04年12月2004年12月30日


 



04/12/31 (金)  また来年


   

雪の大晦日。
何歳になっても雪が降るのを見ているのは楽しいもので、用も無く車で走り回ったり近所を散歩したり。
気温は2度。
先日甥に見せてもらった公園の猫はダンボールの小屋の中で丸くなっていた。

アメリカの友人より電話あり、久々に長く話す。
Mと同じく病院勤務の奥さんは仕事で,、一人の静かな正月を送るいう。
また遊びに行くよ、いつもこう言って電話を切るがさていったい何時になったら行けるやら。
休みを取る事よりむしろ、今の僕には狭い飛行機に10時間乗ると言うことが不可能に思える。
でも、いつかまた必ず行くよ。
また砂漠でキャンプをしよう。


これから雪の中、M宅へ向かう。
買った惣菜、作った煮物、大量の酒とテレビの上に飾る鏡餅を持って。
雪がかなり積っていて、FRの僕の車でちゃんと行けるかは解らないけれど。

色々有った一年が往く。
来年は、今年よりちょっとだけでいい、良い年になりますように。
健康で静かな生活がおくれますように。
そう、健康。 
それが今の一番の願いだ。

 


04/12/30 (木) 早くも正月気分

昨夜の雪が凍り付いている。
今日から休みに入った木曜日。 風が冷たい。

サッサと家の掃除、どうせ年末年始にかけて大荒れの天気だというから洗車はしなくていいや。
畑から抜いてきたカブをヌカミソに挿し、囲炉裏端に炭を補充し、バイクには防水カバーをかける。
最小限の年賀状は出したし、お年玉の袋も準備した。
銀行と池の濾過器の掃除は明日にまわそう。

車を出しM宅へ向かう。
MとMの娘と僕、いつもの3人で昼食をとるためだ。
息子達が父親の所に行っているM宅は本当に静かで、僕などはその落ち着きにホッとするけれど
いつも喧嘩ばかりのお姉ちゃんは少し寂しそう。
ハンバーグが食べたいとの事でビックリドンキへ行く。

空いた店内。
みんな大掃除でもしているのかな。
調子に乗って僕がオーダーした巨大ハンバーグが食べきれずに、娘に手伝ってもらう。
娘は学校の学食のラーメンがいかに美味しいかを熱心に話してくれる。
実に平和な時間。

混雑を極めるイトーヨーカドーで正月の買い物。
Mは正月も仕事、息子達は父親の所だから、お節料理なんて簡単な出来合いのもので済ますって。
大晦日の夜は僕が食べるものとお酒を持って行くからなにも準備しなくて良いよ。

買い物を終えて屋上駐車場へ帰ると、澄み切った空気の向こうに富士から秩父までの山々が完璧な姿を見せている。
いつかあの武甲山に登ってみよう。
冬の季節特有の光景にしばらく見入る。


帰り道、M宅近くの自転車屋さんの店頭の張り紙を何となく見ると「駐車場時間貸し」と有るじゃないか。
ちょっとの時間ならまだ良いが、大晦日泊まりに行くと言っても車の置き場に困っていた。
何故か解らないけれど、僕の車はマークされてしまいマンションの客用駐車場に停めると苦情がでるらしいのだ。

この自転車屋さん、周辺に何箇所もの駐車場を経営しており、月極めだと8000円、一晩なら500円だという。
喜んで大晦日の晩分の500円を支払う。
これで遠慮なく車で来られるぞ。
それにしても月極め8000円はさすがに埼玉だねぇ。
僕の家の周辺の半額だ。
今後の展開しだいでは、月極めでM宅近くに駐車場を借りても良いな。


いつもの酒屋さんへ正月用の酒を買いに行く。
お正月だから、普段より少しだけ良いお酒にしようかな。

大好きは栃木の鳳凰美田は赤ラベルの純米大吟醸の無濾過生原酒を。 贅沢な酒だ。
濃厚系として石川の菊姫生原酒の山廃。 度数20の凄い山廃。
さっぱり系としては宮城の阿部勘発泡にごり。 シュワシュワとシャンパンの様な発泡日本酒で
これは瓶の中で生きている酵母が出す二酸化炭素。 けっして人工の炭酸じゃない。
他に八海山と沢の井、低アルコールの発泡日本酒「すず音」も買ってきた。

調子に乗って買ってきた酒で、家の酒用冷蔵庫は一財産分の酒で一杯だ。
見ているだけで嬉しくなるその光景。

   


コレだけの良い酒を買って、すっかり機嫌が良くなってしまった。
ちょっとだけ、酒の味見をしよう。
さっき買ってきた刺身で寿司を握ってみようかな。
ご飯に酢をきって、山葵をちょんと乗せて、寿司屋さんに行くといつも見る職人の真似をして握ってみる。

阿部勘発泡を開けて、本を読みながらの自家製寿司。
やっぱり寿司道は深いようで、素人の握りなんてまるでオニギリだ。
何が違うのかな、やっぱりプロは凄いな。
でも良いや、刺身オニギリでも酒が素晴らしいから。

深夜、函館のKから一行だけのメール。
読んだらこちらまで寂しくなった。
あと一日で今年はおしまい。

 


04/12/29 (水) 仕事収め

   

仕事収め。
早かった一年。 苦戦しつつも、でも自分なりに頑張った。
人がどう評価するのかは解らないけれど。

昼に久しぶりに大勝軒、午後は仕事始めの日早々にある会議の準備。
夕方は定時に帰る。

東京に初雪。




緊急呼び出しが無ければ来年4日の出勤まで5連休。
Mは30日に休めば3日まで勤務。 看護婦に正月なんて無い。
それでも、大晦日の夜はMのマンションで過ごす予定。







04/12/27 (月) ラジオ深夜便

元来神経質で眠りが浅い。
ベッドを置いている部屋は二重サッシで、幹線道路から遠い立地とあいまって特に深夜はとても静か。
それでも、朝まで熟睡する事は薬でも使わない限り稀で、トイレって訳でもなくただ目が覚める。
何がきっかけになるのかは解らないけれど、深夜に一度、二度と目が覚める。
僕の眠りは犬のように、ブツ切れで浅い。
そして目が覚めてからまた眠りにつくまで相当の時間が掛かる。

