2008/102008年10月30日



 


08/10/31 (金) 本

   

もともとあまり好きでは無かったテレビ。
この頃はHDDレコーダーが勝手に撮ってくれる幾つかの番組以外、全くといって良いほど見なくなった。
映像も音も刺激が強すぎ、疲れてしまうんだ。

夕飯後の時間は大抵ラジオを聴きながら本を読んでいる。
唯でさえ少ない睡眠時間を削り、2日に一冊のペースで読んでいる。
今夜もきっと夜更かしをするだろう。



08/10/30 (木) 寒い

いつもの時間にラジオのタイマーで目が覚める。
ラジオの音が出る前に、その電源が入る気配で目が覚めるんだ。
熟睡感はあまり無し。

東京の日の出時刻は、ついに6時台となった。
今日の日の出は6時1分。
気温は10度。
ワンコが玄関マットの上で丸くなり熟睡している。
低い雲が朝の気配を遮る、暗く寒い1日の始まり。

チョロQ号で出勤。
途中のマックでコーヒーをテイクアウト。
ドライブスルーで前車が大量に注文を入れていて、とても長い時間を待たされる。
ああいう時は前車を一旦他のスペースに移動させ、後車の注文をこなして欲しい。

職場に着くも鍵を忘れ、また時間のロス。
やっと部屋に入るも、訳の解らない内線問い合わせに翻弄され時間を浪費。
結局、ダメな時は何をやってもダメで、昼前の時間になっても本来の業務に手を付けられないままだった。

昼食は大勝軒。
午後、会議準備、業者問い合わせ、職場内出張。



   

Mが父にと花を買ってくれた。
ちょうど花瓶が足りないなと思っていたところだったので、新しく信楽の壷を手に入れた。
ん、この花に信楽は似合わないか・・
今度、父の好きだったリンドウでも買ってきて生けてみよう。

晩飯は芋煮って言うのかな。
畑から取って来た里芋、ゴボウ、大根、白菜、下仁田葱があったので味噌味で煮た汁。
ホッコリと温かく、そして酒の肴にもなる。
やっぱり里芋は美味いな。

明日で10月も終わり。
また早い時間に出勤して走り回ることになりそう。

 

 


08/10/29 (水) ドライブ

   

ファルコン号に乗って、Mと2人でドライブ。
東北自動車道、日光宇都宮道路、いろは坂、中禅寺湖、金精峠、赤城山、伊香保。

冬枯れの始まった峠道。
刈り取りの終わった田。
人の居なくなった湖。
戦場ヶ原の気温は5度。
雲が渦を巻いて流れ落ちる。

10時間、400キロの道程はあっと言う間。
ああ、ドライブは素晴らしい。
こんな時だけは、嫌な事も忘れてしまう。


08/10/28 (火)  晴れ

   

ロールキャベツと日本酒が効いたのか、昨夜は熟睡。
夜が良く眠れれば、朝の目覚めも良いし疲れも残らない。

朝、抜けるような青い空。
喘息も治まった様で、久しぶりに自転車で出勤。
車の通らない裏道と、川沿いの遊歩道を30分。
それが実に爽快で、寒くなるまでの間はもっと自転車通勤をしようと思う。
スポーツジム休会中の今、運動不足が心身不調に関係していると実感しているからだ。
運動する事は、絶対に体と心の自信に結びつくんだ。

仕事はまあまあ。
朝の爽快な気持ちはいつまでも続かなかったけれど、今日求められた事は無難にこなす事が出来た。
昼は緑のたぬき。
おやつにうまい棒。


母は、この頃ようやく料理をするようになってきた。
ただ、それを1人で食べるかは解からない。
僕の帰りが遅くなった夜、1人でボンヤリと僕の帰りを待っているのではないかと思うだけで堪らない気持ちになる。
だから毎日職場から直帰して、夕飯を共にしているんだ。

しかしそれを、いつまで続ければ良いのか。
今月末の期限までにスポーツジムへ復帰届けを出さなかったので、休会は自動的に11月末まで延長。
12月から週に何度か、仕事帰りに運動できる様になれるだろうか。
以前の様に、M宅へ泊まりにいけるようになるだろうか。

どこかでやはり、僕も以前のペースに戻らなければならない。
いや、僕のペースなどどうでも良いが、母が夜の時間を1人で過ごせるまでに元気になってくれれば嬉しい。






08/10/27 (月)  喘息の発作

昨夜、久しぶりの喘息発作を起こし、数度の吸入でも改善せず。
救急車を呼ぶには躊躇いがあるし、では自分で車を運転し夜間救急へ飛び込もうか。
そんな事を考えながら枕を抱き窒息の恐怖に怯えているうちに、いつの間にか朝。

