05/12005年01月30日

         

 


05/1/30 (日)  最後の一耕

強い北風がホコリと花粉とを舞いあげる。
過去最悪とも言われる今年の杉花粉。 どう乗り切れば良いのか今から憂鬱だ。

日曜日。
朝7時に起床。 コーヒーを飲んでさっさと畑へ向かう。
今月いっぱいで契約の切れるこの畑。 
今日が最後の畑行だ。

冬の間、人出が少なかったこの畑、さすがに今日は他のスペースの方も早い時間から出てきている。
残った作物を全て収穫。
全く作物の無くなった自分の畑をなんだか不思議な気分で見る。
この2年間、いったいどれだけの時間をココで過ごしただろう。
あれだけ大事に耕してきたこのスペースも、春には他の人が苗を植えるだろう。
なんだか寂しいけれど仕方が無い。

   

 

収穫の終わった一角に春を予感させるホトケノザ(仏の座 葉の形が仏像の蓮華座に似るため)の花。
良く見ると、そのウブゲが朝日に輝いて、何て綺麗なんだろうと見入る。
雑草で片付けちゃいけない。 どんな草にもキチンとした名前があり命がある。
数日後には大型耕運機で掘り起こされてしまうだろう。 
だから今は抜かないでおこう。 


   

冷たい水に手を真っ赤にして、白菜を漬ける。
昆布、塩、自家製鷹の爪。
重石を乗せて数日で食べられるだろう。

干した数本の大根が冷たい風に揺れる。
10日ほど干したら、タクアン漬けにするのだ。  こいつは食べるまで一ヶ月かかる。

小さな大根は、薄くスライスして生で食べよう。
和風ドレッシングとかつお節、ゴマをかけただけでシャリシャリバリバリと食べる。
さっきまで畑に生えていた無農薬の野菜を生で食べる嬉しさは格別だ。

あぁ、こんな事ばかりして暮らして行きたい。
社会的にどうだろうと、畑と、少しのお酒と、犬とM。
好きなものだけに囲まれて、地味に静かに暮らして行きたい。


なんてホントは贅沢も大好きなくせに、たくさんお金を使うくせに、煩悩のかたまりのくせに。
今また、車を買い替えたくなっている。
忘れた頃にムクムクと沸いてくるこの欲望。

今の車はもうすぐ買って8年目。
これは今までで一番長く乗っている事になるのだけれど、3月の車検をどうするか考え中なのだ。
いままで3~4年で替えていたクセに良くこれだけ乗ったなと思う反面、
いつまでも車なんかにお金かけてるんじゃ無いよ、今の車を乗り潰せよ、とも思う。
この頃調子の悪いところがアチコチと出てきて、車検を通すのならそれなりにお金をかけて整備しないといけないだろうな。
それでも良いんだけれど、さてどうするか。

 

 


05/1/29 (土) 20年なんてアっという間?

少し暖かな朝の土曜日。
ただし昼になっても気温は上がらず午後から天気は下り坂。

車で出勤。
午前は面白いように仕事がはかどり、昼に大勝軒で中華蕎麦。
午後はまた倉庫の整理。



帰り道、渋滞にはまった車の中で聞いていたFMに、USA for AfricaのWe Are The Worldが流れる。
僕が英語で歌える数少ない歌だ。
窓が閉まっている事を確認してから、ラジオにあわせて大声で熱唱。
この曲が発売になって今年で20年だ。 DJがそう言っている。
20年!
一瞬、まさかと思ったけれど、そうだ確かに20年が経つんだ。

あれは僕が高校を卒業した春で、浪人とは名ばかりのブラブラ生活に突入していた。
結局最後まで馴染めなかった高校を何とか卒業して、すこし放心していたんだと思う。
吉祥寺の建築事務所で設計図から完成予想模型を作るバイトに明け暮れていた。
納入の締め切りが迫ると、みんな徹夜でプラ板を削り、エアブラシで色を吹いたものだ。
そんな時、ずっと点けっぱなしになっていたラジオから、何度も何度もこの曲が流れたっけ。

あの時期、バイトバイトで家にも帰らず吉祥寺に入り浸っていた。
特にしたい事も無く、何となく荒んだ気分でこのままずっとバイトの生活でも良いや、なんて思っていた。
数ヵ月後、建築模型屋を辞めて本屋にバイトを見つけた頃、今度は日航のジャンボが御巣鷹に落ちたんだ。
本屋のレジに立ちながら、なんだかコレは大変な事故が起きたぞと思っていた。
まさかその時、将来付き合う事になるMが、日赤の新米看護婦として御巣鷹に派遣されていたなんて。

そんな事を思い出していたら、今日はスペースシャトル・チャレンジャーが事故を起こした日だと気がついた。
(アメリカ時間では28日)
19年前の事だ。

本屋でのバイトも飽きてまたフラフラしていた僕は、その年の秋に大怪我をしてその後7ヶ月弱も入院する事になる。
病院のベッドの上でギプスに固められトイレはおろか、寝返りもうてない。  5回にも及ぶ手術。 
主治医はこの先も、左の腕には重い障害が残ると宣告した。

そんなある朝早く、まだ暗い時間にベッドサイドに置いたTVを見ていた。
真っ青な空をバックに凄まじい白煙をあげて昇って行くシャトルが突然爆発し、一瞬のうちに7人の宇宙飛行士が亡くなったんだ。
あまりに興奮した僕は思わずナースコールを押して看護婦を呼んでしまったくらいだ。
そうだ、まるで昨日の事のようにハッキリと覚えている。
あれから、もう19年?

19年、20年なんて、今にして思えばあっという間。
光陰は矢の如しだ。
過ぎた時間を思うのは容易い。 
でも、これから来る時間を考えるのは困難だし何だか怖くもある。

だって、あっという間だと書いた20年。
いまから20年後の僕は58歳になっているんだ。
その時、僕はどうなっているのか。
幸せなのか、それとも後悔と孤独に押しつぶされて一人酒を飲んでいるのか。
考えたくない。 怖くて考えられない。

自分に出来る事を行う力と、出来ないことを諦める勇気と、それらを見極める冷静さが欲しい。


   

夕方から喉の痛みと熱感。
早めに風邪薬を飲んだ為に、だるく眠い。
Mから泊まりにおいでよ、と誘われたが今夜は断って一人酒。
温まりたくて一人用の土鍋で白菜、豆腐、豚肉、ネギ、ニラに卵を落としてキムチ鍋。
鍋と燗酒がニンマリするほどに美味しい。

天気予報では今年最強の寒波来襲らしい。
今夜は早寝する予定。

 

 


05/1/28 (金) ネバーランド

仕事は休み。
ひときわ寒い朝。
庭のひょうたん池にうっすらと氷張る。

スタンプが溜まって一回無料で映画が見られるので、Mと「東京タワー」を見に行く事になっていた。
何かと話題のこの映画、僕らの立場で見たらどんな感想を持つか興味があった。
ところが、M宅へ向かおうとしていたところ母親が僕を迎えに来る。
父親が鼻血が止まらないと言っていると。

鼻血くらいで何だよ、と思ったけれど、見に行くと確かに凄い出かたで、出血量も多い。
横になっていたのを座らせ、決して血を飲み込まないように言い、脱脂綿で止血を試みる。
同時に血圧を測るがそれ程の異常は無く一安心だけれど、これほどの鼻血になると病院に行って止血しないと
自然に止まるのは難しいんじゃないかと思った。

