ラーメンのこと2017年10月20日

霜降を前に、東京は記録的な寒さ。
昨日の朝の気温は10度を下回り、昼になってもほとんど上がらなかった。
それはこの時期31年ぶりの低温だという。
夏には記録的な長雨と日照不足。
そして週明けに台風21号が上陸すれば、上陸日歴代3位の記録的な遅さだ。

記録的とか、何十年に一度とか、そんな言葉を日常的に聞く。
それはやはり気象変動の影響なのだろうか。
僕の気象に対する記憶なんてせいぜい40数年くらい? 小学生の頃からだけれど、
それでもはやり気候は苛烈になっている。
記憶に残る夏も夕立も台風ももっと穏やかで、四季は美しかったもの。
いや、それは記憶の美化作用によるものなんだろうか。

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記憶の美化作用と言えば、子供の頃に食べたラーメンの美味さが忘れられない。
駅前の屋台で親父とすすったラーメン。
黄色い縮れ麺、硬いチャーシュー、ナルトとネギ。
そんなごく普通の醤油ラーメンだったと思う。
でもあの頃、僕はそれ以上に美味い食べ物を知らなかったと言ってもいい。
家に風呂は有ったけれど、たまに駅前の銭湯へ行きその帰りに食べた。
古い屋台、立ち食い、ワンカップを呑んでる知らない大人たち。
そんな中で食べるラーメンの美味さを、帰宅後母親に興奮気味に語ったっけ。

あんな美味いラーメンをもう一度食べてみたい。
でもそんなラーメンは存在しない。
だって、古い記憶の中にだけある美味いラーメンだから。
同じものを探したって意味がない。
親父はもう居ないし、駅前に屋台も出ていないし、僕は50歳だから。


それはともかく、この頃のラーメンの美味さには参ってしまう。
これは自宅近所に最近出来たお店のラーメン。
大山地鶏とホンビノス貝、アサリ、羅臼昆布・・の出汁に、何とか醤油とどこだか塩、
麺は国産小麦の自家製で、チャーシューは低温仕上げの豚と鶏。
チャーシューの上に乗ってるのはオリーブと香草とキノコをトリュフオイルで合えたペースト。
とにかく美味くて、もうラーメンの範疇を越えている。
うーんうーんと唸りながら、大満足の一杯をすするのだ。

でも、子供の頃に食べたあのラーメン。
もう一度で良いから、あれを食べたい。