2006/32006年03月30日


 


06/3/31  (金) ジャガイモ枯れる

   

早い時間に目が覚める。
うっすら明けていく朝をカーテンの向こうに感じながら、何となくネットを徘徊し時間を潰す。
こんな時はライブカメラが面白い。

7時。 さくらを庭に放し、僕は隅に作ってある畑を見て回る。
先日植えた紫アスパラの発芽。
上手く管理すれば、今後数年は美味しいアスパラを供給してくれるだろう。
キヌサヤは柔らかいツルを伸ばし初め、ジャガイモは濃い緑の芽を益々大きくしている。
さくらも興味深げに匂いを嗅いでいる。
休みの日の朝の、楽しい時間。

8時、家を出て夕方までMと某所に篭った。
ウトウトとしている時、すこし開けた窓から強い風の音を聞いた気がする。


暗くなる前に、埼玉に借りている畑へ行く。
で、しばし呆然となった。
今年から作付け量を増やした男爵の芽が全滅している。
前回はあんなに元気だったのに(26日、日記写真)、それが皆、黒くなり枯れているんだ。
遅霜だ。
ここ数日、冬型の気圧配置による寒波の影響で、朝はすっかり冷え込んでいた。
でも、まさか霜が降るとは。

地下の種芋は健在のはずだから、また次々と芽を出すだろう。
でも、丹精した畝の上に、可愛がっていた芽が黒く萎んだ様子を見た時のショックは大きかった。
人は自然に勝てない。

日曜は天気しだいで大根の播種予定。



夜、ジャガイモのショックと言う訳では無いのだけれど、行こうと思っていたジムをサボり自宅でグレる。
脱いだ服はそのまま放り出し、風呂にも入らず、返事の必要なmailを放置し、オークションで落とした出品者に連絡も取っていない。
ファンヒータの前でヌクヌクと、犬のさくらと酒を飲む。

冷蔵庫から出してきたホヤの塩辛と、甘エビ。
さくらには鶏のササミ。
酒は山廃を燗にした。
僕に似てアレルギー体質のさくらと2人、クシャミをしながら遅くまで遊んだ。

予報によると、日曜は雨。
満開になった桜も美しく散るだろう。
その前に、夜桜でも見に行こうかな。

そして3月が往く。






 

06/3/30 (木)  菜の花

   

花冷えの朝。
縦縞に、密に流れる等圧線。  
冬の最後の抵抗か、奈良の友人から雪の便り届く。

東京の最低気温は1度。
身が引き締まるような寒さ。
それでも、動き出した季節の流れは止まらない。
地上は、冬を耐えた生き物たちの気配で満ちている。

去年の秋に種を蒔いた菜の花が咲く。
その向こうには、戦前に祖母が植えた山椿の大木から落ちた花弁が折り重なる。
別に庭掃除をサボっているわけではない。
散った椿の花は、土の上で尚、鮮やかだ。
桜と椿は散ってこそ美しいと思っている。


忙しかった3月が終わろうとしている。
今月の僕は良く働いたな。
僕にしては良く働いた。

小さい職場ゆえの良い所と悪い所。
マイペースで働ける有り難さと、代わりの人員が居ない厳しさ。
今月は体調の悪い日が多く、それでも休む事はおろか、朝は2時間早出して昼食すら取れずに1日が終わる日も続いた。
花粉の影響か喘息の発作も続いたし、そのせいで不眠もあった。
でも、今月も乗り切ったなぁ。
4月は少し楽が出来るだろうか。
せめて昼に緑のたぬきを味わって食べたい。


職場でアタマに来ることがあって、ジムで発散する事だけを考えていた。
ヘトヘトになるまで走って、嫌なことは忘れようと思っていた。

夕方から天気の崩れた東京。
強い風、大粒の通り雨。 気温は一気に下がり、電線が風でヒュウと鳴く。
そんな中、自転車でジムへ向かう。
約5キロ、ずっと上り坂だ。

雨に濡れて、ヘトヘトで、惨めな気分で、手袋を忘れた手は寒さで真っ赤で。
それなのに、やっと辿り着いたジムは定休日。
自分が忘れていただけなのだけれど、力が抜けてへたり込む。
ダメな日は、何をやってもダメだ。
うな垂れて帰宅した。

でも、明日は仕事休み。
Mと1日を過ごすことが出来る。
帰宅して風呂に入り、燗酒を呑み下し、函館から届いた素晴らしい塩辛をつまみ、愛犬のさくらを膝に抱く。
気持ちが上向いてくるのが良く解る。

窓の外は強い風の音。  きっと冷え込んでいるんだろうな。
でも、今の僕は暖かい部屋で寛ぎ、足元にはイビキをかいて犬も眠っている。
酒も肴もあるし、静かだし、邪魔するものは何も無い。
こうして回復するからこそ、酷い日々にも耐えられるんだ。

明日は冬型の気圧配置も弱まり天気は回復する予報。
気温は低そうだけれど、穏やかな1日になるだろう。
週間予報では来週は暖かな日が続きそう。
それはそうだ、もう4月がやって来るのだから。

 

 

 

 

 


 

06/3/29 (水)  桜咲く

発達した低気圧の影響で冬型の気圧配置。
最低気温は8度。  昨夜半まで降っていた雨の匂いが大気に残っている。

ちょっとした春の嵐となった昨夜。  大粒の雨と強い風、遠くで光る稲妻。
でも、花散らしの雨とはならなかったようで、東京の桜はまさに今が満開だ。

梅の方が好きだとか、春を告げるなら沈丁花だとか言っていても、やはり満開の桜の花には魅かれる。
今朝はいつもより早くに家を出てすこし遠回り。 桜のトンネルを抜けて出勤だ。
 

   

 

ついでに川沿いの小道を通って職場へ向かう。
開けた川沿いに一層強く吹く西風。  
西へ向かって自転車を漕ぐ僕にはキツイ出勤ルートとなったけれど、ここは大好きな道だ。

レンギョウ、ミモザ、菜の花の黄。 
水仙、ユキヤナギ、ハクレンの白。
ボケ、ホトケノザ、照手桃の赤。
2本の柳の大木は水彩絵の具で描いたような薄緑の葉を出し始めた。
水際では、冬枯れたヨシの根元からも小さな芽が出てきている。