アチコチ電話。
他の耳鼻科に紹介された病院に母親と共に車で向かい、受付で事情を説明。
その頃には随分と出血量も少なくなっていたので、付き添いは母親に任せてM宅へ向かう。
でもその時にはもう東京タワーを見るには都合の悪い時間になってしまっていた。



Mの職場で雑用、銀行、郵便局。
その後、ジョニーデップの「ネバーランド」
抑えた演技が静かな、おとぎ話のような素敵な映画。
良い気分になって映画館を出る。

   

遅い昼食につけ麺の名店、大泉の「十兵衛」で特製つけ麺を中太麺で。
何度食べても旨いなぁ。
つけ汁を出汁で割ってもらって飲み干す。 ご馳走さまでした。

その後、畑の下見。
僕が借りていた畑が賃貸契約切れになり、新しい畑を物色しているのだ。
Mやその子供たちにも畑仕事を教えようと(多分しないだろうけれど)、Mの住む埼玉で市民農園を探す。
いくつか春から貸し出しする畑を見つけたが、設備が良くないな。
これでは、もし借りても畑に来るたびにマイ農具一式を運び込まなくてはいけないだろうな。
改めて、今まで借りていた畑の良さを実感する。

   

夕暮れ。
いつもの高台で夕陽を見る。
空の色の変化があまりにも美しくて、すっかり陽が落ちるまで2人で見ていた。

夜、父親の様子を見に行く。
昼過ぎに電話し、処置で止血したと聞いていたけれど、もうケロっとしている。
ただ、僕としては有る程度原因の検索をしたい気分。
月曜の朝にでも採血して、色々調べてみようと思う。

 


05/1/27 (木) カマスを焼く

自転車で出勤。
タイヤの空気が抜けかけている。
100均で買ったフリースの手袋も早々に破れてしまった。

金曜は休みなので、今月の出勤は今日を入れて3回。
1月中にするべき仕事の予定表を睨み、その残り3回の出勤日に仕事を割り振る。
予定通りに事が運ぶと気持ち良い。
今月は体調の事もあって、すこしキツかったな。
しかし、今年ももう12分の1が終ろうとしているのか。

そんな事を考えながらココアを飲んでいたら、事務のOちゃんが涙目で来室。
大きなトラックの荷台に業務用シュレッダーを積んだ業者が、守秘文書の処理に来るのに、
倉庫の整理を誰も手伝ってくれません、って。
そんな事で泣かなくても良いじゃないか。
内心、さっき組み立てた今月の予定が崩れた事を思いながらも、一日Oちゃんと倉庫に篭る事になった。
確かに彼女一人ではどうしようもないほど訳の解らない文書の山が大量に放置されていて、マスクと手袋
の重装備での力仕事。
暖房の無い倉庫はひどく寒い。



   

もともと、干物というものが大好物なのだけど、とくにカマスの干物に目が無い。
家に帰ったら、とにかく風呂。
それも「お風呂ラジオ」を聞きながらいつまでも入っている。
風呂から出て、ビールを飲みながらグリルでカマスを焼く。
これと燗酒の組み合わせを思っただけで、ヨダレが垂れそうだ。

今夜は他に油揚げ焼き、葉唐辛子の佃煮、シメサバ。
が、干物が焼きあがってさぁ飲もうというところで酒を切らしている事に気付く。
その時のセツナさといったら昼間のOちゃんじゃないけれど涙目になるほどだ。

外は寒いし、もうビールを飲んでしまったし。
久しぶりに烏龍茶などすすりながらの夕飯となった。
明日は絶対忘れず酒屋に行く事。

 


05/1/25 (火) 誕生会から深夜帰宅

Mの末っ子の誕生会。
本当は数日前なのだけど、Mの多忙で延ばしていたもの。
仕事から帰って、風呂に入ってから自転車でM宅へ向かう。

夜にM宅へ行く時は自転車を使うことが多い。
車は置く場所でトラブルし、近所にコインパークは無く個人経営の時間貸し駐車場も有るけれど
昼間から予約したりが必要で使う気力が無い。
何より、車やバイクで行ったらお酒が飲めないじゃないか。

今夜も、雨に備えて傘を持って、10キロ以上の道のりをペダルを蹴る。



Mの買ってきたお寿司やサラダ、僕の買っていった揚げ物や惣菜を所狭しと並べて誕生会。
僕が小さい頃は、家に友達をたくさん呼んでの誕生会が楽しみだったけれど、この頃はそういう事はしないのかな。
僕らはビール、子供たちはジュースで乾杯して、テレビやゲームで大騒ぎしながらの宴会。
ケーキのロウソクを消して、写真を撮って、そのうえ大量のアイスクリームで動けないほど満腹になる。

下の男の子たちは対戦ゲームに夢中。
Mは洗い物。
僕は和室に移って新聞を読む。
来るかな?と思っていたけれど、やはりいつものように娘が隣に来て色々と話し掛けてくる。
話しといっても大した内容では無くって、明日の天気の事とか、何味のアイスが好きか、とか。
まったく不思議な子だな。
僕と母親、父親の関係をどう思っているのか解らないけれど、不思議と僕に懐いていてくれる。
母親と話し難い訳では無さそうだけれど、学校生活の事などはむしろ僕の方が良く聞いているのじゃ無いかな。
これから色々な経験をして、彼女も変わっていくのだろうけれど、彼女がそう望むなら僕はいつまでも良い聞き役でいたい。
この15歳の娘の幸せを心の底から願っている。



   

これほど皆が歓待してくれるのに、特別な時でも無ければこのマンションに泊まる事はしない。
どんなに遅くなっても、またキコキコと自転車で家へ帰る。
Mも泊まっていけと言うし、その方が僕も楽なのに。

それは僕の問題なんだ。
どうしても、一人の空間、静かな部屋が必要なんだ。
頑張って子供たちと居たとしても、結局疲れ果ててしまい具合が悪くなる。
泊まっても眠れない。
皆で食事をしたりテレビを見たりして、それはとても楽しいけれど
自分の家へ帰りテレビも点けずに照明を少し落とした部屋で酒を飲み直すとき、心底ほっとするんだ。

そして今夜もまた、身を切るような冷たい風の中ペダルを漕ぐ。
深夜、人気のない道をタクシーが行く。
今にも降りそうな厚い雲。 空気には、もう雨の匂い。

 

 

 



05/1/24 (月) ドラ8

職場で使っているhpのデスクトップPC、まだ買って数ヶ月なのにCPUファンが凄まじい音を出し不快。
いかにも油切れという感じの高周波の音。
一日中使っているモノだけに、気にしだすと止まらない。
メーカーに交換部品を頼もうと、購入したときの書類を探すも、いつも間にか倉庫が模様替えされていて見つからず
保障書も見つからない。
自分で静音タイプのファンでも買ってきて付け代えようかな。
原因不明の電源落ちも有るし、ハズレだったという気がしないでもない。

自宅で使っているバイオがもう4年目で、そろそろ新しいものが欲しくなっている。
盛んに新聞広告を打っているデルやhpの安さは魅力だけれど、職場の他部署で使っているデルもヘンな所が
良く壊れているし、自分用には安さだけでは今ひとつ決めかねるところだなぁ。
以前使っていたゲートウェイは良いPCだったけれど。



夕方、Mからたった一行のメール。
今夜は夜勤に入ります、と。
突然休む人がいたり、派遣のすっぽかしなどで人が足りないと、その全てを婦長がフォローする事になる。
ただでさえ人が足りないのに、突然夜勤なんかが入ってもその分の代休を取れる訳じゃない。
いったい職場に何時間拘束される事になるんだよ。

