、良く頑張りましたねと言ってくれた。
嬉しくて、鼻の奥がツンとなる。
事務所を出れば吉祥寺は風雨の中。
たまに行く寿司屋さんで握りを詰めてもらい帰宅。
今夜は寿司と吟醸酒で、1人でお祝いをする。
まだやる事は多いけれど、一つの峠を越えたんだ。
明日は早出。
09/3/12 (木) 車のこと
なんだか気分転換がしたくて、いつもの温泉へ逃げ込んだ。
日帰りだけれど天気は良いし、Mと一緒だし、平日昼間の温泉はガラガラ。
湯上がりに座敷でゴロゴロしていたら、いつの間にか眠ってしまった。
その昼寝の心地良かった事。
やはりオンとオフは必要だ。
そしてオフの時はとことん弛緩してやろう。
この温泉への道は峠を長距離走る必要があるので、今日の車はファルコン号。
こんな用途のためにだけ存在するような車を駆る事の楽しさったらない。
1万回転近くまで一気に吹けるエンジンと6速のマニュアルミッションとカチカチの足回りは渋滞路では良いところ無しだけれど、
こういう道では怖いほどの本領を発揮する。
峠道を運転する事に喜びを感じる人種がいる。
僕がそうなのだけれど、東京のそういった人種にとって奥多摩から山梨あたりは聖地だ。
コーナーの一つ一つを体が覚えている。
あの頃の友人の多くがそうだった様に、僕もまたバイクマニアだった。
レーサーレプリカ全盛だった頃、重いネイキッドに乗っていた僕は奴らにスピードでは適わなかったけれど、
それでも毎週のように峠に通い、集合管の音を響かせていたんだ。
それは事故で大怪我をするまで飽きずに続いた。
その後バイクを降りてからも峠で速い車を数台乗り継いだけれど、30歳を過ぎてからはドイツのセダンへと嗜好が移り、
BMWからアウディへ乗り換えようかというタイミングで発売されたのがファルコン号だった。
試乗した瞬間にあの頃の記憶が蘇り、ドキドキが収まらなかった。
こんな車でもう一度、あの峠に行きたいと思ったんだ。
オートマの安楽な運転しか出来なくなる前にもう一度、マニュアルで車に乗りたい。
そしてこの車で走るあの峠は、やはり素晴らしかった。
温泉からの帰り道、これがファルコン号で走る最後の峠かもしれないと思うと切なくなった。
今月中に、この車を手放す事になるからだ。
家中のカネを集めても、相続税額に少し足りないから。
これからの僕の暮らしは、複数の遊び用車を維持できるようなものでは無くなるから。
そして、この車を停めている場所もなくなってしまうから。
自分で決めた事だから、しかたがない。
今はきっと変化の時なんだ。
この先こういう車を買うことはもう無いだろうけれど、今この車に乗れた事に満足しなければいけないかもしれない。
HKSの足回りとトラストのチタンマフラーがくれる高揚感をいつまでも忘れずにいたい。
それは自分自身に残された最後の若気の名残りだったかもしれないから。
09/3/11 (水) 決めた
税理士事務所へ通い詰めて3ヵ月半。
良くあれほど頑張れたと、自分で自分を褒めてやる事にする。
だって、自分で褒めなければ誰も言ってくれないから。
でも、頑張れば自分の望む結果が付いて来ると言うものでもない。
自分だけで決められる事でもない。
カネや思惑が絡む事だし。
ましてや今まで有ったものをそのまま保存したいと言う僕の望みなど、実体の無い泡のようなものだ。
分割協議書に署名と実印。
こんな薄っぺらな書類で、今までの色々な思いを否定された気がする。
芝を張ったワンコの運動場も、毎年堆肥を入れた家庭菜園も、亀の池も、やっと収穫できるようになってきた葡萄の棚も。
でも不思議な事に、それほど悔しいという感情は湧いてこない。
なんだかボンヤリしてしまっているだけだ。
重い腰を上げて、これからの事を考えなければならない。
今の自宅に隣接する場所に小さな土地がある。