そんな時、もう眠る事を諦めてしまうなら本でも読む。
深夜の読書ほど没頭できるものは無いし、それは大好きな時間ではあるけれど、仕事を控えた平日に
そうそう徹夜で本を読むわけにもいかない。
煩いだけのテレビなど見る気は起きないし、ただ暗い部屋のベッドの中でボケっとしているのも嫌なものだ。

そんな時はラジオだ。
昔、ラジオの深夜放送に魅せられて毎日寝不足でフラフラになるような中学生だったけれど、大人になってからは
せいぜい運転中の暇つぶし程度のものだった。
その忘れていたラジオ、改めて聞いてみるととても良い。
視覚に頼らない耳からのみの入力は穏やかで心地良い。
深夜目が覚めたとき、暗い部屋の中でラジオのスイッチを入れる。
聞きなれた語り声が聞こえてきた時の安心感。
目は閉じたままで良い。
そのまま眠っても良い。

以前良く聞いたT-FMのジェットストリームはまだ健在で、語りは城達也氏からデスラー総統へ変わったけれど
それも良い雰囲気で違和感が無い。
それ以降、朝までの時間はNHKの「ラジオ深夜便」
この、若かった頃なら絶対聞かなかっただろう地味な番組は、毎日朝5時まで実に静かにゆったりと放送
され続けてている。
熱心な愛聴者も多いようで、ファンサイトの掲示板ではタクシー運転手の方、受験生、夜勤の看護婦さんなど
さまざまな方の思いが語られている。

朝までの間、今夜も何度か目が覚めるだろう。
それでもラジオを聞くようになってからは、それが苦痛では無くなった。


   

仕事収めの29日まであとちょっと。
もう一息でユックリとお酒を飲んで映画三昧、読書三昧の連休がやってくる。
まぁ連休と言ってもたった5日間だし、休み中に緊急で呼び出しを喰らう事も多いけれど。

少しだけ疲れ気味の週明け。
バイクで出勤、仕事帰りにナイター診療の心療内科受診。
家に帰り、風呂で生き返ってしばし放心。

酒を温める。 菊姫の山廃原酒だ。
とりあえずのツマミは梅肉とカツオブシ、ゴマをあえてキュウリと共に。
そんなモノがしみじみ美味い。

 

 


04/12/26 (日) 甥と猫を見る

M宅から朝帰り。

昨夜は仕事を終えてからバイクでMのマンションへ向かう。
以前、Mのマンションの住民と来客用駐車スペースの使い方でトラぶって以来、M宅へはなるべく
バイクや自転車で行く事にしている。

気温のグンと下がった土曜の夜、お寿司とお酒を持ってマンションへ行く。
子供達は父親の所へ泊まりに行っており久々にMと二人でゆっくり出来るはず。
クリスマスの夜をささやかに過ごそうって訳だ。

ところがMの仕事が長引いて、鍵を持っていない僕はマンションの野外駐車場で一時間半待ち。
ひどく寒く、一気に風邪の症状をぶり返し、Mの帰宅後も飲んだ風邪薬と発熱の影響でボーっとし
そのままホットカーペットの上で眠ってしまう始末。
何だか冴えないクリスマスの夜となった。
翌朝、早い時間に出勤するMと共にマンションを出て家へ帰った。

 




良い天気の日曜日。
午前の遅い時間までボケッとして、その後車で買い物に出る。
欲しかった一畳用ホットカーペット7000円、電波時計5000円、ミネラルウオーター6本570円。
割り箸、電池、車のケア剤。 
大きなカートを引っ張ってホームセンターで買い物するのは本当に楽しい。
つい使い道のない工具なんかも買ってしまい散財して帰宅する。
しばし家の掃除など。

昼過ぎに7歳の甥が来る。
お腹が減ってフラフラだよぉとか言ってる。
ラーメンが食べたいというので、自転車で近所の「くるまや」へ。
彼はココの醤油ラーメンに惚れているのだ。

この頃、大人と同じだけ食べられる事が自慢の彼は、壁に張ってあるラーメンと餃子、ご飯のセットが良いと言う。
いくらなんでも、それは食べきれないと思うよ。
でもまぁ良いよ、とそれを注文。
子供用の小皿を貰い、フーフーと冷ましてあげる。
ラーメン、餃子、ご飯。
どちらかと言うと小食の僕にはとても食べきれる量ではない。
それを時間をかけて彼は全部たいらげてしまった。
そして自慢げに、満足げに、汗をかきながら笑う。

この前まで赤ちゃんだったのに、いつの間にか小学二年生。
サッカー部にも入って、随分と男っぽくなってきた。

    

帰り道、「絶対秘密の場所」へ僕を案内してくれる。
その小さな公園の木の下には、ダンボールとゴミ袋で作った小さな小屋があり、猫がいた。
学校の友達みんなが協同で世話をしている猫らしく、事実、彼が近づくとニャンと鳴いて寄って来た。
ゴロゴロと喉を鳴らす猫。
家から持ってきたウインナーをやる7歳の甥っ子。
それはかつて確かに見た情景、彼の年頃時代の僕がやっていたのと全く同じ姿だ。

子猫を拾って帰っては親に叱られ、でも捨てに行く事が出来ずに公園や空家の軒下なんかで皆で飼ったっけ。
当番を決めて牛乳を持ち寄ったり、給食を残して猫のもとに走ったり。
大抵は、そのうちどこかへ行ってしまい、捜索隊を結成して探し回ったり。
忘れていたそんな情景を間近にみて、僕は嬉しくなってしまい、目の前の甥っ子がとても可愛く思えた。
君は優しい良い子だよ。
がんばって皆で育ててあげなさい。


