フキノトウ味噌を作ります2016年03月01日

自宅の北側は実家へと続く通路だ。
だから実家に行く事が無くなった去年から、そこは荒れ果てている。
兄の子が拾ってきた不動のスクーターとか、壊れた自転車とか、折れたスコップとか。
そんなものが放置され、見るのも憂鬱な空間になっている。
プランターが並び季節の花が咲いていたのは、たった二年前だ。
もうフェンスで塞いでしまおうか。
何度もそう思い、でもずっと放置している。

今朝、その通路に何か薄黄色い花が見えた。
散歩を終え、冬毛の抜け始めた犬にブラシを掛けていて見つけたんだ。
それは沢山のフキノトウだった。
以前はこの蕗を良く食べたっけ。
キャラブキも作ったし、春先のこのフキノトウは何より嬉しいものだった。
小さな頃、生意気に蕗の風味が好きだった僕はよく母と摘んだものだ。

夜、やっぱりあのフキノトウをどうにかしたくなって、懐中電灯を持って摘みに行く。
まるで泥棒のように、コソコソと。
名義上は僕の土地なのに、なんでそんなに人目を気にするのか。
自分でもそれが可笑しかった。


さっと湯がいてから水気を絞り、ザクザク刻む。
フライパンでざっと炒め、味噌と砂糖を合わせるだけ。
フキノトウ味噌。
ご飯にはもちろん、焼いたアブラゲに塗ったり豆腐に乗せたり。
あー、懐かしいな、など独りごちながら食べる。
そしてふと両親の事を思い出し、写真の前にもそれを供えた。