少し前までモノトーンな淡色に覆われていたこの道の、なんて華やぎだろう。
風に負けまいと自転車を立ち漕ぎしながら、全身で春を感じる。

桜はまだ数日はもつだろう。
もし都合が付いたら、週末の夜Mと夜桜を見に行きたいな。
昼の桜も良いけれど、夜の桜は尚更に良い。


 


 

06/3/26 (日)  男爵

   

2月19日に植えつけた男爵の発芽。
ちょうど芽が出る頃に遅霜があり心配したけれど、濃い緑の芽は順調に伸びてきている。
6月初旬に収穫かな。
新ジャガ食べたい人は、今のうちに挙手しておく事。


去年5月末に自宅マンションの2-3階間から落ち、両手骨折の大怪我をしたMの末っ子。
骨折は完治したけれど、頭部の強打に対して脳波の追跡検査をしていた。
今日はその3回目。

日曜日の僕の職場。  
以前、この職場に居たMは懐かしそうに人気の無い廊下を歩く。
僕の部屋が余りに散らかっているので呆れられてしまった。
特に積み上げてある20個の緑のたぬきには腰を抜かしたらしく、職場の昼食を食べるようにと繰り返し言われた。
職場の食事、美味しくないんだよな・・  食堂も居心地悪いし。

Mの息子、僕が相手だからかリラックスして検査を受ける。
1時間弱、色々な賦活をかけ、じっくりと調べる。
満足できる結果を得、とても安心した。

ついでにMの肝臓と腎臓、貧血も調べて職場を出る。
Mの末っ子、この職場の託児所に居た事をうっすらと覚えているようで、怖い保育の先生が居たなんて話していた。

遅い昼食に、子供のリクエストでDenny's。
もう小学校卒業だと言うのに学年で1番小さいMの末っ子。  
何歳に見られたのかお子様メニューやら、ヨダレかけ式の紙エプロンを持ってこられ憤慨している。
彼は背が小さい事を気にしているのだ。
でも、その様子が可笑しくて笑い転げる。
ケラケラといつまでも笑っていた。




函館から珍味の詰め合わせが届く。
僕の好きな物ばかり。
その中の1つ、イカの沖漬けを肴に、まだ明るいうちから新しい酒を口開け。
酸味の利いた香り高い酒と、濃厚なイカの沖漬けがとても良くあう。

夜、沈丁花の香りが一段と濃い。
大きく深呼吸をしたくなるような優しい香り。

 

 

 

 


 

06/3/25 (土)  インディーズ・ブームのこと

   

近所の飛行場にて。
冬のキリッとした夕暮れも良いけれど、春のおぼろに見える西の陽も良い。
ミモザの黄色い花が一層に鮮やかとなる。

今日も春らしい1日だった。
桜の蕾がまた膨らんでくる。



夜、ラジオを聴いていて懐かしい曲が掛かる。
僕と同年代で、「そっち系」が好きだった人なら皆知っている有頂天のケラが歌うアローンアゲインだ。
あの頃、80年代中頃だったかな、インディーズブームというのがあって、沢山のバンドが出ては消えていった。

ウィラード、ラフィンノーズ、ゼルダ、初期の筋肉少女帯、ミチロウのスターリン。 ガスタンクとか、ばちかぶり何て言うのもあった。
まだ小さな版だった宝島が愛読書で、吉祥寺のシルバーエレファントっていうライブハウスで・・
なんて切りが無いから止めておくけれど、そんなのに熱狂していた時代が僕にもあって、あの頃擦り切れるほど聞いていた曲の記憶が蘇る。
ちょうどレコードからCDへシフトする頃だったな。
もう20年も前だ。

あんなに集めたカセットテープはどこかへ行ってしまった。
まぁ、出てきたとしてもカセットデッキも無いけれど。
聞きたいな。 ツタヤになんかある筈も無いし、友達に聞いてももう持っていないだろう。
ふと、Yahooのオークションを見てみる。 iTunesのMusicStoreも見てみる。
うわぁ、けっこう有るもんだな。
iTunesで落とした有頂天を聞きながら、オークションでD-DAYに入札なんかしていると、今がいつの時代なんだか解らなくなって来る。
ハッと気付くと、殆ど徹夜という時間になっていた。

日曜は朝から畑、午後はMの末っ子のアタマの検査だ。

 

 

 

 


 

06/3/34 (金)  日常 普通の日記


風の強い朝。
運動量を増やそうと自転車5キロ+徒歩2.5キロの行程で出勤。
ジム靴を新しくしたせいで出来てしまった靴擦れが痛い。

途中の大きな霊園では、ソメイヨシノの蕾が重そうに膨らんでいる。
それより早いシダレ桜はもう8分咲き。
気のせいか、今年の桜はピンク色が濃い気がする。

出勤後、カフェインレスコーヒーと最近愛用している永谷園の「あさげ」で朝食。
この短い時間をゆっくり過ごしたくて始業30分前に出勤しているのに何本もの内線が入り、結局早い時間から仕事を始める。
これはいつもの事だけれど。

昼に薬剤師のSさんと近所のドラッグストアに買出し。
今日は僕の愛する緑のたぬきが一個88円なんだ。
20個ほどのカップ麺を持ってレジに並ぶ恥ずかしさも、緑のたぬきの美味さには叶わない。
Sさんも、お気に入りの「麺づくり 鶏だし塩」を20個購入。

2000円弱で1ヶ月以上分の昼食を手に入れ、上機嫌で早速そのうちの1つに湯を入れていると、
また内線で急ぎの仕事に呼ばれ、部屋に帰ったのは20分後。
汁の殆どを吸い尽くし、すっかり冷えてしまった緑のたぬきだけれど、これがまた美味いんだ。
SB「生しょうが」を添加して、全部平らげた。

午後、一瞬記憶を無くすほどに眠い時間。
フリスクを齧って精度管理。
何となくネットを徘徊し、医者が書いたNSAIDとセロトニン阻害剤とVitaminB6で二日酔いを予防すると言う話しを真面目に読んで見る。
ホントに利くかしら。


職場を出て、また朝と同じ行程で帰り、ジムへ入る。
イントラのオネーさんが、ウオーターボーイズに出ていた若手俳優が来てるとか言っていたけど、知らないっつーの。
っていうか、走ってる時に話し掛けないで欲しい。
「話し掛けないでオーラ」をもっと練習しなくては。
体重は、6週間で-6キロ。 これは計算どおり。


   


