2007/22007年02月28日


 


 

07/2/27 (火)


   

少し風は冷たいけれど、陽はもうすっかり春のそれ。
毎年見に行く梅の名所に、今年もまたMと出掛ける。
僕は、桜より梅が好きだ。

しかし、まだほとんど咲いておらず。
暖冬で開花が早いと聞いていたので勇んで行ったのに肩透かしを喰らう。
やはり山間のこの場所は、都心に比べ随分と気温が低いんだ。
南側斜面で数本の白梅がほころんでいる程度で、山全体が梅花に埋まるあの光景には程遠かった。

しばらく歩き、梅の株元で咲く福寿草を見つける。
春先のこの時期に、いつ見ても嬉しくなる黄色の花。




午後、昼食をとろうと峠を越えて行った目当ての和食屋は改装休業中。
酒蔵で買おうと思っていた生酒は売り切れ。
電機屋へ行くも、Mの娘の合格祝いに約束したiPodは希望の色が欠品中。
花粉症の頭痛に悩まされ、なんとなく体調不良になって早めに帰宅した。

夜、気分を変えようと行ったジムでまた幼馴染に合う。
しばらく走りながら会話。
奴も相変わらず苦労しているようだ。

相変わらずの頭痛と、何となしの倦怠感で早め帰宅。
夜気に沈丁花の匂い。
霞雲の向こうに薄い月光。

夜は早くに寝た。

 

 


07/2/25 (日)  土おこし

早朝、寒さで目が覚めた。
例のごとく、窓を開けたままで眠ったからだ。

縁側で雑巾が絞ったままの形で凍っている。
外に出しっぱなしだった犬の水にも薄っすらと氷が張る。
もしかしたら、この冬一番の冷え込みだったろうか。
春を迎える前の寒波。
軟弱といわれた今年の冬の、最後の主張だろうか。



   

久しぶり、畑で1日を過ごす。
冬の間に硬く締まってしまった土を掘り、ほぐし、堆肥と肥料を漉き込み、畝を作る。

この、農耕民族が遥か昔から行ってきた行為に、自分の前世の記憶が蘇る気すらする。
それほどに、春を前にした土おこしは僕にとって楽しい作業だ。
それは重労働だ。
畝一本を作るだけで汗をかき、腰は痛く、手が荒れる。
それなのに何故これほどまでに楽しいんだろう。
収穫の喜びだけじゃない。
やはりこれは自分の遺伝子が奮い立ち、忘れてしまった記憶が興奮しているんじゃないのか。
春を予感させる土の匂いの中で、きっと何世代にもわたって僕はこうしてきた気がする。

DIY店へ買出しに行ったり、ラーメン屋で昼食をとったり、畑の大家さんである農家のおばあさんと話したり、車の中で本を読みながら休憩したり。
そんな事をしながら急がず慌てず、日曜日を畑で過ごした。
来週のジャガイモ植え付けのための準備をし、草をむしり、土の中から収穫残しの里芋を見つけて歓声をあげ、持ち込んだビールを流し込む。
MやMの子達とどんなに仲良くやっていても、幼馴染達からどんな魅力的な誘いがあっても、こんな時間だけは誰にも邪魔されたくは無い。
ここは僕だけの天国なのかもしれない。

今日の日没、17時33分。
薄明が終わる頃まで畑で過ごした。




夕飯は、往く冬を惜しんで牡蠣鍋。
もしかしたら、この冬最後になるかもしれない燗酒もつけた。

明日はまた早朝出勤。
今月最後のひと頑張り。

 


 

07/2/24 (土)

2月は日にちが少ない分、仕事の密度が高くなる。
その癖、しっかり休みは取るもので1日あたりの比重が高い。
たまにポカリと空く時間は有るものの、走り回っているうちに夜になる事も多い。

今日は少しだけ良かろうと、昼休みを30分だけ取り部屋に篭る。
カップワンタンを5分でやっつけ、読みかけの文庫に集中する。
先日から読み出した「北方版・水滸伝」の第5巻が間も無く終わるんだ。

たった30分でも、あっと言う間にその世界にはまる事が出来る。
そして、自分の好きだった英傑の最後でホロホロと泣いていたら我に帰った。
ヤバイ、あと数分で人に会わないといけないじゃないか。
急いで顔を洗い目薬をさした。