それでも、この頃は子供たちが大きくなり高校生のオネーチャンが小学生の弟たちを見てくれるから助かるようだ。
以前は何かある度に実家に預けたりして大騒ぎだったからな。


   

去年の秋に収穫して干してあった鷹の爪が良い感じ。
先日収穫した白菜があるし、白菜漬けでも作ろうか。
昆布と塩を買って来よう。  
大樽いっぱいの白菜漬けを作ろう。  そして、それをツマミながらお酒を飲むんだ。

夜はビールを飲みながらひたすらドラクエ。

 

 


05/1/23 (日) ここに居たのか

風の冷たい日曜日。
朝、ベッドから出るのが辛い。
それでも、仕事じゃない畑に行くんだ、と思うとパッと行動できる不思議。

朝8時過ぎ、畑へ向かい霜をサクサクと踏みながら作業。
大根5本、カブ10個、白菜4玉収穫。
2年の契約で借りているこの畑、今月一杯でその契約が終わる。
この2年間にどれだけの楽しい時間をココで過ごしただろう。
土を耕し、種を蒔き、収穫を喜ぶ。
こんな事が与えてくれる精神の平安は何ものにも代えがたい。

春にまた、どこかの畑を借りる事が出来るだろうか。
フカフカの土の中に、そっと素足を差し込む嬉しさをまた味わえるだろうか。


昼前、車にカメラを積んで家を出る。
昨日、電話でアポ取りしたブリーダーのお宅へ向かうのだ。

青梅街道、所沢街道、国道16号。
家から3時間弱。 空が広くなり、車外温度計はグングンさがり、FM横浜が入り難くなる頃やっと着く。
と、その場所に何か見覚えがある。
そうか、ここは以前Mと出かけた武蔵野線1番鉄塔のすぐ近くじゃないか。
約束の時間まですこし余裕があったので、鉄塔を見上げながら缶コーヒーを飲んだ。

   

ブリーダーの方に抱かれたその黒柴の子は、ムッチリと太った生後12日の1月11日生まれ。
見た瞬間に、もう決めた。
この子はあと2ヶ月弱、乳離れしたら僕の家族になるんだ。
これは選択じゃない。 運命のようなものなんだろう。
だって、その子を見た瞬間に僕はもう自分の家族だと心底思ったのだから。
ここに居たのか。 捜したよ。

全身から犬好きなオーラを滲ませているブリーダーの方と話しをしながら、そんな不思議な出会いの事を考えていた。
テツが逝った事はとても悲しい。 でも、そのテツの死が今日の出会いをもたらしたという事。
この柴犬専門犬舎はM宅の上を通っている高圧線の終点にあり、数年前に一度来ているという事。
そして、数の少ない「黒柴・雌」という僕の希望する子がちょうど生まれていたという事。

そんな出会いの不思議はもしかしたら不思議でも何でも無くって、僕が生まれるずっと以前から決まっていた事なのかもしれない。
そんな気がする。

生後45日まで子育て専用犬舎で母犬と共に過ごさせ母乳で育てる、というこのブリーダーの話しは楽しかった。
この人の育てた犬なら大丈夫、という安心感がある。
親や兄弟たちと一緒に静かに育つ。  そして広大な敷地を走り回る。
そんな環境で生まれ育った子犬。
僕の元にやってくる頃には、もう世間は春になっているだろう。
それは僕にとっても、待ちに待った本当の春だ。


 

夜、「鉄腕Dash」で大間のマグロ釣りを見る。
凄い。 そして懐かしい。

親友のK。
彼女の実家は大間で、しかもマグロ漁師をしている。 
まだ東京に出て来たての18歳で、とても可愛い女の子だったKから聞くマグロ漁の話しを皆で目を丸くして聞いたものだ。
大荒れの海、大きなマグロを釣ったときのお祭騒ぎ、漁師の世界。
そんな彼女の口から出る話しがとても魅力的に思えて、いつか大間という本州最北端の地に行きたいと思っていた。

就職して何年も経ったある年の夏に、当時乗っていたムスタングと言う大きなアメ車で延々走って17時間。
ちょうどお盆の大渋滞で、ラジオでは東北道は東北まで渋滞しています、と冗談交じりに言っていたっけ。
Kと廻った下北半島の夏は本当に素晴らしく、温泉に入ったり素晴らしい寿司に腰を抜かしたり。
東京から来た得体の知れない男を、家の前でコンブ干しをしていたKのお母さんは不思議な目で見ていた。
大間の寂しい防波堤から遠く、函館の明かりが見えたっけ。

そんなKも今は函館に引っ越してしまい毎週のように吉祥寺で飲んだのも遠い思い出。
でも仲が良いのは変わらない。 たぶん一生の付き合いになるんだろうな。
大間の漁師の娘と東京の公務員の息子が友達になる事も、きっとずっと昔から決まっていた事なんだ。

夜は遅くまで一人酒。

 


05/1/22 (土) ブリーダーに電話

   


朝、郵便受けを見ると大きな封筒。
昨日、夕刊をとった後に配達されたのだろう。
函館のKからで、中身はもちろん僕が希望した誕生日プレゼント「ドラゴンクエスト8」だ!

おぁー ついに来たか。  ありがとう、K。
RPG、久しぶりだなぁ。 
FFがオンラインになってしまって、手を染めたらゲーム廃人化しそうで辛うじて我慢していた。
そこに、やっと出たDQ8。
この日をずっと待っていたよ。
今日から何ヶ月かの間、DQ8三昧の日々。
寝不足が続きそうで怖い。






不良職員ぶりを発揮。
出勤するも急ぎの仕事が無かったのを良い事に、職場の自室にこもって扉を閉ざし一日中ネットと私用電話。
柴犬の情報を調べていたのだ。

愛犬が逝って2ヶ月と少し。
やっぱり寂しさに耐え切れなかった。 
たぶん神経性胃炎も愛犬の死が誘引だったのだと思う。
具体的に相棒探しを始めたら、もう止まらない。
ペットショップからブリーダーまで調べて電話しまくり、希望を伝え、写真をメールで送って貰いもした。

電気製品や玩具じゃあるまいし、一匹一匹違う犬選び。
僕のようなただの犬好き素人には、お店の人の言う事を信じるしかなく、犬選びと言うよりは、むしろお店選びとなる。
大手ペットショップは対応もキチンとしていて保障なんかもある。
でも、そのキチンとした対応がヘソ曲がりの僕にはなんだか事務的に思えてしまう。
かと言って個人のお店の中にはとっても商売熱心で、安さだけを強調したりして、これも敬遠したくなる。

そんな中、電話の印象がとても良いブリーダーの方を見つける事が出来た。
ご夫婦で柴犬専門のブリーダーをしており、ぜひ一度見にいらして下さい、という。
これは行かねば! と言うわけで日曜日に訪問の約束をした。
自宅から車で2時間。

楽しみで今から心臓がドキドキする。
そこに居るのだろうか? ずっと以前から出会うことが運命付けられていた子が。

 

 

 


05/1/21 (金) 犬計画

   