眠った気はしないけれど、ウトウトしていたんだろう。
明け方、点けっ放しだったラジオの天気予報で、今日は西高東低の気圧配置、と言っていた気がする。
もうそんな言葉が聞かれる季節になった。

仕事は休めず、重い体を引きずって出勤。
月末の月曜日。
相変わらず戦場のような慌しさ。
そんな中、呼吸が苦しくなりそうでゆっくりゆっくりと歩く。



父関係の仕事では、銀行、融資関係の書類は8割方作成済み。
あとの大部分は相続人の1人である兄の書類待ちだけれど、本人にやる気は無い様で相変わらず連絡は来ない。
父の死で口座が凍結され、某物件の支払いも滞っている。
イライラが募る。

どうにも先が見えず閉塞感が有っていけない。
こんな時はどんどん攻めれば良いのだけれど、今はそこまでの元気が無い。
最大の懸案である税理士訪問も初回の顔見せだけで先に進んでいない。
待っていても解決しないのに、行動する気力が無く、そしてまた体調が悪くなっていく。

 

   



少しでも元気になろうと、夕飯は頑張ってロールキャベツ。
先日畑から取って来たキャベツとタマネギ、そしてコロッと丸のままのカブも入れてみた。
酒は幼馴染が差し入れしてくれた澤の井・今年最初の搾り立て原酒。
これで少し体を温めて早くに寝よう。
忙しい時の不調ほど堪えるものはない。
今夜はもう、ヘトヘトだ。

 


08/10/25 (土) Amazonプライム

今日の日の出は5時56分。
日没は16時54分。
ついに昼時間が10時間台となった。
そしてそれは12月に9時間台にまで短くなる。
暗い冬が、もうそこまでやって来ている。

朝、ワンコが庭で何かを見つけて僕を呼ぶ。
金魚の残骸だ。
くそ、夜の間に野良猫に池を荒されたようだ。
大事に育てていた琉金が。
何か猫対策を考えなければならない。

父の写真の前に飾って有る切花の整理。
仕事帰りにまたバラでも買ってこよう。
頭痛とダルさを抱え、チョロQで出勤。
この頃、体調の良い朝など記憶に無い。

多忙な1日。
でも、残業をしない事にしているので体は楽だ。
昼間の時間を徹底して働き、定時に職場を出た。
低い雲から雨粒が一つ二つ。



気軽に本を買うために、Amazonの有料会員サービス、Amazonプライムに入ってみた。
本当はAmazonで本を買うのは好きじゃない。
僕は本屋でジックリと読みたい本を選ぶ時間が好きなんだ。

でもこの夏以降、それが出来なくなった。
本屋でゆっくり本を選ぶと言う時間が、実はとても贅沢なものである事に気付いたんだ。
時間は有るはずなのに、ゆっくり本屋で過ごす事が出来ない。
そんな時間が有ったら真っ直ぐ家に帰って、父の遺品整理でもしたくなってしまうんだ。
74年間生きた人の、家一軒分の生活の後を片付ける事の困難さを考えると、ゆっくり本屋で過ごす時間が惜しくなってしまうんだ。

また余裕が出来たらプライム会員は退会しよう。
早く、そんな気分になりたいと思う。
でもその反面、父の生きた痕跡を消してしまうみたいで、遺品の整理など終わらなければ良いと言う気持ちも強い。



   

今夜の読書はコレ
珍しく、酒も飲まずに読んでいる。



08/10/23 (木)  深い河

父の葬儀の日はあれほど暑かったのに、今日はもう霜降。
夏の終わりはいつも唐突だけれど、今年は特に季節のうつろいが早い気がする。
毎年楽しみにしている門の脇の葡萄の実も、収穫せずに終わってしまった。

職場でトラブルがあり、早朝から呼び出される。
にび色の空。
気温は17度。
小雨が降ったり止んだり。
東進してくる低気圧と前線の影響で、これから東京は本降りとなるだろう。
憂鬱な新しい1日が始まった。

午前、事態の把握と対策。
もしかしたら厄介な事に発展するかもしれない。
実習生の相手を1時間。
まだ循環器病棟で実習していない学生だから、サラッと済ます。

昼にコンビニの納豆巻きとおでん。
午後は講習会シリーズ最終回で2時間講師役。
やっとこの勉強会が終わり、肩から荷が下りた気分。
何度やっても、人前で話すことが好きになれない。

夕方、結局自分本来の仕事を何一つ出来ないままに帰宅。


   

