濃霧の五合目2019年06月14日

梅雨の晴れ間。
久しぶりに陽射しを浴びたくて、Mとドライブへ出かけた。
こんな日は屋根を開けたロドスタが最高に気持ちいい。
真夏のような雲と緑の濃い山。
湿度は低く爽快だ。


山梨・三国山近く。
ここは山中湖と富士山を見渡す眺望ポイントだ。
今日もカメラを持った人が何人もいて、皆一様に富士山を撮っている。
でも、ちょうどその方向にだけ帯状の雲。
冬場でもない限り、富士に来るといつもこんな風景となる。
湿った海風が雲を作り山体を隠してしまうんだ。

今日、その雲はちょうど富士の五合目辺りを漂っている。
五合目までなら簡単だ。
ちょっと行ってみようか。


急登で有名な富士アザミラインを10キロも登れば、富士須走口五合目。
途中から出てきた霧は、標高2000m近くでは徐行を必要とするほど濃くなった。
ロドスタの周囲に何台もの駐車車両が有るのに、はっきりとは見えない。
まるで雲の中にいるよう、と言うかまさに雲の中に居るのだ。

視界はせいぜい20m。
気温9度。
霧が音を吸収するのか、とても静かで不思議な空間。


須走口から20分ほど歩くと、小富士と呼ばれる側火口がある。
その辺まで行ってみよう、と歩き始めたけれどすぐに断念した。
あまりに霧が濃く、空間識失調でも起こしかねなかったから。
こんな中で迷ったら、違う世界に行ってしまいそうだ。

ふと、斜面の上に何かの気配を感じた。
何か大きな生き物がすぐ近くにいる。
鹿だ。
僕らは勿論、向こうもきっと驚いて体が固まってしまったんだろう。
霧の向こうから、僕らをじっと見つめて動かない。
立派な角の雄と雌。
山歩きをするなら見慣れたはずの鹿だけれど、
今日は何か違う、もっと神秘的な存在に思えた。
それも霧のせいだろうか。