冷たく乾いた風が吹く金曜日。
庭の柔らかな黒土に霜柱が立つ。

朝8時、畑。
白菜も大根の葉もカブの葉も、霜と寒さでゲンナリしている。
今度の日曜にまとめて収穫しよう。

9時、M宅。
テレビを見たり新聞を読んだりしながらゴロゴロ。
ホットカーペットの上で転がっていると、余りの気持ちよさに動くことが出来ない。
10時にやっと重い腰をあげて車で出かける。
ユニクロで安物のベルトとTシャツ、4000円。
ロッテリアでリブサンド(結構美味しかった)とコーヒー。
ペットショップで柴の子犬とガラス越しにキスをする。

昼、トムハンクスの映画「ターミナル」を大泉で見る。
「人生は待つこと」がテーマのほのぼの映画。 エヘエヘ笑ってちょっと泣いて良い気分で映画館を出る。
久しぶりに見た癒し系映画だ。
スタンプが溜まって無料でもう一度見られるらしい。
ただし期限は今月中。 来週にでも見に行こうか。 今なら黒木瞳の「東京タワー」だよな。

川越街道、環七、目白通りあたりをドライブ。
なぜか今日は金曜だと言うのに道が良く流れ気持ちが良い。
雲ひとつ無い、ぬけるような青空。

小腹がすいて「なか卯」。
Mは鳥塩うどん、僕は親子丼。 なか卯の親子丼が僕は大好きなんだ。
大泉まで帰ってホームセンターで色々買い物。
いつ新しい相棒と出会っても良いように、トイレやトイレパッドからオモチャまで、子犬グッズを買い漁りMに呆れられる。
もう、これでいつでも準備はOKだ。
新しく親友になる犬は、いまどこで何をしているんだろう。
もうすぐ会えるからね。




先日、バリウムを飲んで神経性胃炎だと言われ、でもその病院では薬を出して貰わずに帰ってきた。
いつものクリニックでまとめようと思ったから。
今日は月に一度の心療内科受診の日。
主治医に胃の件を話し、投薬を受ける。
粘膜保護と胃酸抑制目的でmucosta,gaster,そして安定剤としてrize。
胃薬だけじゃなくて安定剤が出るところがさすがに僕の主治医。
長い付き合いの自分の主治医ってやはり信頼できる。
しばらくはキチンと薬を飲んで胃の安静をはかりたい。
と言っても酒、ラーメンという二大柱は変わらないだろうけれど。

夜、犬の雑誌など読みながらベッドでゴロゴロ。
犬種は柴。 やはりそれ以外は無い。
でも思うのは、この頃色々なペットショップを廻ってみて、売られている子犬って凄いストレスだろうな、と言う事。
早い時期に母親から離され、ガラス越しに一日中お客の視線に晒され、誰に愛情を注がれるわけでもなく。
お店巡りで色々な子犬を抱いておいて何を言っているんだ、と言う感じだけれどお客に抱かれ子供に騒がれ
グッタリとしている子犬も良く見掛ける。

柴の子犬。
さて、どこで手に入れようか。

 

 


05/1/20 (木) 鬼平式

日にちの経過が解らなくなるような毎日。
歩道橋の上から見る丹沢の山並み、青い空、そして夕日。
大寒の今日を過ぎれば春に向かうのだろうか。
寒さに気持ちが萎むこの頃。
ただただ春を待つ。

仕事は順調。
体調はまぁまぁ。
バリウムを飲んでから腹痛が続いているが、これは便秘のせいだろう。

昼にコンビニのおでん。
おやつは食べる時間なし。




   

どうも、「鬼平」を読むと晩飯はこうなる事が多い。
貝柱のかき揚げ、湯豆腐、燗酒。

燗にする酒は良い物でなくてもよい、という人も居るけれど、僕は違うと思う。
紙パックの安酒は燗にするとますますベトツキ飲めたものではない。
冷でやって美味しい酒こそ、燗にするとその旨さに丸みが加わり堪らない。
もちろん、上等な酒をチンチンに熱く燗つけてしまっては台無しだ。
日向燗(30度)か人肌燗(35度)、せいぜいぬる燗(40度)程度まで温めて、香りと味をゆっくり楽しみたい。

明日は休み。
今夜は鳳凰美田の純米吟醸をゆっくりやりながら、読みかけの鬼平に没頭したい。







05/1/19 (水) バリウムを飲む


恐れおののきながら迎えたバリウムの日。
今まで機会はあっても逃げてきたこの検査。
嘔吐反射の強い僕には到底無理だと思ってきたが、胃の不調には勝てず観念して受ける事にする。

最近のバリウムは飲みやすいよ、と色々な人に励まされたが、アレで飲みやすいのなら以前はどんなだったんだ?
発泡剤でただですら苦しい時に、あんなにドロっとした不味いものを一気に飲めと言われても無理と言うもの。
物凄く時間をかけ、何度かやり直し、レントゲン技師に迷惑をかけ、涙目になってやっと検査を終えた。
もうそれだけでグッタリである。

やはり、結果を聞くときには緊張する。
親族にはとても癌が多く、胃癌で亡くなった者も何人か居る。
胃の痛みや不調は僕にとって珍しい事なので、そんな心配もしていた。
結局、それら悪いモノではなく、神経性胃炎ということらしい。
すい臓や胆管系も検査して貰いたかったけれど、まぁそれは大丈夫でしょう、と言われトボトボと帰る。
何となく納得いかない感じもした。
コレだけ痛くて、吐き気もあるのに神経性胃炎?
でも、今それ以上考えるとそれだけでもう具合が悪くなりかねないので、今回は良しとしよう。

しかし、神経性胃炎ねぇ。
やっぱり神経質な人間なんだな、僕は。いやだいやだ。


でも、今にして思えば確かに胃に負担は掛かっていたのかもしれない。
去年後半から暮れにかけて親戚の葬式が二つ、トドメに愛犬まで逝って辛い事が多かった。
その度に、僕の神経質な胃はギュっと収縮し、粘膜がビランしていたのかもしれない。
夜になると寂しくて、逝った犬の写真を見ながら放心したり夢にみたり。
そりゃ、胃も音をあげるだろうよ。
これは、少しでも早く新しい相棒となる犬を手に入れなさい、と言うことなんじゃないのか。

合流したMにそんなコジツケを話しながらホームセンターでモノ欲しげにこんな物を見ていたら、なんとMが買ってくれた。
なんだかダダをこねる子供のようで恥ずかしいけれど、有難く買ってもらう。
これから、少しずつ子犬用品を揃えていこうかな。
どんな犬と出会えるのかな。


   
検査結果に少し安心して、遅いお昼に久しぶりの大勝軒。
電気屋でMが購入を検討しているFAXを物色、これはMの誕生日にでも僕が買ってあげよう。
スーパー、100均、本屋と散歩。
夕方、夕日がとても綺麗で丘陵の斜面に作られた墓地の一角に車をとめて空を見る。
キスして今日はバイバイ。
また明後日。
  

    

ささっと作れて温かくって柔らかい。
特にこの時期の茶碗蒸しは美味しい。
出汁を多めにしてユルク作ったものが好み。
柚子の皮ヒトカケも忘れずに。

 

 


05/1/17 (月) なんだか不調な日々

   

すこし寒さ緩む。
屋外の何もかもが、昨夜の雨にしっとりと濡れている。
大きく息を吸うと、肺の奥にまで冷たい湿気が入り気持ちが良い。
電車と徒歩で出勤。

月曜だと言うのに珍しく暇な日。
予約など最低限の仕事をこなし、あとは自室でPCなど触りながら過ごす。
昼に事務のOちゃんと楽しく歓談。
先日30歳になった彼女には毎回元気を貰っている。
いつもありがと。