晩飯は手を抜いてスーパーの惣菜。
どうにも疲れて、料理する気力無し。
でもコマツナのおひたしとカブの味噌汁だけは作った。
畑から抜いて来た野菜が余っていたからだ。

夜、久しぶりにを読み始めた。
ここしばらく、読書を楽しむ余裕など無かったんだ。
1人で酒を呑みながら本を読んでいる時間が一番すきかもしれない。

明日は仕事休み。
M宅で昼酒でも飲むかもしれない。



08/10/21 (火) サボテンの花

   

温室の中で、サボテンの花が満開となる。
成長が遅く、育てる事が難しい個体。
これほど見事に咲いた事が少し自慢だ。

日の出は5時52分。
気温は13度。
清明な空気の中をワンコと散歩した。
出勤はチョロQ号。

仕事はほぼルーチンワーク。
他に、木曜日の勉強会の資料作り。
緊急が8件。
学生の相手に1時間。

昼、栄養課のフヂコの所へ遊びに行き、残った材料でこっそりラーメンなど作ってもらう。
栄養課の、たった3畳程しかない休憩室に椅子を並べ2人で食べた。
他の人間の出入りの無いあの部屋は、子供の頃に作った秘密基地のような楽しさがある。
今度はホットケーキを作ってもらおう。


夕方、急いで帰宅。
銀行屋さんが自宅へ来るからだ。

18時、銀行担当者来宅。
本題には入らず1時間世間話をして帰って行った。
今まで父が背負っていたものを代わりに背負える奴なのか、僕のツラを見に来たんだろう。

覚悟を決める時まで、あと9ヶ月。
背負えるのか、投げ出すのか、あるいは銀行が背負わさせてくれないかも知れないけれど。
改めて、父が感じていただろう重圧が身に沁みる。
今夜もまた胃が痛い。

 

 


08/10/20 (月) 母の検査

昼過ぎから母を連れて病院へ。
病院の待合室とはあれほど嫌なものなのか。
予約の時間から1時間待たされ苛々した。

母が検査に入った30分後、待合室で待つ僕に、今から手術をするので承諾が欲しいと言われ飛び上がる。
何て事の無い、内視鏡下で組織を取るだけだったのだけど。

10日後に出る病理の結果待ちだけれど、恐らく良性のポリープだと思う(願う)
しかし他にも大きな憩室が沢山あり、余り健康な腸ではなさそう。
今後も定期的に要検査だ。

とりあえず第一ラウンドは終了。
何だか少し楽になったな。
あとは病理の結果を静に待とう。

 


08/10/19 (日)  飛行場で遊ぶ

秋の陽射しが心地良い日曜日。
朝早くから庭に出て、犬と遊んだ。
こんな明るい陽射しには強い力がある。
それを浴びているだけで、とても清々しい気持ちになるんだ。

蓮の枯葉を切り、冬篭りの場所へ移動。
朝顔の植わっていたプランターへ菜の花の種を蒔く。
収穫の終わったミョウガの場所へ台所ゴミで作った堆肥をまく。
花の終わった萩の剪定。

畑を見たいという母を車に乗せて埼玉へ。
キャベツと下仁田葱の収穫、農家の庭先で父に菊の切り花を購入。
帰り道の神社で、手の汚れるのも気にせずギンナン拾い。
朝早くから動き始めれば、これだけやってもまだ昼だ。



いい歳をして、自分の周り全てを自分好みで揃える事など出来ないことは知っている。
食べるために労働もし、苦手な付き合いもし、嫌々ながら最低限の義務は果たしている。
でも、良く晴れた休日のこんな時間だけは、嫌なものは見たくないし関わりたくも無い。
その数時間だけは、僕だけのものにしたいんだ。
ほんの短い時間で良いから、邪魔の入らない時間を作りたい。



   


午後、Mを僕の地元の小型機専用飛行場へ連れて行った。
彼女がここへ入るのは初めて。
昔は自由に出入りできたのに、今は年に一度の公開日にしか入れなくなってしまった。

ここは子供時代の僕の大好きだった場所。
休日になると母に作ってもらった弁当を持って自転車でやって来ては、離陸する小型機を眺め、手を振り、その爆音に惚れ惚れしていた。
あの頃の僕は飛行機博士だった。
いつか自分も飛行機の免許をとり、あんな自分の飛行機を手に入れるんだと本気で思っていたっけ。

そんな夢はいま何処へ行ってしまったんだろう。
今でも飛行機は大好きだけれど、自分でそれを所有する夢など抱く事は出来ない。
日常に流され、つまらない人間になってしまったんだ。
こんな大人になって、あの頃の僕に申し訳が無い。