帰宅後、鯛の刺身と豆腐で酒を飲む。
この酒はおりがらみの微発泡で美味い。
Mと電話、さくらと散歩、文庫を読んでから空気清浄機に守られた部屋で眠った。



 


 

06/3/23 (木)

   

昨夜から続いた雨も早朝にあがる。
先日、チンゲンサイや水菜の種を蒔いた畑には良いお湿りになったろう。
暖かな朝、自転車で出勤。

何となく気だるい体を引きずって、それでも仕事を始めてしまえばあっと言う間に時間が過ぎていく。
今月は割合忙しい月なのだけれど、この分なら少しの余裕を残して終えられるだろう。
昼にセブンイレブンの素麺とおでん(大根、さんまツミレ)、おやつにガリガリ君青りんご味。


友達のweb日記を読んでいて、飛び上がるほどにビックリする。
ぬわんだってぇ!
吉祥寺周辺で学生時代を送っていた奴らなら皆知っている、文化財級のあの店が無くなるなんて。
僕にとって、初めて酒を飲み、初めて吐き、その後も月に一度は通っていた店。
最近こそあまり行かなくなってしまったけれど、あの店には数え切れないほどの思い出があるんだ。
その殆どは若い失敗の数々だけれど。

段々と変わっていく吉祥寺。
僕にとって、また一つ吉祥寺の魅力が消えて行く。


夜、いつものようにジムで走る。
深夜に帰宅。 
夜は鶏のササミと豆腐で酒を飲んだ。

少し熱っぽく、もしかしたら風邪かも知れない。

 



 

06/3/21 (火)   羽田にて

春分の日。 暖かい南風。
車のラジオから流れるニュースでは靖国の桜が咲いたと言っている。
午後、羽田空港へ向かう。

二年ぶりに会う女友達。
函館へ帰る前にちょっとだけ顔を見たいと言ってくれたので、こんな顔でよければと待ち合わせしたのだ。
相変わらずキレイだな。  彼女がこんなに美人だったのを忘れていた。
待ち合わせ場所でいつもと同じように笑っている。
でも、いつもと違うのはその隣に優しそうな男性が居た事だ。

空港5階の「槙」で食事。
出発まで2時間ほど、短い時間を惜しむように矢継ぎ早に話しが飛ぶ。
学生時代の話し(もう20年も前だ!)、共通の友達の消息、函館の生活、互いの近況、そして隣で笑っている彼の事。
結婚するのだと言う。

そっか。 良かったな。
そして、良い女を見つけたな、と彼を見る。  口には出さなかったけれど。

久しぶりに会って、やっぱり彼女と僕は仲が良く、話しが合うのだと実感した。
離れていて、連絡を頻繁に取り合わなくても、同じような事をやり、同じような事を思っている。
僕らは似ているのだ、と思う。
そんな人と一緒に遊ぶのは心地よかった。

今、彼女が結婚を決めたという人を目の前にして、少しだけ複雑な思いがする。
嫉妬と言っても良いのかもしれない。
彼女に対して男が女に感じる愛情は持っていないはずだけど、まるで仲の良い兄弟を取られたような、そんな気持ちになった。

 

   


搭乗口へ消えていく2人に手を振りながら、もう彼女と以前のように酒を飲む機会も無くなるのかもしれないと思った。
なんだか鼻の奥がツンとする。
やっぱり寂しい。

展望デッキでも手を振ったけれど見えたかな。
ちょうど夕陽が綺麗な、僕の一番好きな時間。
ボーイング777はあっという間に見えなくなった。

人を見送るばかりで、自分はいつまでも同じ場所を漂っている気がする。



夜、キュウリに海苔を巻いて、それを齧りながら酒を飲む。
足元にさくらが丸くなり熟睡している。
今夜もまた木星が昇ってきた。
明日は天気下り坂。

 



06/3/20 (月)  ベガ

   

徒歩10分ほどの場所に、素晴らしい飲み屋のある幸せ。
日本酒の揃いでは都心の有名店にも負けないだろう。

タケノコ刺身、フグ、カツオのたたき。
マスターの薦める素晴らしい酒、そして隣に座る幼馴染との会話。
奴とは幼稚園からの付き合いだ。


深夜、家へと歩く途中にある大きな駐車場では、春になって妖しさを増した猫たちが集会を開いている。
ここは空が広いから好きなんだ。

昨日の烈風に塵が吹き飛ばされたのか、今夜は星がとても綺麗。
南でクリーム色に優しく光る木星、天頂付近のオレンジはアークトゥルス、となりの上品なのはスピカだね。
ああ、空は素晴らしく春だなぁと東へ目を転じれば低く瞬く星がある。
琴座のベガ、真夏の星じゃないか。

嬉しくなってMを電話で起こし、夏だ夏だと騒ぐ。
迷惑な酔っ払いだ。




 


 

06/3/19 (日)

Spring storm  彼岸荒れの1日。
発達しすぎた低気圧の影響で、東京は大荒れ。
先日、3月としての強風記録を作ったというのにあっさりとそれを越え、観測史上最速の風だと言う。
電線がビュウと鳴き、小枝は折れ、椿の花が渦をまいて飛んで行く。

午後、Mを隣に乗せて車を走らせる。
埼玉の畑の間を走る二車線道路は、強風に煽られた畑の土が道に広がる。
昼間だと言うのに砂埃に視界を塞がれ、車は皆ヘッドライトを点けている。
なんだか不思議な光景だった。
買い物に寄ったいつものスーパーの屋上駐車場から見た都心方向は、黄色い霞に覆われていた。


   

サントリーのモルツが美味くなった。
ラベルが変わって思わず買ってみたけれど以前とは大違いだ。
香りも旨味も良いじゃないか。
これで私的ビールランキングは、1)多摩の恵み 2)ギネス 3)エビス 4)モルツだな。
こんど瓶や樽のも呑んで見よう。

 

 


 

06/3/18 (土)  女友達

   

昨日の茜雲。
東京からでも、条件が揃えば富士をとても綺麗に見ることが出来る。
風が強かったけれど、随分と長い間見ていた。


忙しくも思い通りに仕事が捗り上機嫌。
気温の上がった土曜日、あっという間に昼の時間が過ぎていく。
昼食は久しぶりに大勝軒で中華蕎麦。 おやつにセブンの杏仁豆腐まで食べてカロリーオーバーだってば。
午後はひたすら精度管理。
機器と格闘し、一日の仕事が終わる。