やはり胃の不調は続く。 いや、そればかりか処方してもらったGanatonを飲むと不快感が強まる気がする。
胃腸の蠕動が痛みを呼ぶのか。
とりあえず服薬は止め、様子を見る。

神経質と言うか、気が小さいというか。
ここしばらくの胃の不調ですっかりウツになっている。
空腹時に痛みが増す、といった潰瘍特有の症状ではないため、何となく不安なのだ。
癌の多い家系だし、検査前から考えても仕方の無い事を考え、ますます胃が不調になる。
どうにかならんのか、この性格。
嘔吐反射の強い僕がちゃんとバリウムを飲めるのか、検査の結果はどう出るか、ファイバースコープを飲む必要が
出てくるのか。 不安は留まるところをしらない。

帰りは中央線で。
職場から駅まで、うつむいてトボトボ歩く。
夕方になって急に北風強くなる。

自宅最寄り駅からは歩く気力なくバスを使う。
最近開通したコミュニティーバスという小型バス。 100円均一料金で住宅街をウネウネと走る。
たったの2分で自宅前。 
夜は冷凍の蕎麦をすする。 不味し。

 


 

05/1/16 (日) 胃痛し

みぞれ混じりの冷たい雨。
家の中へ取り込むのを忘れていたストレチアの鉢植えは、寒さに葉を落としてしまった。
夏に買った南部鉄の風鈴が寂しい音をたてる。

胃不調の件。
午前の遅い時間に日曜日も診療しているクリニックを受診。
簡単な問診と触診、19日に検査の予約をする。
検査はファイバースコープか胃透視のどちらか。
ファイバーの方がずっと精度良く検査の意味が有るが、歯医者すら難儀なほど嘔吐反射の強い僕の事、
現状では検査は難しいと思われ、医師と相談の結果バリウムを飲んで胃透視検査を受ける事にする。
それで異常があれば有無も無くファイバーだ。

自分の職場から持ってきたGasterは効かない事を伝え、とりあえず検査までは胃腸の動きを良くするために
Ganaton50mgを処方される。
30分ほどで帰宅。

食欲が落ちていないと思いたくて、義務のように茹でた蕎麦を喰らう。
でも、やはり少し食欲は落ちているな。
今回の胃の一件が終わるまでは仕方ないのか。

Mも今日は休みで、でも子供たちを映画に連れて行くとか言ってたな。
僕の出番は無さそうだから本屋巡りでもしようか。
冷たい雨の中、暖房とシートヒーターの効いた車の中は天国だ。
FMを聞きながら渋滞の道を行く。
数件の本屋で立ち読み。 目当ての本は見つからず、結局ネット通販で注文する。
少量注文でもコンビニ受け取りの通販は送料も手数料も掛からず便利。



   

夜、「インカの目覚め」という変わった種類のジャガイモを煮る。
普通のジャガイモより高価だけれど、たしかに美味。
太刀魚の焼いたのを少し、お酒も少し。

ウトウトしていると、函館のKからmail。
ずっと職場で家に帰られない。 そして今も職場で仕事中、もう職場に住んでいるようなものだ、と。
僕宛の誕生日プレゼントを買って持っているのだけれど、発送する時間が無い。
いまから職場前のコンビニに行くので送る、との事。

その後しばらくmailチャット。
しばらく会っていないKにとても会いたくなる。
もう、2人で外国に駆け落ちしようか、とか言っている。
Kらしくなく弱気な言葉。 
疲れているんだ。 皆疲れてる。

深夜、胃の不快感で目が覚める。
暗い部屋で、そのまま朝までラジオを聞いていた。
阪神大震災の特集だ。
あれから10年。
僕のくだらない10年と、罹災者の重い10年と。



 

05/1/15 (土) モスのお汁粉

祖母の命日。
もうあれから4年。

仕事の帰り道、この冬何度目かの雪の中を車で走り駅前へ出る。
昨夜、ベッドの中で祖母の事を考えていて「モスバーガー」のおしるこが食べたくなったのだ。

逝く数日前、病院の個室に泊まりこんでいた僕に祖母は、甘いもの、と言った。
甘いもの、特に甘いアズキが大好物だった祖母に、なんとかそれを食べさせてあげたいと思った。
禁飲食で点滴のみで何日も過ごしてきた祖母は、医者の意見では、いやそれ以前に誰が見ても
あと数日しか生きられない状態で、もうこれ以上失うものは無いと思った。
禁飲食なんて関係ない。 とにかく甘いアズキだ、と思った。

でも、深夜にそんなものが手に入るのか。
と、思いついたのが病院から歩いて10分ほどの所で24時間営業しているモスバーガーだ。
一度も食べた事は無かったけれど、たしかアソコにはお汁粉が有った気がする。
なんでハンバーガー屋でお汁粉なんだろ、と不思議に思った記憶がある。
祈るような気持ちで走った深夜のモスでメニューに玄米汁粉、と言うのを見つけた時の嬉しさを今でも良く覚えている。

病室で、その上澄みをスプーンに数杯飲んだ祖母は美味しい、と言った。
看護婦の巡回を恐れて、びくびくしながら祖母の口へスプーンを運んだ僕は、その一言が嬉しくって、
思わず自分でも食べてみた。
美味しい。
あの時、そのファーストフードのお汁粉がとてつもなく美味しく感じたのだ。

祖母は数日後に逝き、自分の病気で入院した僕は最後に会えなかった。
入院を数日後に控えて、あの夜が祖母と僕、二人きりで居られた最後の夜だったんだ。
医学部に献体を希望した祖母は葬式も無く引き取られ、手術後二週間して退院してきた僕は、
ただ祖母の居なくなった家だけを見た。
キリスト教なので仏壇も無く、ほんの数週間人が居なかっただけで、その家はカビの匂いがした。



   

夜、あまりの寒さに、鉢植えたちを居間に避難させる。
テレビも点けない家はとても静かで、窓の外の荒れた天気を眺めながらヌクヌクとする。

今夜は雪を見ながらお汁粉。
胃を気遣って、あとはレトルトのおかゆ。
それでもお酒は少し飲む。 温めた菊姫だ。

あしたも天気は悪いのかな。
あぁ、石油が切れかけている。



 



05/1/14 (金) 柴犬

   

寒い寒いといちいち言うことにも飽きたくらい寒い。
毎年思う。 冬ってこんなに辛かったっけ、と。

仕事は休み。
昼間はMとずっとホテルに居たので書く事なし。 
ただ、胃の不調を看護婦としてのMに相談し、やはり近いうちに受診する事にする。

受診か。
考えただけで手足の指先は冷たくなり、歯ブラシを咥えただけでオェっとなる。
まな板の上の鯉になって検査されるのが苦手なのだ。
胃の不調で受診すれば、おそらくファイバースコープを飲む事になるだろうな。
それが、とうてい自分には不可能に思える。
歯医者で口の中に指を入れられただけでオェっとなって大騒ぎなのだ。
そして、そんな事で憂鬱な気分になって、ますます胃の調子が悪くなる。
なんだか食欲も無く吐き気までする気がする。
いったいどこまでが神経性のもので、どこからが本来の胃の不調なのかすでに解らない。
やはり、週明けにクリニックを受診しよう。
それ以外に選択肢が無い。



夕方またペットショップへ行く。
そして禁を犯してしまった。
どんな子犬を抱いても柴犬だけは抱かない。 目も合わさない。
ずっとそうしてきた。
もしまた犬を飼うとしても柴は飼わない。 アイツに悪いから。
そう決めていた。