そこに小屋でも建てようか。
それとも何処かのマンションでも手に入れようか。
この家はとても住み心地が良かったけれど、今更それを言っても仕方が無い。
もう、僕の家では無いんだから。
夜、税理士事務所へ遺産分割協議書と相続税申告書を提出。
金曜日にもう一度来れば、随分苦しんだこの事務所ともお別れだ。
でも、まだ先は見えない。
父の債務を母へと移行するための手続き。
司法書士事務所での登記。
僕自身の住処の確保。
そして何より、相続税のための金策。
今読んでいるこの本のような生活など、夢のまた夢。
09/3/7 (土) クタクタ
仕事から、疲れて帰宅。
酒に逃げる事も出来ないままに、書類に目を通す。
ここ数日、遺産分割協議の書類作りをしている。
今が山場なのは解っているけれど、必ず出来る事も解かっているけれど、それでもやはり気持ちが塞ぐ。
Mの子の合格を祝う余裕も無い。
何をやっていても、この書類の事がアタマから離れない。
税理士、弁護士のアドバイスと、母の意向と、その他大勢からの(大半は無関係な輩の)野次と兄との関係と。
どうバランスをとれば良いのか。
電話の音に怯えるのにも疲れてしまった。
おそらく父や祖母が望んだであろう形で残せば、僕の収入だけでそれを維持できない事は解っている。
カネだけで全てを計る人と意見が交わるはずが無いのも解かっている。
子供時代を過ごした場所をこのまま置けば、税金がかかるだけで何も産まないと言う意見も理解できる。
でも子供時代の思い出は、唯一純粋な宝物じゃないのか。
井戸や池や灯篭や沢山の樹が懐かしくは無いのか。
色々なものを捨てて、その先にそれ以上の何かが有ると言うのか。
来週中には結論を出す。
それがどういう形になるかは想像できている。
僕なりに頑張ったけれど、やはり上手くはいかない。
あとはそれを受け入れるだけだ。
09/3/6 (金) おめでとう
Mの末っ子君、第一志望校合格。
おめでとう、おめでとう。
そして、そこは公立だ。
経済的にもおめでとう、M。
本日、胃痛酷し。
早々に就寝。
09/3/5 (木) スイトンを作った
啓蟄。
それに相応しい晴天の1日。
暖かな陽光に久しぶりに触れた気がする。
明日からはまた冷たい雨の予報。
今日の内にたっぷりと陽にあたりたいけれど、仕事は1日シールドルームの中。
仕事は珍しく捗った。
朝7時前から仕事を始め、昼食にコンビニ弁当を食べ、夕方早めに退勤すると言う理想形。
いつもこうだと良いんだが。
連日の税理士通いで僕の軟弱な胃袋がまた悲鳴を上げた。
やはりあの事務所での時間から逃げたいのだろう。
胃出血しても面倒なので、今週一杯は逃避させてもらおう。
しかしその件を電話連絡すると、分割協議を進めておく事、と宿題を出された。
兄とまたあの件を話せと言う訳だ。
もう僕はその件に一生懸命になれなくなってしまった。
人の心は変えられない。
意見の違いはどうにもならない。
疲れたし、面倒だし、なにより彼と会話をしたくない。
でも、いつまでも逃げているわけにもいくまい。
スーパーでスイトン用の粉を売っているのを見つけ買って帰った。
オヤジが良く作っていたのを思い出したからだ。
先日僕の畑からとってきた大根、里芋と共に汁を作った。
今夜の酒の肴はこれだけで充分だ。
でも、何かが違う。
オヤジのスイトンはこんな上品な味じゃなかった。
粉が違うのか、出汁が違うのか。
作り方を聞いておけば良かったか。
明日は仕事休み。
Mの次男の高校合格発表を見に行く。
受かっていれば良いけれど。
09/3/4 (水) 樹を切ること
昨夜もまた窓を少し開けたままで眠ったから、早朝寒さで目が覚めた。
夜明け前の静謐な時間。
ワンコの軽いイビキ。
カーテンを引けば雪景色のはずだったのに、どうやら予報は外れたようだ。