夜、函館のKと長電話。
つい話の内容が昔話になるあたり、さすがに30代後半。
でも、僕の中でのKはいつまでも東京に出て来たばかりの18歳。
頬っぺたが赤い、とても可愛い女の子だ。




 


04/12/24 (金) 風邪ひきのイブ

   

辛いモノが食べたくなって、Mを誘い立川に行く。
仕事は休み。 
穏やかな金曜日。 
そう言えば今日はイブか。

立川中華街にある陳健一の麻婆豆腐の専門店。
まだ昼には早い時間だけれど、行列は10人くらい。
でも、この店は回転が速いからそれ程待たずに席につける。
山椒の刺激に汗をかきながら、ご飯をおかわりしてまでユックリと堪能する。
たまに無性に食べたくなるんだよな、ココの麻婆豆腐。
これまた絶品の杏仁豆腐でヒリヒリの口直ししておしまい。
ごちそうさまでした。

ビックカメラでPS2用のゲームソフトを物色する。
Mの息子へのクリスマスプレゼントだ。
小学校の二人の息子たちは、まだサンタを信じているようで、折り紙で作ったサンタへのクリスマスカードに
欲しいモノをマジックで書いていた。
今日は終業式なのかな、プレゼントを買ってもらう子供たちで混雑を極めた店内は、余りにもうるさく、余りにも暑く、
案の定僕は身分が悪くなった。
目的のソフトが在庫切れと聞いて、早足で車に戻ってうずくまり深呼吸をする。

ゲーム専門店、ツタヤ、イトーヨーカドーを二軒。
コレだけ回っても欲しいソフトの在庫が無く、今回は諦める事にしよう。
ソフトは夜にでもAmazonで手配しておくよ。

チキンとケーキを買うMに付き合っていたらもう薄暮。
夕方になると風がとても冷たい。



今夜、クリスマス会をやるM宅への誘いを断った。
風邪も治りきってなく熱もあり、昼間の消耗とあわせてグッタリしていたからだ。
今夜遊びに行ってもヒドイ事になるのは解りきっている。

誘いを断って家への道を運転しながら僕は何だか嬉しかった。
もちろん遊びに行けないことが嬉しいんじゃ無い。 
今日と言う日に拘らなくても良くなった状況が嬉しいんだ。
去年の5月にMの離婚が成立してからというもの、機会を見つけては子供たちと接するようにしてきた。
もちろん親子のように、とは到底言えないけれど、僕がM宅に出入りする事を子供たちは表面上受け入れてくれる
ようにまでなってきた。 少なくとも今は。

だから、自分の仕事や体調、用事などの全てに優先させてクリスマスなどのイベントを理由にM宅に上がり込む必要が
無くなったのだ。
長く別居状態とはいえ、夫の居る人のマンションに上がるのはやはり勇気がいる事だった。
でも、今は違う。
今夜体調が悪ければ、また今度遊びに行けば良い。
そう思える余裕が出来てきたんだ。

今の僕とMの付き合いには以前とははっきりと違う余裕がある。
あの頃の切羽詰った、いつも緊張を伴う付き合いでは無くなってきている。
それは恋愛において良い事ばかりではないのかも知れないけれど、足掛け10年掛かって手に入れた
安らぎと思えば悪くは無い。

夜、はやり熱発。
テレビで「天空の城ラピュタ」かなんか見ながらウトウトする。
寝汗と頭痛で朝まで何度も目が覚めた。

 

 


04/12/23 (木) 犬を抱く


   

風の冷たい天皇誕生日。
午前中の早い時間、近所の小金井公園を散歩する。
冬枯れの雑木林を歩いて春の気配でも探そうかと思ったけれど、これから冬本番のこの時期に
そんなものが見つかるはずも無く、ただザクザクと落ち葉を踏んで長い時間歩く。
正門近くに出ていたフリーマーケットは人出も少なく閑散とし、焼きイモの屋台に数人の人が居るくらい。
元気に走り回っているのは、子供と犬くらいのものだ。

犬か。
広い公園で犬と走る子供の姿をじっと見ていると、つい頬が緩む。
家族と遊ぶ犬の歓喜に満ちた表情を見ると、こちらまで嬉しくなってくる。

昼に「油そば」
汁の無いラーメンで、好みで酢とラー油を混ぜて食す。
いわばゲテモノラーメンだけど、モノゴゴロついた頃から食べている懐かしい味。

午後、中学二年の姪を車に乗せて買い物に出る。
年末、クリスマス、そして祝日の重なった街はどこも混んでいる。
少しも動かない五日市街道、事故渋滞の青梅街道。
吉祥寺方面への道はナビのモニター上でどこも渋滞を表す赤で縁取られている。
最初から自転車で出かければ良かったねぇ、とか良いながら買い物は断念して、たまに前を通るペットショップコジマの
駐車場に車を停めた。

ホントは買い物なんかが目的じゃなくて、最初からココへ来たかったのかもしれない。
この店は商品である子犬を抱かせてくれるのだ。
コーギー、パグ、レトリバー、スパニエル。
懐かしい温かさ、懐かしい匂い。
僕の手や顔をペロペロと舐めてくれる小さく、でも力強い子犬たち。
生後55日の柴犬もいた。
でも、どうしても抱くことが出来ない。
11月に逝った僕の柴犬を思い出すからか、アイツに悪いと思うからか。
この頃は飼い主と散歩する柴犬を見ると、わざと目を背けるようになってしまった。
寂しくてたまらず、いつか新しい犬を相棒とする日が来ても、柴犬はきっと飼わないだろうと思う。
最高の友達だったアイツの姿がだぶるから。

 

 


04/12/22 (水) アンキモ大好き

   

年内29日まで出勤する事にして、今年の仕事の目途をつける。
風邪で週初めは苦戦したけれど、先が見えれば機嫌よし。
その風邪も治っていないのに、アンキモで一杯やりたくなって親友のTを呼び出していつもの店。

さすがに休日前は混んでますねぇ。
とりあえず八海山ビールください。 とか言いながら席に着いて品書きを吟味する。
えと、ブリ大根とアンキモ、厚揚げとニシンを焼いてください。 あっ、あと出汁巻き卵もね。