ところが今回、ガラスの内側に居たペットショップのお姉さんが、生後60日の柴を抱いて僕に近づいてきたんだ。
抱いてみますか? と言われて断れるほど僕は意思が強くない。
ムクムクの外見からは想像できない筋肉質な体は、やはりダックスやテリアと違う。
意思の強そうな目、短くピンと伸ばした尾、やっと開いてきた耳。
そうだ、これが柴犬だ。
やはり僕は柴犬が好きなんだ。 その事に改めて気づく。

犬の居ない生活が寂しくて、でも飼っていた柴に悪いから柴以外の犬を考えていた、という僕に
柴を一度飼った方はずっと柴を飼い続ける事が多いですよ、とお店の人。
それは余りにも簡潔で説得力があり、何も言えずにただ腕の中の柴を抱いていた。

Mが信じられないような事を言う。
誕生日のプレゼントに子犬を買ってあげるよ、と。
一瞬ポカンとし、また柴犬と生活が出来るのか、と嬉しさがこみ上げて来る。
いや、でも。 まだ早いよ。
まだ、アイツの記憶が濃すぎて。
やっとの思いでその申し出を断る。
でもずっと思っていた。 あそこでウンと言ったら、僕の目の前に柴の子犬が居たのかも知れないと言う事を。
また、あの頑固な犬と一緒に生活できたかも知れないという事を。






 


 

05/1/13 (木) 38

寒さは和らがない。
空の青と丹沢、富士、秩父の山々が神々しいほどに美しい。
そんな朝、自転車と徒歩で出勤。

事務所のOちゃんがお誕生日おめでとうございます、と言いに来てくれる。
二階のKさんが、なぜか真空パックのトウモロコシを一本くれる。
前の部屋のSもおめでとう、と言ってくれる。
昔ちょっとした関係だった女性やら、悪友のKまでもmailをよこす。
そうだ、今日は僕の誕生日。
もう38歳だよ。
とほほだよ。

でも、こんなちょっとした事が何だか嬉しい。
一言、おめでとう。
それだけで良いんだ。 
ありがとう、と素直に言える。

ホントはこの歳になって、自分の誕生日を祝うのではなくって、生んでくれた母親に感謝する日にしなくちゃ
いけないんだろう。
それは解っているんだけれど、母親にそういう気持ちを伝えるのは難しい。
とても難しい。


   


夜はM宅へ行っても良かったのだけど、何となく疲れていて自転車を10キロ漕いでMのマンションへ行くのが億劫だった。
明日は僕もMも休みだし、明日ゆっくり会えば良い。
今夜は一人でお酒を飲もう。

買ってきたお寿司と牡蠣の燻製、シラスオロシとカツオのタタキでギネス。 その後正月の残りの日本酒「鳳凰美田」
胃痛は相変わらずだけれど、昨夜からGaster10mgを飲んでいる。
一日2回の服薬を一週間続けてみて軽快しないようなら仕方ない、受診して検査してもらう事にしよう。

何となく低調のままの毎日。
暖房の効いた自宅に引き篭もり、窓越しに冬枯れの世間を見ながら好きな本や映画で過ごす毎日。
そんな有りもしない生活を妄想する。

 


05/1/12 (水) 寒すぎる

   

寒い。
樹にも、葉にも、主を失った犬小屋にも霜が降る。

朝、サドルに降りた霜をガリガリと落として自転車。
途中の駅前の無料駐輪場に止めて、職場まで歩き。
これで、一日に自転車10キロ、徒歩4キロの運動になる。
むなしい努力は続く。

胃が不調だ。
鈍痛と、何となく重い感じ。
いつからなのかハッキリしないけれど、そう言えばここ最近良くそんな症状が有ったな、と気づく。
流行の伝染性胃腸炎でもなさそうだし、では何なのか。
僕の(大嫌いな)性格からして、こうなるともう胃の事が頭から離れなくなる。
これが他の部位ならば、早速病院を受診して検査するのだけれど、胃はなぁ。
ファイバー飲むにしろ、バリウム飲むにしろ、どう考えてもそんな事不可能に思えてくるんだ。
そんな事をしている自分を想像しただけでオェっとくる。
自分で出来る潜血検査はnegativeで、消化管出血は無さそうだけれど。
さて、どうするか。

朝にインスタントのポタージュ。
昼に赤いきつね。
夜は惣菜売り場でタラの芽天麩羅、カツオの刺身。
カツオは網でサッと炙り、土佐酢で燗酒と共に。



海外の友人から遅れて届いた年賀状。
時間を作ってMと遊びに来い、と書いてある。
その友人は僕とMの経緯を知っている数少ない一人だ。
そう出来ればどんなにか楽しい事だろう。

でも、無理だ。
なんの根拠も無いけれど、Mと一緒に海外旅行なんてきっと出来ない。
そんな気がする。
確信めいた予感がある。
そんなこと出来っこないよ。

胃が痛くて、昔に折った肘が痛くて、仕事は忙しく、外は余りにも寒すぎる。
バイクのバッテリーはあがり、忘れていた請求書が送られてきて、秋に植えたえんどう豆は枯れてしまった。
もう良い事なんか何にも無いよ、そんな気になる。
なんだかひどく歳をとった気がする。
きっと何もかも皆、寒さのせいだ。

 


05/1/9 (日) 角煮トロトロ

日曜日。
朝、温かい陽が眩しくて目が覚める。 が、風は冷たい。
長い夢を見ていた気がするけれど内容が思い出せない。

キチンと料理を作れない日が続いて、なんかジックリ火を通したものでも作りたいな、と思う。
近所の「いなげや」に開店と同時に入り食材を物色。
畑で大根が美味しく出来ているし、ネギも沢山植えてある。
それらも使って何か作ろうっと。 こんな事を考えながら買い物するのはとても楽しい。

豚バラブロックが100g118円かぁ。
これで角煮でも作ろうかな。
Mの息子も好きだし、今から煮込めば夕飯に間に合うだろう。
豚肉1.3キロ、卵10個を買い、畑で大根を引っこ抜いて帰宅。


 表面に焦げ目をつけて


 ネギの青いところ、しょうが、ニンニク、セロリで煮込む。

 別鍋で大根もグツグツ。米を一掴み一緒に入れると良く煮える。

ひたすらアクと表面に浮いてくる油をすくいながら煮込む。
HDDプレイヤーの中身をDVDに落としながら、携帯のメモリーを整理しながら、PCのバックアップをとりながら
弱火に乗った鍋の世話をし、美味しくなるように呪文をかける。
僕のキッチンのテーブルでは、なぜか甥が冬休みの宿題をしていて、三桁の引き算に挑戦している。
ちょくちょくと彼に味見を頼みながら、コトコトと煮続ける。

醤油、味醂、焼酎、砂糖、鷹の爪を入れて4時間。
その後、別茹での大根とゆで卵を入れてさらに一時間煮込む。
出来上がったの夕方の4時。
窓の外は陽が傾いて、もう夕方の気配。

ジップロックに詰めた角煮を持って、M宅。
ついでに100均やらスーパーやらで2人で買い物。
今夜は子供を連れて荒川の河川敷まで彗星を見に行くというMを見送り、僕一人でまた「コジマ」へ行く。
コジマは大きなペットショップで、子犬を抱かせてもらえるのだ。
コーギー、ジャックラッセルテリア、パグ。
何匹もの犬を抱いて帰宅。
体に付いた犬臭さが嬉しい夜。