北方水滸伝、あと残り14巻。
まだまだ楽しめそうだ。





   

夜、疲れていたのだけれどジムに寄る。

確かに運動の効果ってある。
終わった後の爽快感もそうだけれど、気持ちを切り替えるのにこれほど効果の有るものは無い。
さっきまで、来週に持ち越した仕事の事ばかり考えていたのに、ジムを出るときには明日の畑行きの事へと代わっている。
だから仕事帰りにジムへ寄るのが好きなんだ。

23時の閉店まで居た。
干乾びて家へ帰り、冷えたエビスビールを飲んだ。
明日はジャガイモ植え付けの準備だ。

 

 

 


 

07/2/22 (木)

   

これも暖冬の影響なのか?
例年に無く沢山のフキノトウが芽を出してくる。
まったくフキノトウって奴ほど春先の味覚として嬉しいものは無い。
フキミソにしたり、汁に散らしたり。
独特の苦味と春の香りと。
今度の週末には天麩羅も作ってみようか。




9時、自宅から車で40分の距離にある清瀬駅前のクリニックを受診。
中々良くならない胃の痛みの相談だ。
もしや胃ではなく慢性膵炎なのではと疑っていたのだけれど、エコーで膵臓が良く描写できなかったため判断できず。
しかし専門医の意見では、この内視鏡所見ならすぐに治らないのは当然。
膵臓をキッチリ調べるのならMRIが必要であるが、今そこまでする必要が有るかは疑問。
胃はかなり荒れた状態であり、胃薬の調節で様子を見ては?との事。

僕としても当然MRIなどしたい訳は無く、今回はこれで納得する事にする。
ついでに肝・腎などもエコーで見てもらい、薬の調節をお願いしておしまい。
1時間近く調べてもらって2100円。
昨日の歯科は15分の治療で3400円。  まあ、比較するものでも無いけれど。

11時、M宅。
M宅に現在ある、以前は僕が使っていたVAIOにiTuneを入れてみる。
Mの娘の合格祝いにiPodを買ってあげる約束をしていたからだ。
このVAIO、僕の家にあったときにはそれなりに早いマシンだと思っていたのだけれど、いつの間にか随分と古びてしまった。
普段それなりに快適なPCを使っていると、やはりセレロン900、256RAMで無理やりXPを動かしているコイツの動きは今にもフリーズしそうに見える。
せめてメモリだけでも増設してみようか。
今度秋葉原へ行ったときにでも中古のメモリを物色してみよう。

昼はマック。
Mの娘が一緒だとどうしてもそういう物になってしまう。
子供ってホントにマックが好きだ。

午後は映画「守護神」を見たり、娘の眼鏡を新調したり。
大泉で夕飯の買い物をして、それぞれの家へ帰った。




嬉しくなる事が2つ。
1月末で契約の切れた畑の代わりに、M宅近くに新しい畑を借りることが出来た。
少なくとも3年間は自由に使う事が出来る。
そして、今年の夏は暑くなるとの長期予報が出た。
ジリジリと暑い夏の陽の下、新しい畑でトマトやナスが実る様が目に浮かぶようだ。

今年ももうすぐ畑の季節が始まる。
まずはジャガイモの植え付けからだ。





 


 

07/2/20 (火) 雨

   

曇りの予報は外れ、終日の雨。
それでも2月の雨降りとは思えぬ穏やかな日。
玄関脇の沈丁花の蕾が一層膨らんできた。

仕事は大きな山を越えた。
今月もこれで乗り切れるだろう。
昼に緑のたぬき、おやつにかっぱえびせんを食べた。

歯医者には間に合わず。
明日に予約を入れ直してもらう。

夜、スポーツジムで幼馴染に会う。
不眠症になるほど仕事で追い詰められ、いつもその事が頭から離れないと言う彼の話しをしばらく聞く。
その職場固有の問題でもなく、彼が専門とする職種全体が抱える病気のような物なので根が深い。
かといって、大学を出てからずっと打ち込んできた専門職を辞める訳にもいかないだろう。