互いの近況とか聞きながら、でも仕事の話なんて全くせずに飲めるのは幼馴染の居心地の良さ。
仕事のグチ一色になってしまう職場の飲み会とは大違いだ。
ビールを酒に変えよう。
最近好んでよく飲む長野の十九。 酸味のきいた酒だ。
鳥つくねに卵の黄身をからめて七味をふる。
相変わらず、何を食べても美味しい店だ。

ふと見ると、一人で入店してきた女性が粋に飲んでいる。
そうそう、この店は割りと一人客が多いし女性も良く見るな。
たぶんまだ20代だろう女性が一人で綺麗に飲んでいるのは良い眺めだしカッコ良い。
(後でTに聞くと、声を掛けたくって仕方なかったらしい。止めなさいって)


もうちょっと飲みたかったけれど、僕よりも風邪がヒドイTが帰るので店をでる。
別れて、一人で駅前をフラフラ。
なんだかジャケットのポケットが重いな、と思ったら読みかけの文庫「鬼平」じゃないか。
なんとなくまだ帰りたくなくて、いつものBarに行くと臨時休日で、仕方なくラーメン丸秀のカウンターについて、瓶ビール。 
ツマミにチャーシューを刻んでネギを載せたものを作ってもらい、しばらく文庫に没頭した。
一時間ほど読んでから〆に蕎麦粉麺の中華蕎麦。
満足じゃと唸ってから家へと歩く。

風が冷たい夜。
もうすぐ今年も終わりだな。
年が明ければ、また一つ歳をとる。

 

 


04/12/21 (火)  風邪、治らず

月、火と風邪の症状が酷くて、でも仕事は休めず消耗気味。
咳、喉の痛みと頭痛、倦怠感。
昨夜は早くベッドに入ったものの深夜1時に咳で目が覚め、そのまま眠れず。
朝、30分ほどトロトロして、もう仕事に行く時間。

具合の悪い夜の、その夜が明けるまでの長く不安な事。
薄っすら明けてきてやっと眠れる事が多いのは、やはり安心するからなのか。
部屋の灯りと日の輝きでは安心の度合いが全く違うのだ。


    「昭和記念公園・巨大ツリー」

冬至。
昔住んでいた家には大きな柚子の樹があって、冬至じゃなくても冬の間は柚子湯に入ったものだ。
あの、湯に浮いた柚子の感触や皮で擦るとツルツルになる効能を今思い出した。
仕事帰りに買ってくれば良かったな、柚子。

クリスマスはキリストの誕生日じゃなくって、もともとは北欧の冬至の祭りだったという説がある。
北欧の長い冬を癒す為に、そのまま食べると中毒になる幻覚作用を持つキノコをトナカイに食べさせ
その尿を飲んで、冬至を祝いながらトナカイが空を飛ぶ幻覚でも見たんじゃないか、という話もある。
キリスト誕生の、例のベトレヘムの星の方向と角度を考えると、真のキリスト誕生は春だったという説も
有るらしい。

でも、キリスト教の家に育った僕はやはりこの時期に楽しい思い出が多い。
教会のミサや自宅まで来て歌ってくれる聖歌隊、いつも厳格な祖母もなんだかハシャイでいたっけ。

今年のクリスマスはどう過ごそうかな。
Mやその子供達と過ごしたいが、今年も多分子供達の父親が絡んで面倒なことになるんだろうな。
クリスマスを子供と過ごしたい実の父親に文句は言えないけれど、かつて僕を殺すと言った男はやはり避けたい。



昨夜、眠れずにネットを徘徊して興味深いものを見つけた。
1947年、GHQによって撮影された航空写真。
そこに、当時の僕の家(変な言い方だな。 今僕が住んでいる所に建っていた、以前父親とその両親が住んでいた家)
がはっきりと写っている。
限られた地域だけだけれど、国土地理院のココから検索できます。
変わっていないのはJRの線路と数個の公共施設だけで、あとは殆ど畑ばかり。
そんな中に建っている当時の家を見られるなんて、なんだか妙に感動した。
他にも国土交通省のココでも昔の家を見つけることが出来て、ちょっと嬉しい。
今度、印刷して父親に見せてみよう。


風邪ひき数日目にしてやっと薬を手配。
PLとクラリス、抗生剤を飲むとお腹が痛くなるのでビオフェルミンR、咳止めにフスタゾール、
良く寝ないと治らないぜと言われて眠剤のマイスリー。
今夜こそ早く寝る事にする。

 

 

 


 

04/12/19 (日) 呑み過ぎ

   

葉を落として、一層冬の青空に映える柿。
柿の樹を見ると子供の頃読んだ「サル蟹合戦」の美味しそうな挿し絵を思い出す。




昨日買ったUSB2.0インターフェイスカードに振り回される。
説明書通りに接続、ドライバのインストールを行ったが、接続した外付けHDDを開こうとするとフリーズ。
ドライバの削除、再インストールなどを繰り返すうちにWindowsそのものも立ち上がらなくなって
午前中一杯、悪態つきながら苦戦。
結局、何が悪く何が良かったのか解らないうちに、何事も無かったかのように使えるようになり
今ひとつ納得できないままに、本体HDDのバックアップなどをする。
やっぱりUSB1.1に比べて2.0は早くて快適。
これで、このVAIOももう暫く現役で使えるだろう。

治ったかに思えた風邪がぶり返して、終日ぼんやり。
喉の痛みと咳、倦怠感。
マルチバンドレシーバーで羽田や横田の航空管制など聞きながらベッドでゴロゴロ。
たまにはこんな日曜日も休日らしくて良し。