霧雨の朝。
ワンコとの散歩帰り、梅の花を見に行く。
この、かつて祖母が大切にした白梅は、毎年僕が漬け込む梅干用の実を付ける樹。
満開のその花は、春そのもののような素晴らしい芳香を放つ。
そして、やがて大粒の実を付けるはずだ。
でも、救世主でも現れない限り、この樹は数ヵ月後に切る事になる。
この樹の立つ場所が無くなりそうだからだ。
造園業者に植え替えを打診しても、古木で幹に大きな洞のある樹の植え替えは不可能だと言われた。
山椿の大木もどうなるかは解らない。
重機を使う植え替えには30万円の費用が掛かり、それでも根付く保障は出来ないと言う。
柿も、百日紅も、マンサクも、山椒も。
そんな僕の樹達を、きっと救う事ができない。
そして、ユズリハも枯れようとしている。
失おうとしてはじめて僕は、それらの大切さを認識した。
樹を見上げるたび、寂しさがこみ上げて来るんだ。
仕事は変わりなし。
昼食は時間なし。
夜はまた税理士事務所。
ちょっと疲れ、すさんだ気分。
夜飲む酒と、Mとの電話だけが楽しみだ。
明日は早出。
09/3/3 (火) ニンニクで腹痛をおこす
週に一度、職場の受付カウンターに花屋さんが大きな生花を飾ってゆく。
今週の花は早咲きの桜。
その花が嬉しくて、散らさないようにそっと触ってみた。
もうしばらくすれば、中庭の桜も桃も咲き始めるだろう。
ひな祭りの日。
東京は朝から曇天。
予報では雪になると言う。
仕事をしながら、期待を込めて窓越しに外を伺う。
春先の時期に多い、湿った大雪になれば楽しいのに。
昼食はコンビニのパスタ。
思いがけずニンニクがキツクて、おかげで午後は腹痛を起こした。
僕はニンニクに弱い。
今日の職員食堂の昼食は、ちらし寿司に白身魚の粕漬け、ハマグリの吸い物だったらしい。
どう考えても職員食堂の食事の方が健康的だ。
やはり、食堂で食べる事にしようかな。
夕方、氷雨。
夜には雪になるだろう。
早めに職場を出て今日も税理士事務所。
どうやら相続税額の概算が出てきたようだ。
それは予想より低い金額で、いや、それでも大金だけれど分割納税しなくても済むかもしれない。
でも、一括で払ってしまえばその後の我が家は一文無し確定だ。
それにしても恨めしいのは相続税率の高さだ。
こんな税金を掛けられたのでは、なにも後世に残せなくなる。
いやそれ以前に、親が死んだら税金払えとか意味が解からない。
しかし、母の住む場所を残す事には成功した。
それだけでも満足しなければならないだろう。
たとえ僕の住む場所が無くなる事になっても。
09/3/2 (月) 犬が花粉症
久しぶりに良く晴れた朝。
しかしまた、明日から天気は下り坂。
だから出勤時間が迫っても、犬と気持ち良く散歩できる朝の時間を楽しんだ。
今年もまた、花粉の季節。
僕同様、僕の犬も花粉症だ。
この時期になると目の周りが赤くなり、それを引掻くので血が出てしまう。
そろそろ獣医へ行った方が良いかもしれない。
出勤し、カレンダーをめくる。
ホワイトボードの勤務予定表を書き換える。
機器のカウンターをゼロにする。
PCモニタを飾る付箋を剥がす。
月初めのリセット感は気持ち良い。
昼食に緑のたぬき。
急いで作り、急いで食べようと思ったら味が無い。
見ると開封されないままのスープの袋が湯に浮いていたのだった。
もう3月か。
胃痛と腹痛を理由に、ここしばらく厄介事から逃げていた。
でも、そろそろ動き出そう。
頑張れば今月中には決着が付くかもしれない。
たとえそれが良い結果でなくても、僕なりに頑張った末の事だ。
夜、また税理士通い。
そして遺産分割協議。
あの世のオヤジに愚痴の一つも言いたくなった。
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