そしてそれは僕も同じだ。
何とどう闘えば良いのか解らない。
この閉塞感に立ち向うのが良いのか、流されるのが良いのかすら解らない。
何も解らない。

ジムで泳いでいる時だけは忘れられると言う彼に僕は何も出来ないけれど、せめて愚痴くらいなら聞いてやろう。
今度呑みに行く約束をして別れた。




家に帰って遅くまで持ち帰った仕事。
胃の痛さに気が散って上手くまとまらず。

2006年の1月と今年の1月に上部消化管内視鏡検査をし、同じ病名、同じ薬をもらっている。
しかし、前回は良く効いたPPIが今回はあまり効かない。
そうなると、診断そのものに疑問を持ってしまう。
胃よりむしろ膵臓が悪いのではないかと思い、昨日自分で膵酵素の測定をして見たが異常無し。
しかし、慢性膵炎なら酵素系に異常が出ない事も多く、やはり画像診断が必要か。
木曜日は仕事休みなので、知り合いの居るクリニックでも受診しようかと思う。

深夜、雨がやむ。
照明も無いのに椿の木の下がボンヤリ明るいと思ったら、菜の花が咲いているんだ。
去年、種蒔きの時期が随分と遅れてしまい開花の前に寒さで枯れるかと思ったのだけれど、今年の暖冬に救われたんだ。

菜種油を搾るための畑だったのかな。
ずっと以前に見た、信じ難いほど広大な菜の花畑を思い出す。
あれは何処だったろう。
南房総だったか、西伊豆だったか。 
誰と見たのかすら今は思い出せない。
あの時の匂いは良く覚えているのに。




 

07/2/18 (日)  天使の梯子

朝まだ薄暗い時間、半分寝ぼけた意識の向こうに雨の音がする。
昨夜も眠る時、少しだけ窓を開けておいた。
雨の音を聞きたかったからだ。

そのまま二度寝したら夢を見た。
ずっと以前、南の島で雨の海を泳いだ時の夢だ。
時間が経つと残るのは楽しかった時の思い出だけ、と言うのは嘘だ。
夢に出てきたのは雨の中泳ぐ気持ちの良さよりも、忘れていたその日の夜の大喧嘩。
秋になって別れたその人は、今はもう2児の母。

何となく荒んだ気分でベッドを出てカーテンを開けると雨は大粒。
にび色の空。
42キロを走る勇気が無くて申し込めなかった東京マラソンの日。
雨の都心を走るのも気持ちが良いだろうな。




昼、予報通り雨が上がる。
待ちかねた犬と散歩に出ると、近所の路地はやはり雨が止むのを待っていた犬と飼い主が何人も歩いていた。
正直な犬族の好き嫌いは大きい。
いったいどこに基準が有るのか解らないけれど、同じ柴犬同士でも知らん振りしたり、数倍も大きさの違う犬と嬉しそうにじゃれあったり。
今日はうちの犬の親友、パグのブン君には会えず。

ふと見上げると、低気圧の通り過ぎた上空から天使の梯子が下りてきている。
足元を見ると犬もそれを見上げていた。

午後、数件の古本屋巡り。
欲しい本を探すためならどこまででも行く。
絶版になった本も自宅に居ながらAmazonで買うことが出来るけれど、古本屋巡りはそれとは違う楽しみもある。
数件の店を廻った後の車のシートには、目当ての本以外に6冊もの文庫が載っていた。




明日は二十四節季の雨水。
厳しい冬を耐えて雪が雨に変わり、農耕を始める時期とされている。
暖冬とはいえ、やはり春が近くなる事は嬉しいものだ。

埼玉に借りている畑を見に行き、今年の作付け計画を練る。
ジャガイモ、サツマイモ、里芋。
トマト、ナス、キュウリ。
大根、カブ、ブロッコリー。
考えるだけで楽しくなってくる。
昨夜からの雨を吸って、畑の土も春の匂いを漂わせている。
今年も沢山の時間をこの畑で過ごすだろう。


   

野火止用水沿いの江川亭で遅い昼食。
周囲にまだ色濃く残る緑地を散歩した後、米軍通信施設の敷地脇に車を停めた。
ポカポカとた陽の差し込む車内でシートを倒し、芝生で遊ぶ野良猫を見ていたらいつの間にか眠ってしまい
目が覚めた時にはもう、西の空は茜色。
気持ちの良い昼寝。
雲が、とても綺麗だ。


夕飯は、魚屋でおろしてもらったカワハギの刺身。
他にホタテ稚貝の酒蒸し、シメサバ。
やはり魚はスーパーではなく専門店に限る。
買って帰ったその3品はどれも最高に美味かった。
酒は澤の井・春の雪。
予約して買った搾りたての純米酒だ。