夜、早く寝れば良いものを、食欲は無くても酒欲は有り、古い映画をDVDで見ながら酒を呑む。
ビールから日本酒、あげくに先日買ったシャンパンまで開けてしまい、またコレが美味しくてグイグイいってしまった。
以前にも同じ経験をしたけれど、シャンパンと言う酒は危険だ。
飲み口が良いためについつい速いペースで飲んでしまい、あっという間に一本あけて、その上
アルコール度数は日本酒並みに有ったりするので一気に酔いが回る。
そして深夜に頭痛と喉の渇きで目が覚める事になるんだ。
これじゃ、風邪なんて治るわけが無い。

案の定、深夜に目が覚める。
頭痛と咽頭痛、そして発熱。
呑み過ぎと共に風邪も悪化したらしい。


04/12/18 (土)  冬の花火

夕方、携帯が鳴る。
Mから。 仕事が終りそうに無く、行けそうに無いと。
今夜はMやその子供達を連れて立川へイルミネーションと花火を見に行こうと計画し、
車に色々詰めて出勤していたのでガッカリ。

Mの仕事柄、時間通りにいかないのは毎度の事だから慣れてしまったけれど。
でも職場のヒトを誘うのも何となく億劫で、とりあえず一人、立川へ行く。

ビックカメラ立川店。
ポイント戦略にすっかりはまってしまい、電気製品からお酒までココで買っている。
在庫が有ったら買ってしまおうかとPSP(プレイステーションポータブル)を見に行くも売り切れでちょっとホッとする。
あんなモノあったら益々引き篭もりになりそうだ。
新しいPCも欲しいけれど、そうそう買うわけにもいかず、今使っているものの延命を図る。
先日買ったUSB外付160GHDD、僕のPCがUSB1.1でとても使い物にならず、USB2.0インターフェイスカード
3480円で購入。
NIKONのF6を触ったり、DVDを物色したり、プラズマテレビにヨダレを垂らしたり。
この店をウロつくのはまことに楽しい。

正月用にマッカラン18年を一本買って車に戻る。
さて、一人で花火を見に行くか。


   

ライトアップされた噴水と冬の花火。
心成しか夏の花火より寂しげで、でもキンっと冷えた空気の中、沁みるほど美しい。
みんな、空を見上げて何を思っているんだろう。
僕はただ、Mにコレを見せたいな。 それだけ思っていた。

人は多いけれど、広い園内はそれ程混雑していない。
しばらくイルミネーションを見ながら散歩して、アカペラのコンサートを見て、少し寂しくなって車へ帰る。
車の中に置きっぱなしだった携帯をフト見ると着信5件。
Mからだ。

遅れて車で来たと。
今着いたばかりで花火は見られなかったけれど、子供達と園内を散歩しているという。
なんだよぉ。 とか言いながらクリスマスリースの前で待ち合わせ。
とても大きく綺麗なクリスマスリース。
これだ。

   





しばらく皆で散歩。
子供たちはイルミネーションを見てとてもHiになっている。
ギリギリだったけれど来た甲斐があったねぇ。 とか言っている。
自宅から2時間かかったとか。

車二台で公園を出て食事に行く。
僕と距離をとっている様に思える長男が、なんだか僕の車で行くと言い出し助手席に座った。
彼にとっては何でも無い行為なのだろうけれど、そんな事が僕は嬉しくて蛇行運転のサービスをし過ぎ
後でMに怒られた。

もう23時近くて、この時間じゃ開いている店はファミレスくらい。
僕のリクエストでお好み焼きのチェーン店「道頓堀」に入る。

子供の頃、吉祥寺のお好み焼き屋さんに父親とよく行ったな。
お好み焼きの味より、あの金属のヘラでガシガシとやるのが大好きで、上手く焼けないのにいつも僕が焼いていた。
それを今夜はMの子供達とヘラを奪い合うようにして皆で焼く。
なんだか楽しいな。
焦げ過ぎたり、グシャグシャになったりするのもまた楽しい。

0時の閉店ギリギリまで皆で大騒ぎしていた。





 


04/12/16 (木) ダイエットならず

職場は自宅から約7キロ。
遠くは無いけれど駅からはちょっと離れていて、最寄の駅から約2キロ。
今までは車で通勤していたのだけれど、東京・多摩地区に住んでいる人なら誰でも知っている
JR中央線の高架工事の影響で踏切が壊滅状態、車で線路を渡る事が難しくなってから
自転車や電車など使っている。

いつも遅くまで一人で呑み、寝る直前までダラダラ食べている事が多い生活のせいで、むくむくと体重が
増えていって苦しい。
以前は熱心に通ってたジムも辞めてしまったし、趣味としていたジョギングも、そして犬の散歩も今は出来ない。
どんどん増える体重に恐怖し、せめて通勤で体を動かそうと考え、この数ヶ月は自転車と徒歩を組み合わせている。

自宅から職場最寄り駅までの5キロを自転車で。
駅にチャリを停めて職場までの2キロは歩き。
これで、一日に最低でも自転車10キロ、徒歩は4キロの運動になる。

で、数ヶ月。
結論を出した。 ちっとも痩せないよ。
やっぱりカロリー制限をしないとダメみたい。
足なんか筋肉モリモリに付いたけど、でも体重は変わらず。
体重を落とすにはやっぱり運動とカロリー制限の二本立てが必要みたいだ。
170の身長に対して現在体重66キロ。
人生最大体重更新中。
そろそろ何とかしないと。





   

朝出勤してからずーっと他部署のゴタゴタに巻き込まれ、自分の仕事なんか全然出来ない日。
僕自身は一人の部署で気楽にやっているけれど、それでもたまにこういう日も有る。
胃が痛くなるようなギスギスとした一日。 

遅い昼に職場近くの定食屋でカキフライ定食900円。
帰宅して風呂、軽く残り物の食事。
その後、部屋の照明を落としてデスクライトの灯りの下でカリフォルニアワインと文庫。
やっぱりこの時間が一番好きだし、誰にも邪魔されたくない。
明日は忘年会。





04/12/15 (水) ハウル

流星群を遮った雲の残る朝。
仕事は休み、函館のKに誕生日おめでとうのメールを一本打って家を出る。
新座、M宅。
試験休みのMの娘もつれて映画でも行こうかと思ったけれど、彼女は部活に行ってしまい
結局いつも通りMと2人。
大泉に「ハウルの動く城」を見に行く。