明日は仕事から昼で帰り、母の付き添い。
健康診断で要精密検査となった大腸ファイバーの検査だ。
とても心配している。
たのむから、良い結果が出てくれ。

 


08/10/18 (土)

どうにも波が有っていけないな。
今夜は寂しくていけない。
父と多摩川にザリガニ釣りに行ったことなどを思い出しながら酒を呑んでいる。
その酒は、父の飲み残しの「いいちこ」だ。

 


08/10/17 (金)  ボンヤリ

   

昨夜、久しぶりに寝つきは良かったけれど、悪夢を見て飛び起きる。
冷や汗を流しながら真っ暗な部屋で枕を抱いていると、開けた窓から夜鳴く鳥のギャーと言う絶叫が聞こえ恐怖した。
初めて声を聞いたあれは、何と言う鳥なんだろう。

朝、胃液を吐いて気が滅入る。
珍しくワンコまでもが無駄吼えし、玄関のケージに入れたまま出勤。

午前は現場。
昼にカップワンタン。
午後は某所で壇上に立つ。

講習会2日目終了。
参加者多く、プリントを慌てて増刷。
あとは来週木曜日に2時間話せば今回の講習会はおしまい。
もう今後しばらくの間、こう言う依頼は断ろう。
ボランティアで話すのは良いが、自分の仕事への影響が大きすぎる。
余裕が無い時だっただけに、ずいぶん辛い思いもしたし。

喉が痛い。
2日間で4時間話したせいなのか、風邪のせいなのか解らず。
フラフラする。
疲れからなのか、自律神経症状なのか解らず。
気持ちが塞ぎ上手く笑えない。
父の事のせいなのか、母の心配のせいなのか解らず。
解らない事ばかり。

確かに体調は崩している。
不眠もイライラも焦燥感も常にある。
頭痛も腹痛も、首の痛みも消えない。
首の痛みは少し気になっている。
7年前に顎下腺腫を摘出した場所に数ヶ月前から鈍痛があるんだ。

薄暗くなる頃、職場を出た。
この歩道橋からの景色が好きだ。
雲が無ければ富士が見えるのに。



晩飯にはイワシの梅干し煮を作った。
他に大根おろし入り納豆、焼き油揚げ、野菜庫の中身を何でも入れたサラダ。

母と夕飯を共にするようになって、お米を食べる様になった。
習慣的に晩酌をするようになってから、夕飯時にお米など食べたことは無かったのに。
学生の頃以来の、親とテーブルに向かい合っての食事にも慣れてきた。
だから酒は食事が終わり、自分の居住空間に帰り日記を書きながら飲む事になるんだ。

今夜の酒は東京の地酒、澤乃井の「梵」
ボンヤリしながら飲んでいる。
なんだかこの頃、いつもボンヤリしているな。

明日は職場に6時半入り。






08/10/16 (木)  にんじん葉のフリカケ

光の溢れる綺麗な朝。
気温は13度。
窓から流れ込む空気が冷たい。
街路樹の桜葉が色を付け、そして散り始めた。

そんな朝だけれど、どうにも気持ちは重いまま。
さまざまな気掛かり事から逃れる事が出来ない。
溜息ばかり。


体調不良でうずくまっている間に遅くなってしまった。
8時20分出勤。
午後に予定されている講習会の準備をする暇はなし。
こんな事なら昨日のうちにキッチリと詰めておけば良かった。
こうして準備不足のまま沢山の人の前に立たなければいけないんだ。

昼は赤いきつね。
半分ほど食べたところで呼び出しが掛かり、残りの半分にありつけたのは45分後。
でも、汁を吸い冷め切ったカップ麺のやるせなさも嫌いじゃない。
もちろん完食。

午後、某所にて第一回目の講習会。
久しぶりに沢山の人の前で話す。
最初は緊張もしたけれど、そこは専門分野。
前もって作ったアンチョコも見ずに2時間話した。
数件の質問と拍手がパラパラ。
3回シリーズの講習会だから、明日と来週にもう一度やれば暫くの間は自分の仕事に専念できるかもしれない。



   

日曜日に畑から間引いたにんじんの小さな苗を、コップの水にさして飾っていた。
涼しげな葉が可愛くて、毎晩飽きずに見ていた。
で、ふと思う。
この葉、美味そうだな。
そういえば、にんじんの葉をかき揚げにして食べるなんて池波正太郎も書いていたっけ。

フリカケを作ってみた。
ザクザクと刻み、カツオブシ、白ゴマと乾煎りし、醤油で味付けしただけ。
美味くて驚いた。
あれほど嫌っていたにんじんの匂いが、フリカケにし白米に散らせばすっきりと食欲をそそる。
これなら何杯でもご飯を食べられそうだ。
お粥に乗せても美味いかもしれないな。