仲の良い女の友達が北海道からやって来る。
いつもなら羽田空港のあの場所で待ち合わせ、夜は飲み歩き学生時代の尽きない思い出話に興じるだろう。
そして互いに元気を貰い、また日常に帰っていくだろう。
でも、今回は違う。  付き合い始めてまだ半年の彼も一緒にやって来るんだ。

異性の友達とは不思議な存在だ。
一緒に旅行をし、何度同じ部屋で眠っただろう。
温泉で、海で、外国のモーテルで。
女性としても人としても魅力を感じ、それでも一線は決して越えない友達の関係。
僕にはそんな女友達が何人か居た。

そんな女友達たちもやがて結婚し、そこで初めて男友達との違いを思い知る。
友達であっても、結婚をし新しい家庭に入った女性と気軽に連絡する事は躊躇われる。
たくさんの思い出を残して、やがて疎遠になっていくんだ。

そんな中、ただ1人残ってくれていた独身の女友達が北海道の彼女だ。
その彼女が、二泊の在京中の一晩を新宿高層ビルのあの店で僕と呑もうという。
もう呑めないってくらいまで久しぶりに2人で呑もうよ、と。
彼はホテルで待っていてくれるから。
嬉しいな、と思った。  本当に嬉しかった。
でも、会わないよ。
だって、今回一緒に来る彼はまだ付き合って半年だ。
僕らの付き合いを理解してくれるとは限らない。
今回は彼との関係を第一に考えた方が良い。

電話でそんな話しをしながら寂しくなる。
オマエが男なら良かったのに。
でも、沢山の苦労をしてきた彼女には、そろそろ幸せになってもらいたい。


夜、さくらも熟睡してしまった。
何となく、今夜は遅くまで飲んでいたい。
DVDラックをあさって適当な映画をデッキに入れる。
「ジョゼと虎と魚たち」
これを見ながら、眠くなるまで呑もうと思う。

窓の外は濃厚な雨の匂い。

 

 


06/3/16   (木)  風雨強し

発達した低気圧が日本海を進む。
その低気圧へ向かって南から湿った風が吹く。
そして上空には-27度の寒気。

東京は夕方から大粒の雨。
職場PCのデスクトップにしている列島上空のレーダー映像は、西から更に激しい雨が近づいていることを示している。
段々と風雨も強くなり、予報によるとこれから明日の朝にかけて大荒れの天気になるという。
20メートルの突風、伊豆諸島では8メートルもの大波。
雷、そして雹も予想される。

素晴らしいじゃないか。


   


22時。
こんな夜にジムへ来る人はそうは居ない。
ガラス張りの壁面越しに、大粒の雨が叩きつけるバス通りを見ながら暫く走る。
車のヘッドライトに照らされて光る雨粒がとても綺麗だ。

マシンルームには僕の他2人しか居ない。
僕が走る音と、スクワットする人の重いダンベルの音と、そしてもう1人はヘッドホンをつけてストレッチ中だ。
いつもは多弁なイントラのオニーチャンも今夜は暇そうだ。
僕に何かを話し掛けようとしている様子がありありと解るけれど、黙々と走る事だけを楽しみにしている僕が発する「話しかけないでオーラ」を
察知したのか、モップを持って床を拭いたりしている。
平和な時間。

ロッカールームも風呂もたった一人。
それをいい事に、広い浴槽で泳いだり、ロッカールームをfull珍で歩いたり。
たまにはこんなジムも良いな。

帰宅後、YEBISUの350ml.缶をあおり、最近凝っている池波正太郎流の焼き海苔で燗酒。
これから眠くなるまで読みかけの「黄泉かえり」を読む。

今夜は少しだけ窓を開けて眠ろう。
雨の音、そして風を感じながら眠る事は僕にとっての至福だ。
きっと良く眠れるだろう。

 


 

06/3/14 (火)  サンシュユ咲く

   

畑の種蒔きも本格化し、水菜やカブの芽も出始めたこの時期に寒が戻る。
ここ数日の朝の低温で、温かな土中から双葉を出した野菜たちに被害が出たかもしれない。
次の日曜日まで畑へ行く予定は無いのだけれど、すこし行くのが怖い。
路地で野菜を作る限り、その出来を左右するのは自然だ。

冷たい北西の風。
庭にサンシュユの黄色い花が咲く。


朝、M宅へ行きM、試験休み中のMの娘とお茶を飲む。
やがて娘は部活へ。
僕らも車でマンションを出る。

ずっと切りたかった髪を10分1000円の床屋でバッサリ切る。
その間にMは夕飯の買い物。 今夜はカレーを作るって言っていたな。
ABC MARTでHawkinsの革靴を、隣の店で帽子を買う。
その後、僕が最も愛するラーメン屋「たけちゃん」で煮干の濃厚なラーメンを慈しむように啜る。
いつ喰っても美味し。

午後、スペースシャトルで2度も宇宙へ行った毛利衛氏の講演を聞きに行く。
穏やかな語り口調。
どんな質問にも解りやすく噛み砕いて伝えようとする姿勢。
古代からのDNAを受け継いだ自分達の存在意義。
人と繋がる事の素晴らしさ。

その講演に僕は感銘を受け、大きな拍手を送った。
ふと左隣を見ると、まるで鯉のように大きな口をあけて熟睡するM。
鼻がピクピクと動いている。
一瞬で感動は吹き飛び、あいている口に指を突っ込んでやった。


陽が長くなった。
近所のスーパーの屋上駐車場は眺めが良く、気に入りの場所だ。
風を避けて車の中で、渦巻く真っ黒な雲を見る。
さっき、店の入り口に出ていた花屋で買った水仙の匂いが車内に漂っている。
この花はMと二つに分け、それぞれの家で香る事になる。



夜はジムで走る。
帰宅後、焼き海苔を肴に燗酒を飲んだ。





 


 

06/3/13 (月)  寺内貫太郎

東京に風花が舞う。
強い冬型が運んできた名残りの雪だ。
積もることなく、アスファルトに黒いしみを残しただけで消えてしまった。
今年の冬は厳しかったけれど、だからこそ往く季節をいっそうの思いで見送ろう。


忙しい一日だったけれど、珍しく思い通りに事が運ぶ。
気持ちよく仕事が出来た日。
朝はヨーグルト、昼に仕出し弁当(アジフライが何故かとても塩辛い)、その他大量のカフェインレスコーヒーとのど飴。