アニメが好きって訳でも無いのだけど、ジブリのすぐ近所に住んでいて、いつも前を歩いているので
ジブリ映画には愛着がある。
宮崎監督も良く見かけるし。

平日の朝9時半、それでも水曜日のレディースディという事もあり結構な人出。
まぁ指定席だから混んでいても関係ないけれど。
前評判はあまり良くないようだったけれど、充分面白かったな。
木村拓哉の声は素晴らしくハウルにあっていたし、美輪明宏は最高、倍賞千恵子の声だけは19歳の女の子
には無理が有ったけれど、まぁ良し。
何度も見ると新しい発見が沢山ありそうな映画。
子供よりオトナが楽しく観られる映画かもしれない。


   


買い物して、散歩して、また今度。
Mを送って家に帰る。

途中、自転車のカゴにチョコンと乗って得意げに風を切っているコーギー犬に目を奪われて
危なく追突事故を起こすところだった。
自転車のカゴなんておよそ犬の好みそうな場所じゃ無いけれど、それを嫌がらずに楽しそうにしているなんて
やっぱり犬と飼い主の友情あってのモノなんだろうな。
きっとあの犬、飼い主の自転車に乗って遊ぶ事が嬉しくって仕方が無いんだろうな。

一ヶ月前に逝った僕の愛犬の骨は壷に入れて出窓に置いてある。
家に帰ると最初にそこに目が行く。
ただいま、と言う。
天国で機嫌よく走り回っているかな。 
僕の事、忘れてなんていないだろうね。
車のフロアマットにオマエの茶色い毛が落ちているけれど、捨てる事が出来ずにそのままにしてあるよ。

また寂しくなりそうなので、お酒でも飲もう。
畑から抜いてきて、昨日ヌカミソに漬けたカブが食べ時だ。
真っ白な「雪姫」という品種のカブ。 ショウガをおろして添えて、酒は広島の吟醸酒。
今夜もまた、一人で飲もう。


 


04/12/13 (月) イルミネーション


週の初め。
そして年末へと慌しさを増して行く。
それでも、今日は昼食をとる事が出来た。 
5分でやっつける一杯のカップラーメンが妙に美味しい。


    

立川・昭和記念公園「Winter Present」
 

毎年恒例のイルミネーション。
入場無料、駐車場は200円。

職場に比較的近いので、若いペアや家族連れが多い中を一人で歩いてきた。
暖かな夜で、キリッと引き締まった美しさは無いけれど、でも綺麗だよなぁ。
7000個のシャンパングラスを使ったというグラスツリーが青やオレンジに染まる様を見ながら
Mに見せたいな、Mの子供たちを連れて来たいなと思う。

週末には花火も上がるから、また来よう。
出来れば、Mとその子供たちを連れて。

 

 


04/12/12 (日) アンコウの鍋

冷たい小雨の日曜日。

ゆっくり朝寝して、ゆっくりコーヒーを飲んで日曜日の朝独特の気分にひたる。
それでも雨の中、頭にタオルを被って畑に行くのだから、やっぱりこういう事が好きなんだろうな。
例のごとく大根とカブを引っこ抜き、少し肥料をまいて雑草を抜いて。

やはり冷たい雨の中、僕と同じくらいの歳だろうか、男性が小さな男の子を連れてきてネギを収穫している。
その子が一本抜くたびに歓声をあげていて、それがとっても微笑ましく、そして少し羨ましい。
多分、僕は自分の子を持つ事は無いだろう。
それで良いんだろうかという気持ちと、仕方ないじゃないかという気持ちと。
ちょっと寂しくなって畑を出る。

車の外気温計は8度。 寒いわけだ。
30分ほど渋滞にもまれて買い物に。
デパートの弁当フェアで好物の若狭の焼き鯖寿司900円を昼用に買う。
今夜はなに食べようかな。
カブが有るから、鳥そぼろのアンカケにしよう。
アンコウが安いな。 キモも買ってアンコウ鍋も作ろうか。
春菊と豆腐も忘れずに買わないとな。

その後、園芸店でサヤエンドウの苗を10鉢。
これは家のフェンスに這わせよう。 エンドウは花も綺麗だし寒さにも強い。
母親の誕生日用に赤いシクラメンの鉢植え5000円。
パン屋で焼きたてのフランスパン、本屋で雑誌を数冊と、なかにし礼の「赤い月」下巻。
こうしてゆっくり買い物できるのは時間が有るだけじゃなくて、気持ちの余裕が無いとダメなんだ。
今日は何の予定も無いし、Mは仕事だし、自分の為だけの日曜日。
たまにこんな休日が有るのは心地良い。



   

左、カブの鳥そぼろあんかけ。
右、アンコウ、アンキモ、春菊の鍋味噌仕立て。
ビールはギネス、その後燗酒。

カブは最高。
甘みがあって柔らかくて、トロっとしたアンカケにピッタリ。
さっと茹でた葉もシャリシャリと美味しい。
自分で作った味噌がとても良い感じで、この頃は何でも味噌味にする癖が付いてしまったけれど
アンコウ鍋って醤油が普通なのかな。 まぁ美味しいからどちらでも良いんだけど。

ファンヒーターを出した部屋は暖かくって快適。
鍋、燗酒、暖房の効いた部屋。
キライな冬だけど、こんな小道具が揃うと嬉しくなってしまう。

そしてまた月曜が来る。

 

 

 


04/12/11 (土) 夜ドライブ

木、金、土と昼食をとれず。
何がって訳じゃないけれど、やっぱり年末は慌しい。
忘年会の誘いを二つ断って、出席義務のものだけにしぼる。
友達連中との忘年会はいつにしようかな。
段々とみんなの時間を合わせるのが難しくなるな。

13日母親の誕生日、15日函館のKの誕生日、ボーナスの支給日。
車任意保険の更新、バイク自賠責、年賀状の手配、自転車の修理。 
年末前にもう一度心内受診も忘れない事。


  

    

どこも渋滞の土曜日の夜。
忘年会で飲みに出ているMを迎えに都心へ行く。
暖かな夜、ポリバケツを熱心に漁る野良猫を見ながらMを待つ。
街全体を覆う酒と化粧とドブの匂い。

フワフワと歩いてきてヒラリと助手席に乗ったMも酒臭い。
赤い顔して上機嫌だ。
朝も昼も、夜もまだ食事していなかった僕は空腹だったけれど、車のガラス越しに見る夜景が綺麗で
ちょっとドライブする事にする。

いやぁ、凄い人だねぇ。
みんな酔っ払って大騒ぎして、楽しそうだけどオレはあの中には入れないなぁ。
おい、夜なのにあんなに鳩が飛んでるぜ。
ところで忘年会は楽しかったかい?