シイタケを克服し、今日またにんじんの(葉だけど)美味さに気が付いた。
あと苦手なのは鯉と(滅多に食べる機会無し)、豚骨ラーメンと(腹さえ痛くならないなら味は好き)、ニンニク(これも腹痛くなる)くらいなものだ。

父の写真の前ににんじん葉のフリカケをおいて、2人で晩酌をした。
元気?
そっち世界はどうだよ。
こっちは相変わらずだ。

 

 

 


08/10/15 (水)  記念式

   

薬を使っても眠れず、また長い夜を過ごした。
今日の日の出は5時47分。
雲の多い朝。
ワンコと長い散歩をした。

いつもなら仕事も一段落し、お茶でも飲んでいる朝8時過ぎ。
父が逝ったその時間まで自宅で母と過ごし、父の好きだった梨を食べて記念式とする。

あれから1ヵ月。
もう何年も前の出来事のような、でもまだ父が笑いながら庭仕事をしていそうな、不思議な気持ち。
あの日の事を余り覚えていないのは気のせいか。
危篤の父の記憶の後は、葬儀の情景しか浮かばない。
そして寂しさはつのるばかり。

父の写真の周りを飾る花は、白百合からバラやコスモスへと変わった。
この方が良い。
百合の花はどうも苦手だ。


ルーチンワーク。
明日の講義原稿の読み合わせ。
機器のメンテナンスと試薬の在庫管理。
会議が一つ。

昼に仕出し弁当。
午後もずっとルーチンワーク。

仕事の遅れを取り戻す事が出来ない。
10の仕事を片付けても、また新しく10の仕事が舞い込むのだ。
いっそ、9月にやっておくべきだった仕事は塩漬けにしてしまおうか。
そんな誘惑を感じる。

定時に職場を出た。
直帰し、晩飯の準備。



昨日母に、段々と元のペースに戻ろう。1人で過ごす時間に慣れなければいけない。というような事を話したけれど、
慣れる事が出来ていないのは僕の方なのかもしれない。
どうもリビングでポツンとしているだろう母を思うと、他のことなど放り投げ真っ直ぐ帰って食事の世話をしたくなってしまうんだ。

とても仲の良かった夫を失った母が、昼の長い時間を1人でどう過ごしているのかを考えただけで堪らない気持ちになる。
でも本当は母は1人でもきっと大丈夫。
大丈夫じゃないのは、この僕だ。

母は今日、要精密検査となった健康診断の結果を持って掛かり付け医へ行き、他院を紹介してもらってきた。
自分で電話をし、検査の予約をし、地図で場所を見、バスの時間までも調べていた。
落ち着き、やるべき事をやっている。
うろたえているのは僕の方だ。
父の事を少し乗り切れるかと思った矢先の母の検診結果に、悪い事ばかり考え、不眠となり、苛々している。
僕は本当に弱い人間だ。
そしてその弱い人間が父の事から逃げるために、母に要らぬお節介をしているだけなのかもしれない。

母の大腸ファイバー検査は来週月曜日。
悪いものでない事を、あらゆるものに願い祈っている。
そして今夜もその事ばかり考え、また眠れそうに無い。

 


08/10/14 (火)  明日で1ヵ月

湿度の高い灰色の朝。
予報では午後から雨。
昨夜、眠剤を飲んでも眠れず。
朝の気配がするまで、ずっとラジオを聴いていた。
そんな夜は長くて辛い。
犬のイビキだけが癒しとなる。

午前の早い時間から父関係の処理。
郵便局、保険会社、銀行は全て問題なし。
介護保険関係、社会保険事務所関係、公務員共済関係は一歩も前に進めず。
こういう事はやはり民間の方がレスポンスが良い。
こんな事では、また平日に時間を作らざるを得ない。

母に請われ、父の生命保険から兄へ送金。
日々の生活費に消えるカネを、父の生命保険から貰う事を兄はどう思っているのか。
そのカネで美味い酒が飲めるのか。
そのカネでパチンコをして楽しいのか。
悔しい。

昼、雨が降り出さないうちにと庭で香典袋を燃やす。
でも母の望んだ父の日記は寂しくて焼けず。
読む事は無いけれど、本棚に飾っておくことにしよう。
あの緑色の背表紙を見ているだけで満足だ。



   


午後、久しぶりに母と外食に出る。
個室を予約し、2時間ほどゆっくりと食事をした。
今までの僕は、自分の思っていることを親と話すなど殆ど無い人間だった。
それがこの1ヶ月で、過去数年分以上の会話を母とした。
父のおかげだ。