 


 

07/2/16 (金)  バブルの頃



冷たい風の日。
そして、その風の中に濃厚な杉花粉の気配。
それは喘息持ちの僕には要注意の季節が来たということだ。
この頃は大きな発作は無いものの、どうしても吸入の回数が増えるし夜中に咳き込んで目が覚める事も多い。
だから自宅は勿論、職場も車も空気清浄機をつけているんだ。




朝、Mを迎えにマンションまで行き、一緒に都内の行政書士事務所を訪ねる。

女を作って駆け落ち同然に夫が出て行った時、何一つとしてキッチリとした取り決めをしなかったシッペ返しが来たかもしれない。
3人の子供に対して一円の養育費すら入れない元夫から、マンションを守るための手続きが必要になった。
夫婦共同名義で買った部屋。
しかし、頭金もその後のローンも夫より収入の多いMが殆どを払い、離婚後はもちろんM1人で支えてきたマンションだ。
バブル末期に、今の相場から思えば信じがたい高値で買った物件。
その所有権を明確にするための作業が始まった。

今後暫くの間、行政書士、公証人、銀行、そしてもしかしたら弁護士を尋ねる必要もあるかもしれない。
溜息の出る作業。
砂漠に水をまくような、不毛な気持ちになる。




昼、見晴らしの良い場所に車を停めてマックのコーヒーを飲む。
そして、Mがマンションを買ったあの頃の事をポツリポツリと話す。
日本中が好景気に狂乱していたあの頃。
明るい未来を能天気に信じていたあの頃。

そういえば、そんな映画があったねと言う話しになって携帯で調べてみると、あったあった。
バブルへGO!」という映画が、今公開になっているんだ。
さっそく車を飛ばし、シネコンへ滑り込む。

映画の舞台は17年前、バブル崩壊前夜だ。
当時、僕は23歳。
まだ社会に出るまで2年の猶予が有り、気楽な学生生活を楽しんでいた頃だ。
そして、その頃の僕は寝る時間も惜しんで遊んでいた。

映画中に出てくる当時の東京。
バブルに浮かれたその光景に、学校が休みなのか劇場内に居た高校生のグループは声を出して笑っていたけれど、当時を知る僕には懐かしい事ばかりだ。
それはあの頃、あの年代だった人なら解る、儚いけれど夢のような日々。
朝まで飲み、タクシーチケットや万札を振ってタクシーを停め、学生の分際で分不相応なシティーホテルに出入りしていたあの頃。
それが当然なんだと妙な自信も持っていた恥ずかしい自分。

2時間後、懐かしさとちょっとの空しさを引き摺って劇場を出る。
きっと僕と同年代の人なら同じ気持ちになるだろうな。
それはまるで、祭りの後のような寂しさに似て、でもやっと普通の生活に戻った安心感と共にあの頃を懐かしく思い出す。
そう、まさに祭りの日々だったんだと思う。
そしてもしかしたらまだ、体の奥にあの頃の火照りのようなものを抱えているのかもしれない。

遅い昼食に大勝軒。
ユニクロで靴下を買い、いなげやで半額の豆腐を買い、ブックオフで文庫を数冊買った。
セルフのスタンドでガソリンを入れ、100均で洗濯バサミを買い、ドンキーでノーブランドの安いDVDメディアを手に入れる。

それらは全く普段の僕の生活そのものだけれど、それを映画に出てきた世界に生きる17年前の僕が見たら腰を抜かすだろうな。
そんな話をMとしながら、夕方の霞のかかった茜雲を見た。

 


 


   

晩酌の肴にはウドのぬたを作った。
他に湯豆腐、菜の花の辛し和え、焼き海苔。
酒は秘蔵の「第一酒造 立春朝搾り」
極めて芳醇な純米酒だ。

明日は天気下り坂。
九州から降り始めた雨が夜には東京を濡らす。
どうやら、冷たい雨になるようだ。

 


 

07/2/13 (火) 水滸伝

晴れ。
昨日に引き続き暖かい日。
自宅壁際のいつもの場所に、ふきのとうが顔を出す。
もう少し大きくなったら集めてフキミソを作ろうか。

マイペースで仕事が捗る気持ちの良い日。
たまにはこういう日もある。
昼食に緑のたぬき。
おやつにはかっぱえびせんを食べた。

夕方、歯のfixのため早めに職場を出た。
温厚な女医さんが丁寧に治療方針を紙に書き、いくつかの選択肢を示してくれる。
もう以前のように一方的な治療がまかり通る時代じゃ無くなっているんだな。