良い感じに酔っているMが楽しそうに話すので、僕も何だか気分が良い。
たくさん走って、埼玉のM宅に着いた時はずいぶん遅い時間になっていた。

深夜、レトルトのカレーを温めて一人で食べる。
夜の空には雲がかかっていて、明日は天気悪いのかな。
さすがに窓を開けると寒い季節。
明日はファンヒーターを忘れずに出そう。

遅くまでベッドの中にノートPCを持ち込んで、いろんな人の日記を読んでいた。





 


04/12/8 (水)

   

Mと二人で昼間からビールを飲んで、暖かいベッドの中で長い昼寝。
気がついたら、もう夕方。
あっと言う間の休日。



04/12/7 (火) パニック発作のこと

一年半前の夏に突然パニック発作に襲われて以来、僕の全ての生活の中心にこの憎い病気が居座っている。
人混みやラッシュの電車を避け、具合が悪くなってもすぐに逃げられない場所には行かず、飛行機などもってのほか。
だから旅行の誘いも断って、いつもサイフには薬を持ち、それでもなるべく周りの人に迷惑を掛けずに過ごそうと努力する。
できればこの病気の事を隠したい。
悟られたくない。

この一年半でなんだか別人のように消極的になってしまったし、飲みや遊びの誘いも断ってばかり。
きっと友達連中の評判も悪いんだろう。
全てはあの夏の夕方、突然来た発作から始まったんだ。

それまで、知識としてのみ知っていた不安神経症という病気だけど、まさか自分に降りかかるとは。
仕事として、この病気の患者さんと接する立場の自分が発作に襲われて、この症状の恐ろしさを身をもって思い知った。

抵抗できない、ただ波が去るのを待つしかない。
ジトッと掌に汗をかき、机に突っ伏して耐えるしかない。
頑張ろうと思うほどドツボにはまり、自分の弱さを思い知る。
僕は無力で立ち向かう術は無く、矢は折れ、弾は尽きる。
文字通りの冷や汗が流れ、ヒザが震えるのをどうする事も出来ずにいる。



久しぶりに、とても具合の悪かった昨夜。
犬が居てくれたら。
アイツが、あの茶色の目で心配げに見上げてくれたら随分と楽になるのに。
思い出して涙が出た。

Mに助けを求めようと電話して、でも弱いところを見せたくなくて早々に電話を切り、そして寂しくなる。
薬を飲めば楽になるのは経験的に知っているのに、でも飲まない。
薬を飲めば大丈夫、もう少しガマンしてみよう。
でも、その裏には、薬を飲んで効かなかったらどうしよう。
飲んでみて、薬の効果が無かったら一気に総崩れになるんじゃないか。
心底それが怖い。
そんな思いがある。

薬は最後の手段、まだ頑張れる。 もうちょっと、あと一時間我慢してみよう。
そんな問答を繰り返しながら朝までベッドの中で枕を抱いて、暖かな朝日が昇るのを待つ。



   

火曜日。
殆ど寝ていない夜が明けて、仕事に行く。
会議用レポートを作り、でも会議はサボって職場の自室に引き篭もる。
なんとか一日の仕事を終え、帰宅。
酷く疲れた。

でも、明日は仕事休み。
Mと遠出する予定を変えて、一日中ホテルに篭る事にする。
ゆっくり昼寝したい。
暖かな布団の中を、Mと泳ぎたい。

彼女が側に居てくれて、本当に良かった。
   







04/12/5 (日) 写真展を見に

まるで台風の様な低気圧が通過して、街路の銀杏の葉を散らす。
朝、雲が速い。 
そして気持ちの良い晴れ間。

早い時間に畑を見に行く。 特に被害はなし。  
カブ10株と大根2本を抜く、たったそれだけの作業で汗が出る。 
今日は気温、湿度共に上がりそう。

帰ってヌカ床の手入れ。
塩、炒りヌカ、鷹の爪を入れて良くかき混ぜる。
夜の酒用に、二つに割ったカブを漬け込む。


   

昼、Mと都心へ写真展を見に行く。
鳥取の、Mの生まれ育った小さな街の写真展。
迷って何度も電話で場所を聞き、やっと探し当てたレンタルギャラリーはマンションの一室。
ちょっと怪しい雰囲気に扉を開ける事を躊躇したが、入ってしまえば居心地の良い場所だった。

気の良い、若い写真家が冷たいお茶をいれてくれ写真の説明をしてくれる。
脱サラして写真家を目指し三年目だという彼は、Mが同郷と知ると嬉しそうに笑った。
海辺の街の写真はどれもとても優しく、行った事の無い場所なのに懐かしさを覚える。
特に雑貨屋の前で撮られた、ある一家の写真がとても印象的でじっと見ていたら涙が出そうになった。

今日の都心はなぜか車の流れがスムースだね。
ちょっとドライブしようか。

クリスマス一色の青山通り、10代終わりの頃それこそ毎日のようにブラついていた渋谷、
六本木通りから広尾、恵比寿と抜けて山手通りで新宿。
夕方の薄明の時間、こんな風に流すなら都会も嫌いじゃない。