明日で父が逝って1ヵ月。
この1ヵ月、とてもとても頑張ってきた。
キリスト教では特に法事のような事は無いけれど、1ヶ月は一つの区切りかもしれない。
家族を亡くした急性期の苦しみの時期は去り、これから寂しさの慢性期となる。
その寂しさを受け入れながら、前を向いて生きなくては。

段々とそれぞれの生活に戻っていこう。
これから僕は年末に向けて仕事も忙しくなるし、たまには飲み会も有るだろう。
もう父は居ないんだ。
母さんも少しずつ1人で過ごす事に慣れ、自分の時を取り戻してほしい。

そんな事を母に話した。
母も出されたコース料理を全て食べ、話し、少し笑うようになった。
何だかそれがとても嬉しい。



暗くなってから帰宅。
ポストに入っていたのは、母が受診した9月の大腸検診の結果。
そしてそこには要精密検査とあった。

くそ。参った。
もうこれ以上苛めないでくれ。



明日は、父が逝った午前8時6分まで母と居よう。
その後、急いで出勤する事になるけれど。

今週は木曜、金曜連続で大勢の前で勉強会の講師を務める。
要ソラナックス服用。
他の仕事もずっと遅れ気味。
何とか踏ん張らなければと思うけれど、どうにも気力が無い。





08/10/13 (月) ナスかき揚げ

   

穏やかな秋の休日。
野外で過ごす時間が心地良い。
門の脇の金木犀は満開を過ぎ、アスファルトをオレンジに染め始めた。
この金木犀の散り花でママゴトをしたのはいつの頃だったろう。
子供の頃から見上げるほどの大木だった事は良く覚えている。

庭仕事、犬遊び、車整備、畑遊び。
柿の実をもぎ、ハスの枯葉を整理し、萩の枝を束ね、畑でオニギリを食べた。
ずっと外。
晴れた休日に、部屋の中で過ごす事は殆ど無い。

夕方、Mといつもの高台から夕陽を見た。
高空の飛行機雲。
菊とコスモス、その向こうに青みを増す月齢14の月。
街灯に巣を張るジョロウグモ。
-4等に光る西の金星。
こんな美しいものだけを見て生きてゆけたら。


晩飯はナスのかき揚げ、秋刀魚焼き、間引き菜の味噌汁。
母と食事をするようになって、自分の料理レパートリーの少なさに気付く。
酒の肴なら何でも作るけれど、食事のオカズは余り作った事が無かった。
こんな事なら基礎からキッチリ料理を習っておけばよかった。

といっても、父が逝ってそろそろ1ヵ月。
母にも新しい自分の生活を考え始めてもらう時期だろう。
1人で食事を作り、1人で食べることに段々と慣れてもらわなければ。
少しずつでいいんだ。
今の生活をいつまでも続けるわけには行かないんだから。

明日は仕事休み。
銀行やらナンやら、平日でなければ片付かない仕事。
それが終われば年内に数度、税理士を訪ねるまで父関係の作業は無し。
どうか税理士だけで済みます様に。
弁護士を訪ねるのは勘弁してくれ。

夜、久しぶりに日本酒をゆっくり呑んでいる。
やっぱり酒は美味いな。
この1ヵ月、劇的に減った酒量も段々と元に戻ってゆくだろう。






08/10/12 (日) にんじん

   

父が倒れる直前に種を蒔いたにんじんが、見事に育っている。
ずいぶんと間引きをしたけれど、それでも50本は有りそうだ。
父の好きだったにんじん。
さて、どうしたものか。
コレを機に、僕ににんじんを食べられる様になれということだろうか。

キャベツ、里芋、下仁田葱、大根を収穫。
先日と同じ、これらを並べると頭に浮かぶのは豚汁。
今から豚肉を買いに行こうか。


08/10/10 (金)  長芋焼き

起床時の外気温は15度。
夜明けは5時43分。
そしてこれは月末に6時台にまで遅くなり、日没も16時台となる。
夜が勢力を増してきた。

清秋。
門の脇の金木犀が惚れ惚れするほどの芳香を放っている。
祖母の時を生き抜いた大木だけれど、父の相続しだいでは切られる事になるだろう。
そんな光景を想像するだけで怒りで頭がクラクラする。

早い時間に出勤し、本館の他の連中が出て来るまでを快適に過ごす。
やがて8時を過ぎれば廊下が段々騒々しくなる。
人の出入りが始まり、内線が鳴り出し、訳の解からない問い合わせが次ぎ次ぎと舞い込む。
ああ、ウルサイウルサイ、お前らが居なかったら俺の仕事はもっとずっと捗るんじゃあ、と独り言を言いながらアッセイ作業。