その後、スポーツジム。
何だか体調が良く、決めたメニュー以上のものを余裕でこなす。
今後、筋トレはほどほどに、その代わり走りこみを増やそうとインストラクターに相談。

夕飯には湯豆腐を作った。





高校卒業までの短い時間だけれど、Mの娘は今日から母親の勤務する病院で、看護助手のアルバイトをはじめた。
初めてのアルバイト、初めての病院勤務がどうだったかまだ本人からは聞いて居ない。

でも、Mから聞いたところによると右も左も解らない状況でそれなりに頑張っていたとの事。
病院と言う異質な職場での初めてのアルバイトはキツイかも知れないけれど、
これから看護師を目指すのならとても良い経験になるだろう。
それが婦長である母親の監督下で行えるのなら、これほど良い事は無いだろう。
看護の仕事は僕には出来ないと思うけれど、Mの娘はきっと良い看護婦になると信じている。

もう間も無く高校卒業か。
つい先日、高校受験したと思っていたのに、月日の流れのなんと速い事か。
子供の成長は早い。
恐ろしく早い。

そして4月からは看護学校へ進学。
これからの数年間のキツサは僕も良く知っている。
でも、その後に待っているだろう国家試験に受かったときの達成感も良く知っている。

自分の、あの頃を思い出す。
適当に勉強しておけば、有る程度の結果は出せるだろうと変に自信を持っていた。
そして勉強など殆どせずに吉祥寺という街で遊び呆け、手痛いしっぺ返しを喰らう事になる。
あの時の、ある種人生ナメ切っていた自分を思うと、Mの娘の素朴さには本当に助けられる思いがする。

彼女なりに色々とあるはずだけれど、それでも僕と普通に付き合ってくれる素直さは有難いと思う。
僕に勉強を見てくれと本を持ってくるあどけなさは奇跡にも思える。
あの頃の僕だったら、母親の彼氏なんかとは口もきかないのじゃないか。
まあ、あの子が3歳の時から知っている関係だから、ちょっと感覚が違うのかもしれないけれど。




   

十三巻の三国志を読み終えて、更に長編が読みたくなり「水滸伝」全十九巻を読み始めた。
どこへ行くにもこの本を持ち歩き、ちょっとした時間に開いてはあっと言う間にその世界に没頭する。
現在出版されているのは四巻まで。
そして、それは毎月一巻ずつ追加されていくんだ。
つまりあと15ヶ月の間、この世界にのめりこむことが出来るのか。

何て楽しいのだろう。
今夜もベッドの中であの世界にはまろう。
部屋の照明は落として、枕もとの灯りだけで本の世界に入っていこう。
あぁ、梁山泊に集う英傑達よ。

明日は日本海で低気圧が猛烈に発達するらしい。
風雨共に強く、夕方からは大荒れの天気になるかもしれない。
そしてガラス越しにそんな外界を見下ろしながらジムで走ることが今から楽しみだ。

 


 

07/2/11 (日)

風の強い日。
それでも金曜の雨が湿度をもたらし、埃は舞わない。
東京の最高気温は13度。
もうこのまま一気に春になってしまえ。

   

昨日見たヒヨドリの群れがまた来ないかと、椅子を持ち出し犬と一緒に椿の木を観察する。
あまり日当りの良い場所ではないのに、毎年沢山の花をつけてくれるこの木が大好きだ。
咲いて美しいし、散って尚美しい。

文庫を読みながら暫く見ていたけれど、今日はヒヨドリは来ず。
きっと他に居心地のいい木を見つけたんだろう。




犬に海や川を見せてやりたくて、車に乗せる練習をしていた。
以前飼っていた犬は車が最後まで好きになれなかったんだ。
ところが、いま飼っている子は数回乗せただけでもう車に慣れてしまった。
犬の個性も有るだろうし、車に乗れば楽しい事が有ると解った事も大きいんだろう。
窓から鼻先を出し、シッポを振りながら流れる景色を楽しんでいる様に見えるワンコは微笑ましい。