もう、納骨しようかな。
出窓に置いた愛犬の骨が入った壷を見てそう思う。
壷の前に写真、小さなお皿にカマボコが二切れ置いてある。
アイツが逝ったのが11月か。
寒い日だったな。
アイツの事は忘れないけれど、犬の居ない生活は僕には寂しすぎる。


夜、そんな事を考えながらお酒を飲む。
角煮は一晩寝かせて、表面に固まった油を抜いて明日食べよう。
そう思ったけれど、少しだけ味見。
崩れる寸前まで煮込んだ豚バラはトロトロで、大根も良く味が滲みた。
美味いじゃないか。

   

寝る前、Mから電話。
子供達がとても美味しいと食べたよ、と。
当然じゃん、あれだけ手間かけたのだから。
今度はロールキャベツを作って持っていってやるよ、と言って電話を切る。
彗星は昨夜の位置からかなり動いており、それでも息子は双眼鏡で見て喜んでいたと言う。


平和な一日。
なんだかとても眠い。
明日も休みか。 
もうそれだけで、熟睡できそうだ。


 


05/1/8 (土) 彗星の夜

休み明けの五日間、ひどく長く感じた五日間。
少し疲れ、少し体調も悪く、少し気持ちの落ちたここ数日。
でも、日月と連休で、ゆっくり映画を見るぞ、ゆっくり畑の手入れをするぞ、ゆっくり料理でも作るぞと
気力がムクムクと湧いてくる。
やっぱり休みは嬉しいものだ。

土曜日。
午後からぐんぐん気温が下がり風も出てきた。
仕事はそこそこ順調でサクサクすすむ。
いつもこうだと良いのだけれど、まぁそんな訳も無いか。
夕方、転職し小学校の先生になった友達が大量のお菓子と共に来室。
あまりに違う環境への転職で心配したけれど、すっかり生徒とも馴染んで楽しくやっているらしい。
そんな柔軟性を僕ももちたいものだ。


    F4.5 ISO500 露出50min 

夜、気温2度の荒川の河川敷でMと彗星を見る。

去年の夏にカリフォルニアのマックホルツさんが見つけたこの彗星。
40年前に200ドルで買った望遠鏡を使っての発見だ。
その後ぐんぐんと光度を増し、3.7等級で昴(すばる)の隣に並んだ。
かつて天文オタクだった僕がコレを見逃すはずは無く、でも未だ風邪が治らない体にムチ打つ訳にも行かずに、
山奥へ観望に出かけたいのを我慢して、こうして都会の川原で街燈とネオンの光に埋もれた光を探す。

冷たい風が吹き抜ける川原でMと2人。
Mの子供達も来たいと言ったようだけれど、実際見えるかどうか解らず、とりあえず2人での観望。
星なんて全然興味の無かったMだけれど、僕の影響で星座や星の名前、流星群、月食、そして彗星。
一通りのモノを見せて来たせいで、この頃は夜に一人で星を見たりしているらしい。

左の矢印は昴。 六個の明るい星とその他の小さな星達からなる星団で、昔エジプトでは兵役検査で視力を測る
ために使われたと言う。 目の悪い僕は2、3個の星しか見えないが、Mは6個全てが見えるという。
右の矢印がマックホルツ彗星。 その薄い緑色は、彗星から太陽の影響で揮発するシアンの色だ。
星の動きを追尾する赤道儀という大きな機械を持ってこなかったので、地球の自転で星が流れて写っている。
たった50秒の露出時間中に、これだけ地球は動くのだ。

再接近を過ぎて、地球から物凄い速度で遠ざかっていく彗星を、今この瞬間に世界中の何人の人が見ているだろう。
道を行く人に、今あそこに彗星が居ますよ。 この双眼鏡で昴とともに綺麗に見えますよ。
そんな事を話しかけたくなる。
星の綺麗な夜、うつむいて家路を急ぐだけじゃもったいないじゃないか。



結局、ずいぶん遅くまで河川敷で過ごし、別れ際にキスをして帰る。
Mは明日の夜、子供達にも見せてやると言っている。
良かった、そんな時のために、子供にも解りやすい彗星の解説をプリントしてきたんだ。
Mの子供達には、何にでも興味を持つ、視野の広い人間になってもらいたい。
その為に僕にできる事は何でもやろうと思う。



 


05/1/7 (金) 八重の梅

   

普段なら30分は余裕をもって家を出て職場に向かうのだけれど、今日は出がけにお腹が痛くなって
トイレに篭ったせいで珍しくギリギリ。
ちょっと焦ってセカセカと歩いてたら、どこからか良い香り。
なんだか、懐かしい気分にさせる春の香りだ。

キョロキョロと見回し、やがて見つけた。
もう、これは春の兆しじゃなくって春そのもの。
樹の個体差なのか、他の樹はまだ咲いていないのに、この梅の樹だけに春がやってきている。
冬枯れの中にあってただ一本、孤高に、誇らしげに、香りを撒き紅を開く。
嬉しくなってしまって時間を忘れて写真なんか撮っていたら、トンでもない時間になってしまった。



午前中の、まだお昼には早い時間にポッカリ時間が空いて、職場近くの店で今年二杯目のラーメン。
その後、帰宅時まで全く自室から出ずにずっと仕事に没頭。
正月休みの反動で、次々と予約が入って今月後半が思いやられる。

夕方から冷たい風が強くなってくる。
そんな中、背を丸めて帰宅。
東の空にシリウスが昇る。
冬の夜空の象徴、青白く印象的な冷たい光。

途中でシメサバ、厚揚げを買う。
風呂から出て、温めたお酒を一合飲んだら眠くなってしまった。
何となく鏡を見たら、驚くほど疲れた顔の自分が居て、なんだかガッカリする。
来週には38歳になるのか。
かつて、そんな年齢の自分を想像した事など一度も無かった。
いつまでも若いままいられると思っていた訳でも無いけれど。

明日は早い時間に出勤。

 


05/1/6 (木) 正月が明けて


とても寒い朝。
どんよりと低い雲。 天気は西から下り坂。
玄関を出るとすでに空気に雨の匂いがする。
そんな中を自転車で出勤する。

休みが明けて3日目。
いささか消耗気味で仕事から帰ると何もする気がしない。
たった5日間とは言え、続けて休むと体が訛るのか同じ量の仕事でも疲れ方が違う。

朝、いつも通りブラックのコーヒー。
昼は久しぶりにコンビニのお弁当(カツ丼)とインスタントの味噌汁。
夜は気力なくスーパーの串カツを買って帰るが、これがビックリするほど不味かった。
でも、クヤシイからビールで流し込み完食する。

年末からの風邪がなんと未だに完治しておらず、咳と痰。
昨夜は頭痛もあったし、そのせいも有ってダラダラと過ごし、夜はいつも間にかホットカーペット
の上で寝てしまうことが多い。
そんなだから風邪が治らないのかも知れないけれど。
つぎの休みは日曜日だから、もう一踏ん張り頑張らないと。

正月に買ったFaxの説明書を読みつつ、少しずつ設定をしている。
今日はNTTのナンバーディスプレイに申し込み(月400円。こんなものは標準サービスにするべきだ)
非通知で自宅にかけてくる電話をブロックするようにした。
やはりナンバーディスプレイを使っている友人の話では、勧誘などの迷惑電話の多くは非通知で
かけてくるという。
日頃、その手の電話にウンザリしていたので効果を期待したい。
僕の電話回線はYahooのIP電話だけれど、M宅にもコレを入れようか、と考え中。
YahooBBユーザー同士なら何時間話しても無料だから、毎晩話す僕らには良いかもしれない。
モデムレンタル等に掛かる費用と、それによって浮く電話代。 どちらが得か考えてみよう。