昼は食べる度に必ず後悔するコンビニ弁当。
午後、幾つかの作業が上手く行かず頭を抱えているうちに夕方となる。



   

晩飯はNHK「きょうの料理」」でやっていた長芋焼き。
フライパンで焼いて醤油で味付けしただけ。
他に、鳥手羽焼き柚子コショウ風味、ガンモ煮、キノコの味噌汁。

心療内科で処方された薬が効くようで、母は夜眠れるようになったようだ。
食欲も口数も少しずつ増している。
明日は吉祥寺へ買い物へ行くという。
快復の兆しだと思いたい。



 


08/10/9 (木)  蕎麦の実


   

天気予報は外れて、穏やかな晴れの1日。
久しぶりに温泉で放心してきた。
片道2時間半、現地に5時間の計10時間。
Mと2人、明るい陽光の元で楽しい時間を過ごした。

やっぱり温泉は良いな。
露天風呂で呆け、座敷で蕎麦をすすり、そのまま昼寝をし、また湯に浮かぶんだ。
ササクレていた気持ちがフヤケてゆくような快感。
ああもう、このまま帰りたくない。

湯上りに散歩した斜面の耕作地で、蕎麦の実が揺れていた。
もうしばらくしたら新蕎麦を食べに来ようか。
きっと美味いぜ。

18時、帰宅。
カツオの刺身と、土産に買って来た山のキノコの味噌汁で母と夕飯。
今日の昼間は教会の重鎮が来てくれ、母の話し相手になってくれたようだ。
感謝。
先日処方された眠剤も効いているようで、少し元気が出てきたか。

明日はまたいつも通り。
早い時間に出勤し、早い時間に帰宅するだろう。
こんな生活が始まってもうすぐ1ヵ月。
すこし疲れてきたけれど、今日のような日が有ればまだ続けられる。




08/10/8 (水) 菜めし

寒露。
最高気温は20度。
小雨の水曜日。
秋が、急速に深まってゆく。

今日も早出。
部屋にこもって黙々と仕事。
数度のイレギュラーと緊急が6件。
その合間に新しく責任者になってしまった某委員会の指針作り。
数えてみたら今僕は4つの委員、2つの管理者、2つの研究会責任者を兼任しているんだ。
もう訳が解からなくなってきた。




   


職場のエライ人たちとの食事会が有ったのだけれど逃亡。
真っ直ぐ帰宅する。
犬と散歩、切れたガーデンライトの電球交換、食材の買出し。

今夜の晩飯は里芋のキヌカツギ、厚揚げ焼き、鯵塩焼き、大根の味噌汁、菜めし。
菜めしは庭先で作っている大根の間引き菜の葉をサッと熱湯に晒しご飯に混ぜ、塩で味をつけたもの。
母の好物で、とても美味。

今夜、もし原稿を書き上げる事が出来たら明日は仕事を休む。
天気は良くないようだけれど、体調が良ければ温泉へ行こう。
もう随分長い事行っていない気がする。
Mとあの温泉に浸かれば、きっと元気が出るだろう。

 


08/10/7 (火)  ゴボウを煮た

溜まった仕事のシワ寄せでアタフタしている。
早朝から職場へ行き、夕方帰宅し、母に食事を作り、夜に持ち帰った仕事を始める。
木曜日の休みを勝ち取るために、質の悪い短い睡眠時間以外の殆どを仕事に当てている気分だ。
僕のような1人部署は仕事の進め方に有る程度の融通は利くけれど、溜まった仕事も当然全て1人でこなさなければならない。

そんな中、昨日の夕方は職場から1時間ほど外出し、心療内科を受診して来た。
信頼できる精神科の主治医は、こんな時に誰よりも頼りになる。
30分ほど話すだけで、随分と楽になった気がする。

父が逝って3週間が過ぎた。
生活の全てが変わってしまったけれど、段々とそれにも慣れつつある。
でも、父の居ない生活に慣れる事にはまだまだ、寂しさを感じる。
そんな色々な思いもまたいつか、季節に流され過去の物になっていくのだろうか。



   

午前はルーチンワーク。
昼に緑のたぬき。
午後は5連続の会議。

18時半帰宅。
母には先日収穫してきたゴボウと牛肉を煮た。
他に、キャベツの浅漬け、ガンモ煮、もずく酢、ミョウガの味噌汁。
母との夕飯にも慣れてきたか。
親と共に食卓に座るなど、学生の頃以来だ。

この3週間、再生しようと必死で戦ってきた。
なにと戦っているのかは解からないけれど。
まだ先は見えないけれど。

 