今日は多摩川。
10メートルもある長いリードに繋いで、河原を一緒に走る。
普段、そんなに広い地面を走ったことも無い犬は、興奮して毛を逆立てながら走り回っている。
そして水を怖がらないこの子にとって、川は楽しい場所だ。
鴨を追ってバシャバシャと水に入って行く姿を見ながら、僕はとても幸せな気分になる。
犬が幸せそうにしていると、僕も良い気分なんだ。

また晴れた休みの日、ここへ来よう。
犬と一緒に長い時間遊ぼう。
この子が居てくれて、本当に良かった。

遊び疲れて、夜。
今夜は自炊をサボってテイクアウトの寿司。
酒は純米の濁り酒。
やはり遊び疲れた犬が今、僕の足元でイビキをかいている。


 

 


 

07/2/10 (土)  山芋煮

昨夜から、東京に雨が降る。
カラカラに乾ききり埃にまみれた全ての物が、雨に濡れていく。
スポーツジムで汗を流した帰り道、久しぶりの雨に濡れるのが嬉しくてもっと降れと空を見る。
僕の畑で育つ空豆の苗達にも、きっと恵みの雨だろう。

朝、いつものように少し開けた窓からかすかな匂い。
夜のうちに降りやんだ雨が残して行った匂いだ。
嬉しくって深呼吸をする。
雨が降ったときのあの匂いの正体はいったい何なのだろう。
春の匂いにも似た、僕の大好きな匂い。

ふと見ると、庭の大きな椿の木にヒヨドリが群れて来ている。
花の中にくちばしを入れて、蜜を吸っているんだろう。
あの花の蜜は甘くて美味い。
子供の頃、いつもこの時期には椿の木に登り花の蜜を吸った僕はそれを良く知っている。
今度また、吸ってみようかな。
それは子供の頃と同じ味がするだろうか。



チョロQで出勤。
世間は3連休のようで、FMの交通情報では高速道路20キロの渋滞を伝えている。
そんな渋滞に揉まれて遊びに行くのなら、仕事をしていたほうがまだマシだ。
3連休は羨ましいけれど。

午前は雑用とルーチンと。
その合間に来週から忙しくなりそうな仕事の下準備。
昼に大勝軒。
もっちりした太麺を堪能する。

午後、この頃体調の悪い事務のIちゃんが来室。
可愛そうに、具合が悪くても一人になれない事務という部署で精神的に追い詰められていたらしい。
僕は職場では恵まれた環境で、自分だけが使える部屋を2つ持っている。
その一つを提供し、少し休んでもらう。
体の具合の悪さなら薬で治るけれど、産休明けで様々なストレスを溜めた状態に利く薬は無い。
紅茶を飲みながらしばらく愚痴を聞いた。

ジムに寄らず真っ直ぐ帰宅。
眩暈の発作を起こしたらしい母親を見舞う。
10分ほどで治ったようで、ただの眩暈なのか、TIAなのかは解らず。
暫くは要観察。

   

夕飯に、先日畑から掘ってきた山芋を食べた。
ご近所や親へ分けてもまだ大量にある芋の処理に窮してココで料理法を探る。
今まで山芋なんて、おろすかザクギリにするだけだったけれど、沢山の食べ方があるんだなあ。

簡単に出来そうな山芋煮を作ったのだけれど、これが美味い。
里芋より上品な味で、酒の肴にピッタリだ。
ただし1人で食べるには沢山作りすぎたか。
鍋一杯作ったので、暫くは山芋煮の日々。





Mの娘が来週から短期でアルバイトをはじめる。
看護師になるために進学する学校も決まり、卒業を待つだけの高校も休みで、良い経験になるからと僕が薦めたんだ。
初めてのバイトは、母親が婦長として勤務する病院。
母親の病棟で、看護助手のバイトをする事になったんだ。

3歳から知っているあの子が、母親と一緒に働く姿を是非見てみたい。
来るなと本人は言うが、こっそり覗きに行こうと思っている。
子供の頃から働く母親を見てきたあの子に、婦長として現場を仕切るMはどう映るんだろう。
いつまでも子供だと言っていた自分の娘が助手として働く姿に、Mは何を感じるんだろう。
子供の成長って素晴らしい。
たとえ血の繋がっていない子でも、僕まで何だか誇らしい気分だ。

 

 


 

07/2/7  (水)