本当はM宅にも常時接続のPCが有ったらな、と思う。
メールやメッセで色々と遊べそうだし、娘の勉強にも役立つだろう。
僕のバイオノートをプレゼントしても良いのだけれど、機械嫌いのMがPCをいじっている所は想像がつかない。


   


正月休みが終わって、次ぎは何を目標に毎日を過ごせば良いのか。
この頃寒く気が滅入るばかりだし、昔に骨折した古傷が痛んで辛い。
春はいつ来るのか。
春になれば何か良い事が有るって訳では無いだろうけれど、大嫌いな冬を乗り切った後にやってくる
春と言う季節には特別な思いがある。

とにかく、全てを冬の寒さのせいにしている今、春の兆しを探すのだけは楽しみだ。
春になったらダイエットを始めよう。
春になったら新しい自転車を買おう。
春になったら家の模様替えもしたい。
葡萄の棚も作ろう、枯れたオリーブの代わりに桃の樹を植えよう、また一人で旅行に行こう。
それまでは、日々、春の兆しを探していよう。

正月の雪が未だに融けきらない庭の一角。
秋に植えたきり、すっかり忘れていた日本水仙の芽が出ていた。
状態の良くなかった、干からび、割れた球根。
雪にも霜柱にも負けないで、濃い緑の芽を伸ばす様には感動する。
強いね、キミは。
忘れずにじっとその時を待っていたんだ。
いつも人の目ばかり気にし、自分のペースを乱して不調になっている僕とは大違いだね。
僕も、誰の為でなく自分の為の強さを持ちたい。

いつかに見た、爪木崎の水仙の大群落をまた見たいな。

 


05/1/3 (月) お正月もおしまい

年末に嫌な事があっても、もうすこし頑張ればお正月、もうちょっとで休めるぞ。
それを拠り所にやり過ごしてきたと言うのに、そのお正月休みも今日でおしまい。
あっという間だった気がするけれど、それはそうだろう。
だって、たったの5日間だもの。

寒い時期の自分の家で一番気に入っている場所、備長炭を熾した囲炉裏端で酒を燗したり
オモチを焼いたり、昼間から酔っ払って居眠りしたり。
そんな夢の様な日々。
心底穏やかな気分で、全てに余裕があり、夜も良く眠れる。
そんな日も今日までだ。
明日からはまた、僕の日常がやってくる。



    

 


良い天気の月曜日。
ゆっくり朝寝して、むっくり起きて近所を散歩。
街は意外に人通りが少なく、みんな往くお正月を惜しんでゴロゴロしているんだろうか。

なんとなく引き出しを整理し、保険関係を見直してみる。
積み立て型の生命保険、掛け捨ての生命保険、職業団体の共済。
独身の分際で三つの保険に入っているけれど、今回終身の癌保険にも入ってみた。
親戚で癌になる者が多いし、そんな事が気になる年頃でもある。
告知書に署名捺印してポストへポン。
保険も通販で簡単に入れる時代だ。

昼から車で立川へ。
いつものビックカメラへ出かけ、各階を物色。
こういう時はすでに無意識の購買意欲をコントロール出来なくなっている時で、何を買うかは解らないが
何かを買うだろう事は自分でも解っている。
その何かを探すのが楽しいんだ。

お酒コーナーで高級ウイスキーにヨダレを垂らし、カメラやPCは勿論、ホームシアターから防水ラジオまで
欲しい物をゆっくり見て周り、健康用品のコーナーで30万円のマッサージ椅子に座ってそのまま眠りコケ、
ゲームコーナーでDQ8を手に取りワナワナする。
結局、店を出るときは何故かFAXを買っていた。
子機二台付きで22800円、ポイント15%。
家の電話が老朽化していたし、電話とFAXで値段にあまり差が無かったから思わず衝動買い。
でも良く考えたら使わないだろうな、FAX。
夜な夜な函館のKにエッチなイラストでも送りつけようか。
とりあえず、悪友Tにエゲツ無い絵を一枚送っておいた。

帰り道に「ラーメンショップ」で今年初めてのラーメン。
ネギ味噌チャーシュー800円。
今年はどれだけ美味しいラーメンに出会えるかな。



あぁ、行きたくない。
仕事になんか行きたく無いよ。
来る日も来る日もゴロゴロしてお酒を飲んで、猫や犬に囲まれて、畑を耕して過ごしていたい。
自分の好きなモノだけに囲まれて、穏やかな気持ちで時を過ごせたら。

例年通り、外れた年末ジャンボの束を前にしてそんな生活を妄想する。
そして目の前のノートPCで、明日の会議で使うレポートを打つ。
まとめるのに2時間。
前夜からすでに仕事は始まっている。

明日は早くに出勤。

 

 


05/1/1 (土) 明けましておめでとうございます

   

昨日の雪を屋根の上で銀色に輝かせながら、今年初めての夕陽が富士の肩をかすめて落ちてゆく。
雲も空も光も、鉄塔さえもとても美しい夕方の一瞬。

明けましておめでとうございます。




大晦日の夜はM宅で過ごす。
吹雪の様な雪で白一色に染まった住宅街の細い道は、ノーマルタイヤでは恐怖を感じるほどの状態で
這うようにして埼玉の裏道を行く。
リアシートには、大皿のオードブル、海老、牡蠣フライ、刺身にチキンに寿司、煮物、イチゴやプリンなど
このまま冬眠できる程の食料で埋まり、酒も勿論大量に積み込んできた。
そしてM子にあげるお年玉も忘れずに。
Mが仕事から帰る7時に合わせてマンションに入る。

M、その娘と僕の3人で大晦日を送るのは去年に引き続き二度目。
沢山の料理、普段は飲めない上等な酒、そして自分の家族同然の2人。
コレ以上の組み合わせは無いだろう。
勿論、上機嫌で紅白に合わせて歌ったり、酒を飲んだり、アホな話に興じたり。
楽しく幸せな時間。

日付が変わる頃、娘は友達と近所の神社へ。
僕たちは、去年はありがとう、今年も宜しくお願いします。と言ってキスをする。
その頃から久々に喘息の発作が出てしまった僕は、もっと遊びたい、お酒を飲んだり初詣に行ったりしたいという
気持ちとは裏腹に、布団にダウンし、隣の部屋でMが見るテレビの音を遠くに聞きながらウトウトする事となった。

次に気がついたのは明け方の4時。
電話で話すMの声。 ICUに入れて御家族に電話して、とか言ってる。
仕事の話だ。
病院の内科婦長のMは正月も休み無しで働いているけれど、こうして深夜に夜勤看護婦から電話が来る事も良くあるという。
何てこったい、そりゃ激務だな。

早朝、病棟が心配だというMはサッサと出勤し、昨日の雪で路面が凍結し車を出せない僕はもう一眠りする。
氷が緩む頃、Mの娘を残して帰宅。
こうして新しい一年がはじまった。

元旦の今日はひたすら怠惰に過ごす。
年賀状を読んだり、カメラを持って近所をうろついたり、昼間からワインを飲んだり。
やがて夕暮れ。
近所の歩道橋へ上り、陽が落ちてゆくのを一人見る。
さて、今年はどんな一年になるのやら。