夜、浅漬けのカブでお酒。
少し不調で安定剤を飲もうか考えたが、結局飲まないままにベッドに入る。

 


04/12/4 (土) 雨風強し

毎年、庭と道との境にたくさん育てていた菜の花。
あの黄色い花が大好きで、11月上旬に欠かさず種を蒔いていたのに今年は忘れてしまった。
ゴタゴタしていたからな。
仕方ないけれど、葉の花の無い春はつまらないな。
こんなちょっとした事が寂しく感じるのは不調な証拠なのかな。

そんな事を考えながら車で帰宅。
忙しい土曜日で昼食はとれず疲れて帰る。
予報どおりの雨。


 

ベーコンの塊りが有ったのでキャベツ、ジャガイモ、にんじんと煮る。
コンソメとバターで味付け。

何も予定の無い土曜の夜、急ぐ必要も無いのでコトコトと弱火にかけて、その間に長風呂。
もうシャワーじゃ物足りない季節。 
湯船でお湯に浮いていると、つい眠ってしまう。

深夜、風雨が強くなる。
でも、そのお蔭で人工の音が何も聞こえない夜。
酒を飲みながら、もう何度目になるのか「深夜特急」を再読。

 

 

 


04/12/2 (木) 母親と

寒く風の強い日。
仕事は休みだけれど、珍しく何の予定も無い。
Mも友達連中も仕事で、僕一人ポッカリと空いた一日。
温泉にでも行こうか、なんて思っているうちにそれも面倒になり部屋の掃除などしてみたり、
豆を挽いて熱いコーヒーを飲んだり。

そう言えば最近、母が元気ない(らしい)
この秋に甥や妹を相次いで亡くして、そのショックも有るんだろう。
まぁそれは僕も同じだけれど。
そんな訳もあって、気晴らしに母を食事に誘ってみる。
以前携帯にメモリーしておいた店に電話をして、席を予約。
車に弱い母に酔い止めを飲ませ出発だ。

と言っても、普段から殆ど親と話をしない僕だ。
車の中で話すことなんか全然無い。
走っていれば目に映るモノの話でもしていれば良いのだけれど、渋滞にはまったりするとどうする事も出来ない。
運悪く、どの道を通っても渋滞ばかりで、夜なら30分で着く店まで一時間。
店に着いた時は何だか妙に疲れていた。

   

良く手入れされた中庭を見ながらの会席料理。
いつもなら(そんな頻繁に来るわけじゃ無いが)気の会う友達や女性とお酒を飲みながらの席なのだけど、
今日は飲むわけにいかないし、あまり話すことも無い。
だから、母親の話を聞き流しながら、たまに相槌を打ち、庭の紅葉を眺め、また相槌を打つ。

ねっとり濃厚な柿の白和え、口の中でスッと溶けるアンコウのにこごり、カニ酢で食べるズワイ蟹、氷の上の寒ブリお造り。
あぁ、ココに上等な吟醸酒が有ったら・・
もう、考える事はそればかりだ。

それでも、母親はたいそう上機嫌で美味しい美味しいを連発している。
食が細いと思っていた母親が思いがけず沢山食べているのを見て、ちょっと僕も嬉しい。
ちりめん山椒のお茶漬けと白玉ぜんざいで締めておしまい。
この年になって尚、親との外食は居心地良く無いけれど、たまになら良いかな、とも思う。



夜、レバーペーストをぬったクラッカーと安物の赤ワイン。
ネットショップでIOのUSBで繋ぐ外付HDD160Gを12980円。
Mと長電話、その後DVDを一人で見る。

そろそろ暖房が恋しい季節。
犬の温もりが懐かしい。
あのぷにょぷにょのお腹をもう一度さわりたい。

 

 



04/12/1 (水) ニコニコ

職場ではなるべくニコニコするように努力している。
嫌な事があってもニコニコ、苦手な人の前でもニコニコ、どうしようも無い会議でもニコニコ。
聞きたくない話も最後まで聞いて、話すときはユックリ話す。
怒らざるをえない時も感情で話すのではなくて、感情を話す。
僕は怒ってます、不愉快です、と。

もちろん僕が良い人って訳ではなくて、その方が巡り巡って楽だからだ。
いつも感情をむき出しにしていると、人に先入観をもたれてしまい結局自分が嫌な思いをする。
僕のニコニコは自分への自信のなさの現れだ。

この作戦も大抵は上手くいくのだけれど、この頃ちょっと考える事がある。
何だかすっかり、何でも屋のようになってしまい、相談を持ちかけられるのは良いのだけれど自分の仕事
以外の事を抱え込む事が多いんだ。
一つの部署を一人で受け持つ身なのに、他部署の仕事ばかり舞い込んできて、本業よりそちらの方が忙しいくらい。
ちょっとニコニコしすぎたか。

で、僕の職場の自室には、色んな人がグチを言いに来る。
時には外部の業者さんや掃除のオバちゃんまでも。
そして今日も職場のエライ人がグチリに来て、結局僕の専門外の仕事を引き受けてしまった。
さすがにエライ人は仕事を押し付けるのが上手いわ。
信頼されていると思えばカッコいいけれど、要するに上手く使われているんだろうな。

と言う訳で、年末年始は新しい機器の機種選定と習熟、職員に対する講習を一人で受け持つ事になった。
まぁキライな仕事では無いから良いのだけれど。


   


ちょっと消耗して帰宅。
料理する気力なく、でも昼食を食べる暇が無かったので空腹だぁ。
惣菜屋でカキフライをテイクアウト。 でもキャベツは自分で刻んだぞ。
ざっとシャワーを浴びてから、最近すっかり気に入りのギネスビールをグラスに注いでウグウグと一気に飲む。
濃厚で美味いなぁ。 ちょっとだけ幸せになる。

明日は休み。
Mに会いたいけれど都合あわず。
こっそり職場でも覗きに行ってみようかな、なんて思うけれど見つかったら怖いから止めておこ。
仕事中の白衣のMは、いつものヘナチョコぶりはどこへやら。
結構凛々しくて好きだ。