仕事の帰りにジムへ行く。
4日ぶりの鈍った体を苛め、サウナとマッサージで仕上げ。
サウナではひたすら、帰宅後に一気飲みするビールの事を考えていた。

帰宅後、何となくテレビを点けると懐かしいテーマが流れる。
えぇ、久世光彦さん追悼で「寺内貫太郎一家」傑作選だって。
テレビの前にしゃがみこみ、食入る様に見る。
第一回放送の話しを僕は明確に覚えていた。
再放送で見た可能性も有るけれど、本放送は昭和49年だという。
僕は6歳か7歳。Mは10歳かな。

当時、まだ仲の良かった兄とこのドラマを毎週楽しみにしていた。
小林亜星がちゃぶ台ひっくり返すのが楽しみで、いつもワクワクしていたっけな。
あぁ、なんて懐かしいんだろう。
兄も、きっとコレを見て笑っているだろうな。
Mは見ただろうか。





   

友より銘酒が届く。
旨みの濃い酒が好きな事も有りあまり呑まない大吟醸だけれど、たまに呑むと驚くほど綺麗にスッと落ちていく。
米から作ったなんて想像も出来ない素晴らしい香り。
綺麗な酒を呑むと、肴は要らない。
ただ、この綺麗な酒を呑み下すだけで満足だ。

昼より夜が好きだな。
夜に酒を呑みながら1人でボンヤリしている。 こんな時間が大好きだ。
世間は皆、寝静まれ。  僕は1人で起きている。

静かな夜だ。
雨でも降ってくれば最高なのに。

 


 

06/3/12 (日)  椿散る

   

やっと暖かな春が来るというのに、木偏に春と書くこの花は、ポトリポトリと落ちて行く。
まだ生き物の気配の薄いこの時期に、落ちた花の周りだけパッと明るくなるようだ。

花びらが散るのでなく、花ごと落ちる椿の散様は縁起が悪いと嫌う事も有るそうだけれど、
僕は子供の頃からこの花、この散様が好きだった。

あの頃、この椿に登って花の蜜を吸う。
花粉の粉っぽさの中に柔らかい甘みがあって、友達と競って吸ったものだ。
大きな木だから、てっぺんまで登ると遠くまで見渡せて嬉しかった。
でも、この木に登る時期を間違ってはいけない。
初夏の頃になどウッカリ登れば、たちまちに毛虫の洗礼を受けるからだ。
小学校の何年の頃だったか、そんな毛虫攻撃を受けた僕は全身を腫らし熱を出し、翌日学校を休んでしまったほどだ。

今日。  暖かな南風が強く吹く。
鮮やかな花がまた一つと落ちていく様を見ていたら、綺麗なうちに散るのも悪くないと思った。



日曜日。
やりたいことは沢山あるのに、体がついていかない。
微熱とクシャミと頭痛と。

それでも畑へ立ちカブの種を蒔く。
ゴマ粒より小さいこの種が、ムッチリと肥った白いカブに成長するんだ。
あの、収穫したてのカブの美味さったら。  生のままでスライスして食べようか。 それともじっくり味を含ませて炊こうか。
先日蒔いた水菜はもう発芽している。  
その双葉の可愛い事。  新芽をサラダで食べる美味さ。 鍋にしたときのシャキシャキ感を思い出す。
天候が順調なら月末にはチンゲンサイも大根も、ゴボウだって蒔けるだろう。
種蒔きは楽しい。  たとえクシャミ100連発しながらでも。

髪を切りたくて、10分千円の床屋へ行くも混んでいるので逃げ帰り、さくらと散歩。
僕の黒柴さくらもどうやらアレルギー持ちのようで、盛んにクシャミをしている。
飼い主と似たのだろうか。
このさくら、今まで飼ったどの犬よりも人懐っこく、僕の友達など遊びに来ると自分から寄って行き膝に乗る。
他人には恐ろしいほどの剣幕で吼えるのに、知り合いにはヘナヘナになって甘えるんだ。
散歩中、大好きな近所のおじさんに会った時には嬉しさのあまりオシッコをチビっていた。
初めて飼った雌犬なのだけれど、やはり性格が優しい気がする。

本屋、ビデオ屋、園芸屋。
渋滞に巻き込まれないようにバイクで回る。
それにしても花粉が濃厚だ。
マスクなんかしてもコレでは効果も薄いだろう。


夕飯には鯛の刺身を買ってきて握り寿司を作った。
酒は広島の宝剣。
夜は読みかけの本「神はサイコロを振らない」を遅くまで読む。

明日は冬型の気圧配置。
強い寒気の影響のため寒くなりそうで、最高気温は今日より10度低いという。
三寒四温にしても、これは少し乱高下しすぎじゃないのかな。




 

 

 


 

06/3/11 (土)

出勤直後でまだ着替えてもおらず、コーヒーを飲みながらYahooでニュースなど見ている。
そんな時に緊急で呼ばれ走り回る。
終わってみればジットリと汗をかいていた。

ややペースの乱れた午前中は、それでも成果あり。
1つ難しい仕事もこなした。

昼に、ふと我に帰ると職場から徒歩圏内のラーメン屋でネギ味噌シャーシュー麺なんかを啜っていた。
濃いトンコツ味噌味でネギの刺激もあり無性に食べたくなる時がある。
体重落し中の人間に許される食事ではないな。

午後はいつもどおり。
20度まで気温の上がった職場周辺では、風に黄色い花粉の色がついている様にさえ見える。
諦めて、今日から薬を飲むことにした。

仕事帰りにツタヤを物色。
懐かしの日本映画コーナーがあって、思わず「波の数だけ抱きしめて」「時をかける少女」の2本を借りてみる。
地酒屋のおにーちゃんと世間話、今度呑みに行く約束をし帰宅。


   

 

夕飯はササミ刺身、焼き鯖、ブロッコリーとアスパラ、エノキの温野菜サラダ。
玉葱をスライスし水にさらしてから鰹節と醤油をかけたもの。
酒は澤の井を2合。

水曜を最後にジムへ行っていない。 
ナイト会員のため土日は行けない事とジムの定休と僕の都合が重なったためだ。
たった数日動いていないだけで、体の中に毒素が溜まっている気がする。

明日の日曜はカブの種を蒔きたいな。
天気予報は雨のマークだけれどどうだろう。
少し位の雨なら、タオルを頭に巻いて畑に立つのだけれど。

夜は遅くまで本を読んだ。

 


