2017年11月15日

普段は地味な樹なのに、この時期になるとハッとするほど目を引く柿。
葉が落ちて熟した実が夕日に照らされたりすると、つい見入ってしまう。
その佇まいが里山の景色に似合うのか。
あの色が秋の空に映えるのか。
それとももっと深いところで日本人と結びついているのか。

僕にとっては子供時代の思い出の樹でもある。
当時の祖父母の家には三本の柿の大木が有ったんだ。
渋抜きしたり、干し柿にしたり。
皮を乾かして漬物の甘味料としたり、柿の葉茶を作ったり。
あの古い家にいつも居た僕は、そんな祖母の作業を手伝ったっけ。

特に干し柿作りは楽しかった。
吊るした柿を優しく揉む祖母の手を今でも思い出す。
あれが干し上がる時期には、そろそろ炬燵に火が入る。
あの家に有った大きな掘り炬燵の練炭の匂い。
大人たちに交じって渋茶をすすり、干し柿を食べた。
あれはいつの事なのか。
みんなはどこへ行ってしまったのか。


先日行った山梨の温泉ちかくで干されていた柿。
綺麗だな。
懐かしいな。