08/10/5 (日)

夕方から雨。
胃痛に苦しみ、数度の嘔吐。

月曜から、仕事が忙しくなる。
でも、予約の入っていない木曜日は休める可能性あり。
それを目標に、目前の仕事から片付けていこう。

 


08/10/4 (土) 豚汁

   

素晴らしい畑日和。
里芋、下仁田葱、大根、そしてゴボウ。
このゴボウは親指ほどの太さになったら抜き取って、サラダで食べる品種。
収穫が1ヵ月遅れたら、こんなオバケみたいになっちゃった。

それにしても畑仕事の楽しさは格別だ。
百合と菊の匂いに満ちた和室でボンヤリしている母を連れてくれば良かったと後悔。
ここの土の心地良さに触れたら、きっと明るく笑うだろう。

今日の収穫物を並べれば、晩飯は豚汁以外に考えられない。
夜、酒粕を入れた豚汁を母が美味そうに食べた。


08/10/3 (金)  分子量の計算

昨夜これを読み、ウイスキーで大酔っ払いして衝動的に書いた日記。
明け方アップしたけれど不謹慎かと消してしまった。
もう一度掲載してみる。



酔って、親父の骨壷を抱いてみた。
軽い。
そして、おそらく半分は壷本体の重さだろう。
火葬場で見た親父の骨は細く脆く軽かった。

人が死ぬとどこへ行くのかは知らない。
宗教的な話しは幾らでも有るし、それは残された者の慰めともなる。
それは人の魂の話し。
では、親父の肉体はどこへ行ったのか。
壷の中に入っている骨を残し、気体となって煙突から大気へと昇って行ったんだ。

痩せていた親父の体の水分量は恐らく33ℓ、33000g程だ。
H2Oの分子量は18。
18/molで割りアボガドロ数を掛ける。
33000/18×6.022×10の23乗。
大雑把にその分子量は11×10の26乗個?。

その分子達は雨になり水蒸気となり大気の流れに乗り、川を流れ海へ着き、地球中に拡散してゆく。
それは地球上の全水分量に比し、とても希薄な様でいて実はそうじゃない。
ざっと計算しても、水1mlの中には1000個もの親父由来の水分子が存在する事になるんだ。
数万年後、均等に拡散した親父の水分子は地球上どこの水にも、1mlあたり1000の分子となって存在している。

輪廻とかってやつとは違うけれど、こうして地球や宇宙の一部として存在し続けるのって素敵だ。
ずっと昔から繰り返されてきた分子の循環の中に全ての物はあるんだ。
やがて僕もその輪に入る。

週明けは雨の予報。
親父の分子の入った雨に濡れたい。



酔いが醒めて読むと、鬼気たる雰囲気。
でも、昨夜は本当にそう思った。

季節が進むのが早すぎる。
体も精神も深まる秋について行けない。
犬と散歩に出た時の気温は16度。
雲の多い薄暗い朝。

出勤時、車の脇の金木犀の大木が沢山の花をつけている事に気付く。
花開く前から漂っていたはずの香りに気付く事も無く、僕はここ数日何をやっていたんだろう。

明日の土曜日を休むため、早朝から仕事。
不調は相変わらず。
心内的な症状と共に、慢性的な胃痛と頭痛が酷い。
少しだけ、休みたい。

昼にざる蕎麦。
午後は原稿書き。



   

伸びた髪が不快で、仕事帰りにいつもの店へ寄る。
でも、あの椅子に長い時間座っている自信が無く逃げ帰る。

母との晩飯は作る気力なくコンビニのおでん。
でもワンコにはササミを茹でた。

明日、体調しだいでは畑へ行こう。
掘り損ねたゴボウも、もしかしたらまだ間に合うかもしれない。

 

 

 


08/10/1 (水) 不調

   

急速に体調を崩した。
動悸と冷や汗が止まらない。
太刀打ちできない不安に駆られ、焦燥感に苦しむ。
とても辛い。

辿り着いたいつもの心療内科は休診。
手持ちの薬は充分あるので、それでも良いのだけれど。
でもどうしても主治医の顔を見、話をしたかった。



早い時間に帰って、父の遺品整理。
父が使っていた和室へ入る。
床下収納を開けてみた。
そこに仕舞って有ったのは、兄と僕が小学生時代に書いていた絵日記帳。
アサガオの観察日記、読書感想文、合唱のテープ、家族で深大寺へ行った時の古いビデオ。

箪笥の上に置いてある、今年の正月に知り合いがくれた神社のお札。
そのお札と共に飾って有ったのは、僕の名刺だ。

今夜はこれ以上泣かせないでくれ。
もう疲れたよ。