 

06/3/9 (木)  花粉症酷し

やや風強く、雲が多い。  最高気温は12度。  
昨日より大分低い気温に花粉症状の減少を期待したけれど、むしろ今日のほうがクシャミ止まらず。
ここ数年で最も強く出ている症状に、花粉量と症状は相関しない事を確信する。

午前の早い時間からMと某所に篭るも、クシャミ鼻水頭痛咽頭痛・・
頭がボケッとして怠惰な時間を過ごす。
室内に居てこの有様。
以前は何らかの薬を使っていたのだけれど、効果より眠気が強く出てしまうため去年からは花粉対策の
薬は使っていない。
でも、今年は何らかの薬が必要かもしれない。
今からではもう遅いかもしれないけれど。

午後遅く、立川へ行き新しい空気清浄機を物色する。
数年前に比べ、アレルギー物質の除去能力は飛躍的に高いとのセールストークを真に受け1台購入。
といっても、貯まったポイントを使ったので現金の支払いは無し。
これで、少なくとも自宅に居る間は楽になると良いのだけれど。



   

昼間飽食したので夕飯は無しにしようかと思うも、冷蔵庫に買い置きの鯛の刺身を思い出し、それで酒を飲む。
ジムは休んだため、久しぶりに柴犬のさくらとゆっくり遊ぶ。

開梱した清浄機を設置し、さくら注目のもと試運転する。
宣伝文句どおり音は静か。  自動運転にすると、センサーが匂いに反応し風量が変わる。
珍しモノ好きのさくらが近寄って鼻をクンクンとさせる。  と、センサーが働いてファンが作動するじゃないか。
空気清浄機が、さくらを臭いと判断したようだ。
明日は風呂へ入れてやろう。

これで寝室には加湿器、除湿機、新旧2台の空気清浄機が並んだ。
我ながらやりすぎかなとは思う。
部屋だけクリーンルームのようにしたって、通勤は自転車なのに。

発達した低気圧が抜けるため、明日は雨の予報。
春らしく天気が安定しない。
それでも、雨に濡れた土の匂いがたまらなく嬉しい季節だ。

 

 


 

06/3/8 (水)

晴れ。
東京の最高気温19度。
風、強し。

今年は花粉が少ないんじゃ無かったっけ?
そんな事を言ったのは誰?
過去最悪級の花粉症状を経験した今日。
鼻水と涙と頭痛とくしゃみ。そして思考の停止。
殆ど仕事にならず。

そんなヘロヘロの状況で、よせば良いのにジムへ行く。
今日でジム復活後ちょうど1ヵ月。
入るカロリーと出るカロリーを計算して、週に1Kg減ると計算したのだけれど、まさに計算どおり。
順調に減っていき、今日で4キロ減。
このペースを暫く続け、また以前のような体力をモノにしたい。
何度か出た、あのハーフマラソンのレースでまた走る事が出来ればと思っている。



自宅PCにも職場PCにも、毎日数10のスパムが届く。
この大量のスパムの中に埋もれるようにして、大切なメールが届く。
次々に削除するスパムの中に、時として必要なメールが混じってしまう。
スパム対策ソフトも試してみたけれど、必要なメールまで勝手に削除されたりしてうまくいかない。

頂いたメールには必ずお返事しています。
返信の無い時は大量のスパムに混じってしまった可能性もあるので、再送していただくと有り難いです。





   

今夜の酒。
肴は大根おろしと鳥ササミ。

空気清浄機フル稼働の部屋だけれど、花粉症状は治まらず。
最近の花粉対応清浄機はかなり良いらしい。
ビックカメラのポイントが数万円分溜まっているから買ってみようかな。
深夜、喘息の発作を起こすことを避けるためには出来るだけの事をしたい。




06/3/7 (火)  イライラする話

昨夜遅く、Mと電話で話していた。
Mには3人の子が居て、下の2人の子がこの春から塾へ行きたいと言っているというのだ。
良い事じゃないかと思った。
友達に誘われたのが切っ掛けだとしても、自分から塾へ行きたいというのなら行かせてあげれば良いじゃないか。
Mも勿論そのつもりのようで、近々体験入所へ参加させるという。

でも、引っかかったのはその後だ。
Mの元ダンナは全く養育費を出さない。  
娘が私立高校へ入った時も、真ん中の子が中学入学した時も、下の子が入院した時も、ただの一円も出さない。
下の子2人が新たに塾へ行くとなると、毎月4万円が掛かるという。
今でさえ、収入=支出という生活で、その費用をどこから出すのか。

元ダンナからお金を貰いたくない気持ちは良く解る。
でも、限度を越えているのではないのか。
2人の間に出来た3人の子を、なぜ1人で育てているのか。
長男の親権は元ダンナが取った。
親権は貰う、お前が育てろ。  そんな理不尽な言い草をなぜ受け入れるのか。

義務を果たさず権利だけ主張する、まるで小児のような元ダンナ。
自分の気が向いたときだけ子供達を迎えに来、ゲームセンターで遊んで帰ってくる。
子供をペットと勘違いしているのではないのか。
下の子たちはそれを楽しんでいるようだけれど。

離婚してから、2度の引越しをし、車を2台バイクを1台買い、アホのような改造を加えている男の経済状態を
心配している訳では無いだろうが、この先どんどんと増えていくだろう学費や養育費を本当に奴から取らないつもりなのか。
もともとの離婚の原因は向こうに有るというのに。

独身の僕は、傍から見れば気楽な身分に見えるかもしれない。
でも、そんなんじゃない。  
毎月の必要経費に生活だって楽じゃないし、実家の維持や色々な事情で余裕があるわけじゃない。
そんな中からMに毎月渡しているお金を今以上に増額する必要があるのでは無いか。
でも、いったい何時まで支えられるか解らない。
Mの子供達に不自由な思いをさせたくないけれど、フラフラと遊んでいる元ダンナを見るとイライラとする。

そんな事を考えると、Mとの未来を楽観できなくなる。
信じたいけれど、本当に望んだ未来が来るのだろうか。
娘と食事をしていたときはあれほど楽しかったのに、直視したくない現実を思い出すと暗い気持ちになってくる。




 

 


 

06/3/6 (月)  座敷で気持ちの良い酒を呑む

早朝に出勤し、午前中のみ仕事。
山のような資料をまとめ、明日の会議用のレポートを作る。
もうアホのように会議の多い職場なのだけれど、毎月第一火曜日は4つの会議がまるで永遠に続くかのように控えている。
それはもう、長い一日になるんだ。