目下のところ、満員電車と共に最も高いハードルの一つである歯科に昨日から通い出した。
随分と前から我慢していた歯痛がそろそろ限界だったからだ。
ソラナックスと深呼吸で気持ちを落ち着け、それでも冷や汗を流しながらあの椅子に座った。

30分後、今にもスキップをしそうな勢いで歯科を出る。
少しも具合悪くならずに、余裕で治療を我慢できたぞ。
歯科医師と冗談を言い合い、何ヶ月も予約の電話すら入れられなかった人間とは思えないほどの堂々とした立ち振る舞い。
まあ、これからの治療の過程で具合の悪くなる事も有るだろうけれど、今日の経験は僕に大きな自信をもたらしたな。
数年前に治療中、過呼吸を起こしたことなど忘れてしまいたい。

少しずつで良い、また以前のように生活できる体に戻りたい。
電車に乗って呑みに行きたい。
人混みの花火大会、新宿の雑踏、地下のライブハウス、何度も行った海外の友達の家。
そんな生活に、いつか戻りたい。


   

今夜は、昨夜鍋一杯作った大根と小イカ、昆布、お揚げの煮物。
湯豆腐、畑から抜いて来た下仁田葱焼き、自家製のタクワン。
酒はこの頃気に入っている純米吟醸を2合。

明日は晴れのち曇り。
天気は下り坂で夜には雨が降るかもしれない。

段々と、周期的に天気が移り変わる様になってくる。
それは、まだ遠い春が少しずつ近づいてくる兆しだ。
もう少し。
あと一月半もすれば東京に桜の花が咲く。

 

 


 

07/2/6 (火)

深夜、1人で酒を呑んでいると見たくなるflash。
WALKING TOUR  (要 flashplayer)

そうかもなあ。
そうなら良いなあ、と思う。

 


 

07/2/5 (月) タクワンを食べよう

9月の末に大根の種を蒔く。
種は一袋150円で買ったもの。

本葉が数枚出た頃に一度目の間引き。
間引きした葉は味噌汁の浮き身に。




二度目の間引きの頃にはもう、白い根が肥大しチビ大根になってる。
これは浅漬けで美味しいツマミとなる。




土寄せ、数度の施肥、そしてまた土寄せ。
種を蒔いてから3カ月もすれば、ムッチリと肥とり、畝から顔を出してくる。
この頃には毎週のように収穫し、好きな煮物を楽しめる。

そしてそれはとても美味い。
気のせいじゃない。  採れたての瑞々しい大根で作る煮物は本当に美味いんだ。




年が明けた頃、数本の大根を干そう。
掘り上げて泥を洗い流し、葉はつけたままで寒風にさらそう。
10日も干したら手で曲げてみよう。
「へ」の字から「U」の字位に曲がるほどになれば干しの過程は終了。




干しあがった大根は3.5キロ。
これに対し、4%(140g)の塩。
米糠は500g。 
ザラメ糖は好みの量で。 僕はあまり甘くないのが好きだから1/2カップ。
他には色付けのクチナシ、昆布、干した柿の皮や蜜柑の皮。




それらの材料と干し大根を交互に漬け込み、最後に捨てずに残しておいた葉で蓋をしてから重石をしよう。
水が上がってきたら重石は半分に。
あとは何もせず、1ヵ月ほど待つんだ。


 



で、今夜の酒の肴になったタクワン。
僕好みの、甘くなく歯ごたえの良いタクワン。
ザラメを増やせば勿論甘くなるし、干しを短くすれば柔らかくなる。

たかがタクワン。
だけど、そんなものがシミジミと美味い。
そろそろ畑の収穫も終わろうという時期、白菜や大根を漬け込むのは毎年恒例の楽しみだ。

一袋150円で買った種から収穫できた大根は約50本。
畑ってホントに面白い。





 

07/2/4 (日)  芋掘り

立春。
東京の最高気温は11度。
良く晴れたけれど、風の強い日曜日。

早朝、喉の渇きで目が覚める。
昨夜、幼馴染と遅くまで飲み歩いていたからだ。
あげく数件目に行き着いたラーメン屋で、餃子とビールの仕上げまでしてしまった。
胃薬を常用している人間の行動ではないな。