昼、残った仕事を放り投げ、そそくさと職場を後にする。
渋滞を縫ってバイクで30分。 吉祥寺の消化器クリニックだ。
懸案だった胃痛。  1月に内視鏡検査を受け、逆流性食道炎と診断されてから2ヶ月。
薬が効いたのか、ほぼ胃痛を感じることもなく過ごしている。
的確な診断と投薬。 やはり専門医は頼りになる。
今後、徐々に薬を減らしていく方向となる。  毎日飲んでいた薬を2日に1度、3日に1度と減らしていこうとのこと。
そして1年後に再検だ。



吉祥寺から急いで帰る。
午後はMとその娘の3人で食事へ行くことになっているからだ。
Mの娘はもうすぐ17歳。 そのお祝いを兼ねて彼女の好きな和食をご馳走する事になっているんだ。

   


予約した部屋は個室で、障子越しに廻る水車が見える。
白梅はちょうど見ごろで、窓を開けるとかすかに良い香りが漂ってくる。
春一番の吹いた今日、陽射しが暖かい。


食べたもの。
胡麻豆腐(絶品) 蛤のゼリー寄せ、 旬の天麩羅。
のびるの酢味噌和え(子供の頃よくのびる取りに行ったな) 、鯛の桜寿司(桜の花と葉の塩漬けで巻いたもの)、湯葉と百合根の蒸し物、揚げ田楽(大好物)。
湯葉と豆腐の豆乳鍋(カツオの餡をかけて食べる)、もずく酢、タケノコご飯、白玉ぜんざい。

Mの娘の旺盛な食欲を見ながら、青竹に入れられた日本酒(浦霞)を呑む。
今日はMの運転だし、気分がいいし、昼間から呑むキンと冷えた酒がとても美味しい。

Mの娘には人を穏やかな気持ちにさせる不思議な力があって、彼女の話す色々な事に何度も噴出しそうになる。
僕もMも珍しく、とても笑った。
この子に今までどれだけ助けられてきただろう。
もしもこの子が気難しい子だったら、きっと僕らは一緒に居られなかっただろう。
Mと2人だけの関係などありえない状況で始まった付き合いだから尚の事、この子の優しい性格が身に沁みる。

Mの運転する帰りの車では、すこしウトウトとした。


土、日、そして今日と飽食してしまった報いを自分に与えるため、夜はジム。
たっぷりと自分の体を苛めて汗をかく。
数年ぶりにジム通いを初めてそろそろ1ヵ月。
以前にはまだ遠く及ばないものの、だんだんと動けるようになってきた。
そして流れる汗を気持ちよく思えるようになってきた。
このまま行けば、以前の気力まで取り戻せそうな気持ちになってくる。

帰宅後、焼き海苔とわさび漬けで酒を一合。
明日はまた早くから出勤の予定。
長い会議は楽しかった今日の事を思い出しながら乗り切ろう。

 

 


 

06/3/5 (日)  畑に春

朝、ベッドの中で目が覚める。
遮光カーテンをひいた室内は真っ暗で窓も閉まっているのに、外の良い天気を体で感じる。
カーテンを開けて、思わず笑ってしまう。
畑が呼んでいるような、穏やかに晴れた日曜日。

    


地元の畑、埼玉の畑。 二箇所を回り黒く温かい土に触れる。
埼玉の畑は春大根とカブの播種に備え畝を盛り、地元の畑には水菜の種を蒔く。
それにしてもこの時期の畑の素晴らしい事。
いつも季節を真っ先に感じさせてくれる畑だけれど、待ちわびた春を感じる今頃が特に好きなんだ。

収穫残しのチンゲンサイに黄色い菜花が咲き、どこかからかミツバチが通ってくる。
畦には春の野草、ホトケノザ(仏の座)が薄紫の花をつける。
頭にタオルを巻き、長靴と畑用作業着の僕は、汚れも気にせず土の上にデンと座り、そんな光景を眺める。
暖かい日差し、薫る風。
なんて気持ちがいいんだろう。
何だか優しい気持ちになってくる。

季節をとても身近に感じる。  これが畑趣味の素晴らしさだ。
どんな時代になっても、露地栽培をする限り季節に敏感でなくてはならない。
手元にある沢山の野菜種の袋。
そこには種のまき時として、春まきチンゲンサイ:桜の咲く頃に、カブ:沈丁花の咲く頃に、ゴボウ:柿の葉が芽吹く頃に、と書かれている。
毎年違う季節の往来を、身近なものから感じ取ること。
それは簡単なようでいて、日常に忙殺される我々には忘れがちなことだ。


長い時間を畑で過ごしてから帰宅。
池の濾過機の掃除、葡萄の施肥、鉢植えキンカンを地植えにし、南側の壁際に芽を出したフキノトウを摘む。
洗車、給油、髪を切りたかったが床屋が混んでいたので止めていつもの地酒屋さんで澤の井の新酒を一本。
そんな事をしているうちにあっという間に日曜が往く。
夕飯にはキンキの煮付けを作った。

明日は職場を昼に出て消化器科クリニック受診。
その後、Mの娘と和食を食べに行く予定。






 


 

06/3/3 (金)  沈丁花

   

先日、庭に植えた沈丁花。

以前住んでいた家にあった大きな沈丁花を懐かしんで植えてみた。
祖母が植えた木で、池の脇で毎年春のこの時期に素晴らしい香りを漂わせてくれていた。
あの家を壊すとき、重機に潰されて枯れた木は戻らないけれど、
せめて大好きな香りで春を知らせてくれるようにと願って小さな苗を植えてみる。

もう少しすれば、この小さな木にも数輪の花がつく。
あと一息だ。



クリニック受診のため定時で職場を出、バイクを走らせる。
冷たい風。  指先が痛いほどに冷たい。

18時半、いつもの診察室でいつもの医師と向かい合う。
元気に暮らしているけれどもっと元気に、 3年前のように普通に暮らしたいのだと駄々をこね主治医を困らせる。
満員電車や飛行機に乗れるようになりたいんだ。
そしてまた以前のように色々な所へ旅行したい。

そんなことは自分の問題だ。
時間をかけて積み重ねていくしかない。
それは解っているのだけれど、いつまでこの不安神経症の病名を背負っていけば良いのか。
考えないようにしているけれど、でも溜息が出る。

投薬は無し。


クリニックからジムへ。
何となく自分が嫌いになってトレッドミルで徹底的に体を苛める。
周囲に迷惑なほどの汗を飛び散らせ、1時間20分後に、もう動けないと音をあげマシンルームを逃げ出す。
サウナ、水風呂、普通の風呂。
体重を量ると昨日より150グラム重くなっている。
ガッカリしてジムを出た。




夜、ビールを飲んでいると北海道の友達から連絡が来る。
古い女友達で、幾度となく修羅場のようなものを一緒に抜けてきた仲だ。
今は仕事に忙殺されている彼女だけれど、彼が出来たのだという。
その彼をつれて今月後半に東京へ遊びに来るという。 
その時、僕に彼を紹介したいと。

えぇっと思う。
あいつに彼が出来た事は嬉しい事のはずなのに。
どんな男なんだ。
あいつの歴代の彼は皆知っているけれど、なんだか今回はいつもと違う気がする。
あいつは結婚を考えている気がする。
うまく言えないけれど、僕の古くからの友達を盗られたような寂しさを感じた。
あいつが東京を離れて北海道へ行ってしまってから会う機会も減ってしまったけれど、とても気の合う異性の友達であり続けてきた。
その彼女にパートナーが出来たんだ。 もっと喜んでやらなければいけないのに。
僕は嫉妬しているのだろうか。
心がザワザワとする。

夕方少しだけ降った霧のような雨はあがっている。
明日は晴れの予報。
早くに起きて仕事に行く予定。

 

 

 


 

06/3/2 (木)  ざる蕎麦美味し

何かを食べて美味しいと、同じ物を食べ続ける習性が有る。
昨日の温泉で食べたざる蕎麦が美味かったので、今日の昼はセブンイレブンのざる蕎麦。
セブンイレブンの蕎麦をナメてはいけない。
コレが結構美味いんだ。
おでんの大根とざる蕎麦。
食べ終わったざる蕎麦の汁をおでんに入れて飲むと、ビンボ臭くて更によし。

長い午後、ずっとデスクワーク。
液晶になって随分と良くなったものの、長時間PCのモニタを見続けると、とても目が疲れる。
それはメガネの度が合わなくなっているせいも有るかもしれない。
肩こりや頭痛もメガネのせいかもしれない。
そろそろ作り変えたいけれど、乱視のメガネで良いレンズを奮発すると10万とかになってしまうからなぁ。
必須のものだけれど、イタイ出費だ。

仕事を終え、暗くなった外へ出てみると予報外れの雨。
傘を持ってきていなく、コンビニでビニール傘でも買おうかと思うも、なんと財布に全くお金が入っていないじゃないか。
昼食を買いに行ったときには小銭入れしか持って出なかったから気付かなかった。
毎月渡しているお金を、昨日Mに渡したのを忘れていたんだ。
郵便局まで行けば下ろせるのだけれど、面倒になって雨に濡れながら自転車を漕いだ。

ジムに2時間ほど。
有酸素、筋トレ、お風呂。

帰宅途中に、確かに沈丁花の香りをかいだ。
あのどこか懐かしい、嬉しくなるような独特の香り。

   

夕飯の代わりに、上等のシラスを買ってあったのでレモンを絞って少しつまむ。
酒は南部美人の濃厚なやつを一合呑んだ。

明日は桃の節句。
桃の花はまだ咲かないけれど、雨の匂いは春そのもの。

 



 

06/3/1 (水)  温泉で放心する

      

雨。
Mといつもの温泉へ向かう。

自宅から片道80キロ。
そのうちの約半分は峠道。  
大粒の雨で、しばしばワイパーをハイにする。
平日午前中の峠道は他の車もあまり走っておらず、とても気分が良い。
遠くに見える山の頂に家が見える。
もしかしたら、誰かの別荘だろうか。
あんな家から遥かに夜景を見下ろしながら酒を飲んだら、どんな気分だろう。
きっと心地よく酔うことができるだろう。

雲が低いな。
少しだけ窓を開けると、圧倒的な雨の匂い。そして気温が低い。  
車の外気温計は4度だ。

峠を越えると路肩に雪が目立ち出す。
今日は雨だから良いけれど、晴れの日だったら路面の凍結もあるだろう。
注意!事故を起こすと病院に搬送されるまで2時間。 そんな物騒な看板を横目に、慎重に運転しよう。



冷たい雨に打たれながら入る露天風呂の気持ち良さは堪らない。
やはり露天は冬に限る。
いっそ雪になれば良いのに、なんて勝手な事を思いながら温かい湯に体を伸ばす。

露天の目隠しの向こうに見える名前も解らない山。
その山肌に沿って低い雲が流れ下ってくる。
岩風呂に寝そべりながら綺麗だな、なんて暫く見ていたら眠たくなってしまった。

座敷で美味い蕎麦をすすり、ちょっとビールを飲み、また湯に浸かる。
山椒の湯というのが有って、それがとても温まる。
きっとこの後数日間は、僕の左肘も機嫌よく動くだろう。

長く付き合って良いなと思うのは、頑張って会話しなくても良いということだ。
10数年をMと共に過ごして、2人で居ても場合によっては黙っている事の心地の良さを感じる。
温泉に来て、畳の上で放心し、窓越しに外の雨を見ながら黙っている。
そしてまた眠くなる。

帰りは高速を飛ばして帰った。



ジムで少し走る。
夜になり、更に強く降りだした雨の中帰宅。
夕飯には鳥のササミとフキ味噌で酒を飲んだ。

姪が高校受験に失敗したと聞く。
放任を通り越して育児放棄のような両親のもと、中学校を休みがちで受験できる高校は定時制しかないと言われていたらしい。
学校からの再三の呼び出しにも応じない両親と、それに呆れた担任と、自分の置かれている状況すら良く理解できない姪。
二次募集を受けるというが、書類上、アレだけ出席率の悪い子だ。 難しいのじゃないのか。
一体どうすれば良いだろう。

気がついたら、今日から3月じゃないか。
僕の頭の中では、まだ小学生くらいに思っていた姪。
いつの間にか義務教育を終えようとしている彼女に明るい春を迎えさせてやりたい。
でも、僕に出来る事は殆ど何もないだろう。





コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策で認証を入れます。
それから と4文字入力して頂ければコメント残せます。

コメント:

トラックバック