9時、PCを弄ったり、オークションを覗いたり、価格comで質問したり。
Vistaはまだ様子見だけれど、動画の編集をすると動作の遅くなる自宅PCのメモリを2Gに増設したく、その価格調査だ。
しかし、以前に比べてPCに対する熱は冷めてきたな。
CPUクロック競争にも興味は無くなったし、最新スペックを追いかける事もしなくなった。
それでもPCを快適に使いたいことには変わりなく、たまに改造の手を加えている。

10時、先日の海ほたる行きで潮混じりの風に吹かれ塩結晶を噴いている車を洗う。
2台の洗車に1時間。
洗車好きなのは免許を取って20年変わらない。

昼に吉野家でツユダク、卵、味噌汁。
カウンターの向かいで一人客の男性が、注文したカレーが辛いと文句を言っている。
そのうち、追加した味噌汁が熱いとまた文句。
一口食べる度に、辛い!、熱い!と大きな声が店内に響く。
それでも店内は動じず、みな黙々と丼をかき込んでいる。
吉野家的殺伐空気が実に面白い。
牛丼の復活で、かつての吉野家の雰囲気が帰ってきた気がする。

午後は山芋掘り。
上下ゴム合羽、頭にはタオルを巻いて畑に立つ。
この芋を掘るには1メートル以上の穴を掘る必要があり、それなりの覚悟と時間が必要なのだ。

3本掘るのに3時間。
そのうちに、何人もの観客が集まってくる。
良い天気の日曜日を家庭菜園で過そうとして出てきた人たちだ。
1m以上の芋を掘り上げた時には拍手が、途中でポッキリ折ってしまった時にも拍手が。
楽しい人たち。
人見知りの激しい僕だけれど、畑で会う人たちには最初から打ち解ける事が出来る。

   

今日の収穫。
鉛筆ほどの小芋を植えて2年でこれほど大きくなるのだから素晴らしい。
同じものがあと6本。
掘るのは大変だけれど、モノが大きいだけ収穫の喜びも大きい。




夜は縁起の良い酒を呑む。
搾りたての香味溢れる素晴らしい酒だ。
もちろん、昼間収穫した山芋料理が酒の肴だ。

明日は早朝から出勤。
忙しくなりそうな予感あり。


 


 

07/2/1 (木)  夕陽を見にいく

すこし霞が掛かった、穏やかな晴れの日。
東京の最高気温は14度。
陽だまりに居ると、2月とは思えないような気持ちの良い暖かさ。


午後遅い時間、Mと2人で都心に居た。
高層階から見る西の空は綺麗に晴れ、傾きはじめた太陽の光りが散乱し赤みを増している。
今日の日没は綺麗だろうな。
ビルに邪魔されず、どこか広い所から眺めたいじゃないか。

今からなら間に合うかもしれない。
夕陽を見に、「海ほたる」へ行くため、急いで車を走らせる。
海ほたるは、東京湾横断道路のパーキングエリアで、東京湾の真ん中に浮かぶ人工島。
天気の良い日には房総半島から東京湾の工業地帯、三浦岬、その向こうには富士山まで見渡す事が出来るんだ。

首都高新宿線、湾岸線、アクアラインへと乗り継ぎ、あっと言う間にコンクリートの島へ立つ。




そしてそこは、僕ら2人にとって因縁の場所だ。
開通直後のこの場所でMと2人、このまま付き合い続けるか、あるいは別れるかを話しあったんだ。

あの時のMは、当時の夫と泥沼のように関係を拗らせていた。
夫は外に女を作りながらもまだ別居はしておらず、その怒りの鉾先は当然僕に向いていた。
僕に危害が及ぶのではないかとMは心配し、実際脅迫まがいの事は日常的にされていたっけ。

季節は忘れてしまったけれど、凄い稲光が海面を照らす夜だったな。
あの時、無理と思うところまで付き合って見ようと決めなければ、今頃僕はどういう生活をしているだろう。
Mやその子供達はどうなったろう。
いったい何がどう作用して、僕とMとはいまだに一緒に居るんだろう。

あの時から10年。
ここへは一度も来て居なかった。





   

強い海風に煽られながら、三浦岬の向こうへ落ちてゆく陽を見た。
南風に少し荒れる海を、大きなコンテナ船がゆっくり滑っていく。
いつ見ても綺麗だな。

すっかり冷え切って、建物の中へ逃げ入る。
どうやらここの名物らしいブイヤベースで体を温めてから家へ帰った。
夕から夜への残照の綺麗な時間、首都高速で都心の中空を走るのはとても気分が良いんだ。