電動自転車のこと2017年07月10日



先日、電動アシスト自転車と言うものを買った。
当初、特に電動である必要を感じず、いわゆるママチャリを買うつもりだったんだ。
自転車は、クロスバイクと折り畳みの二台をすでに持っている。
しかし、慢性化した腰痛。
その主治医は、前傾姿勢の強いクロスバイクは腰に負担が掛かるといった。
では折り畳み自転車を通勤に使うか。
いや、往復16キロ。 
買い物でもすれば20キロ近い通勤路に、あの折り畳み自転車では辛すぎる。
あれは車に乗せ、どこかへ出掛けた時の機動行動用に買ったモノなんだ。

と言う訳で店頭に通勤用ママチャリを買いに行く。
そして気づいたら、なぜか電動のコレに決めていた。
ヤマハのPAS VIENTAと言うやつ。
オプションの前カゴと共に少し安く買える通販で買い、店頭受け取りとした。

猛暑の東京だけれど、それでも納車後の10日間で100キロほど乗ってみた。
そして解った事を少し書いてみる。


---自転車としての基本性能のこと---

まず、重い。
このモデルはママチャリ型に比べ軽量だけれど、それでも21キロ。
クロスバイクの倍以上の重さは自転車特有の軽快感をそぐ。
駐輪場に置くときに少し位置を直したり、狭い路地で押しながら向きを変えたり。
そんな時、ずっしりとした重さを感じる。
30キロ以上の電動チャリも存在するし、重さからくる扱い難さが有るかもしれない。


---アシストの特性のこと---

電動自転車は、電気で勝手に走るのではない。
人がペダルを漕ぐ力をモータで補助する乗り物。
その補助力は法律で決まっていて、時速10キロまでは人力1に対し補助が2。
そしてスピードを増すにつれ徐々に下がり、25キロを超えるとゼロになる。
センサがペダル踏力や回転数などをモニタし、必要量をアシストする。
つまり走り出しや登り坂は楽だけれど、定常運転になると補助がほとんど入らない。
ある程度のスピードを出すと、アシストのない普通の自転車と同じになってしまう。


---バッテリのこと---

このモデルは、電圧25.5ボルトで容量12Ahのリチウムイオンバッテリを積んでいる。
リチウムバッテリはメモリ効果が無いとされ、継ぎ足し受電が出来る。
しかし充電するたびに劣化し容量が減る。
700回から900回の充電で、当初の半分になるという。
この半分の容量とはつまり、アシスト可能距離が半分になる事を意味する。
僕のモデルは満充電で、エコモード74キロ、標準モード54キロ走行できるという。
その距離がそれぞれ37キロ、27キロになるのが容量が半分になるという事。

バッテリは高価だから、車体価格に影響する。
小さなバッテリを積んだモノの方が安い。
でも、ある程度容量の大きなバッテリのモデルが良いと思う。
なぜなら、僕の使い方だと充電は週に1-2度。
平均1.5回だとして、700回充電するのに460週。 約9年だ。
9年後に容量半分ならば、満充電でエコモードで37キロ、標準モードで27キロ。
これだけ走れば充分実用になる。
バッテリの寿命以前に、車体がダメになるだろう。

もしこれがバッテリ容量6Ahのモデルだったら、当初は標準モード25キロ走る。
あまり乗らないからそれで充分だと思っても、
やがて容量半分にまで減ったら12キロ走ればエンプティ。
使う度に充電するもの面倒だし、バッテリを買い替えるにも現在の価格で3万以上する。
バッテリ寿命に足を引っ張られ、廃車にするかもしれない。
ライフサイクルコストを考えたら、初めから大き目な容量のモノが良いかもしれない。


---ダイエットのこと---

電動アシスト自転車は、通常の自転車よりもダイエットに有効との説がある。
通常の自転車では運動強度が強く無酸素運動になってしまい、
筋肉は付くけれど脂肪燃焼効率は低い。
電動自転車はモータのアシストにより適度な運動強度となり、有酸素運動になるという。
結果として効率よく脂肪を燃焼するという。
ホントかどうかは知らない。
でも、僕の買ったモデルにはメータ部に消費カロリが表示でき、
一回の通勤で350kcalほど消費されているようだ。
数字で出ると、なぜかうれしい。


---使ってみて---

停止からの発進は、まるで下り坂を走っているように楽。
でもそれは長く続かず、スピードが乗るとやがて普通の自転車になる。
それは上記アシスト特性によるもの。
時速20キロ程度で走っている時も、もう少しアシストしてくれたら良いのに、と思う。

坂道ではもう、普通の自転車には戻れない程に楽。
職場からの帰路には、緩やかだけれど長い坂がある。
今までは立漕ぎするか降りて押すかだったその坂も、今では座ったまま余裕で走る。
これが最も電気の恩恵を感じるとき。

定常走行では、滑るように走るクロスバイクの爽快さは無い。
スピードを出すほどアシストが減る特性からも飛ばそうという気にならない。
サイクリングに行くなら、もちろんクロスバイクだ。
でも街乗りや通勤では、電動自転車の利便性がはるかに勝る。

充電の煩わしさは、確かにある。
鍵で固定されたバッテリを外し、室内に持ち込み充電器に乗せる。
充電時間は3時間以上。
駐輪場と家が離れていたり、荷物が多かったりすれば面倒も一層だ。
慣れの問題もあるかもしれない。

スクータと比べたらどちらが便利だろう。
一時期は3台持っていたバイクだけれど、今では125ccのスクータ一台のみ。
アレに乗るには、ヘルメットを被らねばならん。
そして出先での置き場を考える必要がある。
大型店ならバイク置き場が有るが、商店街や駅前に寄ろうにもバイク置き場が無いのだ。
そしてヘタな場所に置けば駐車違反を取られることも有る。
保険のこと、事故のこと、税金のこと。
何より、歳のせいかバイクをあまり楽しめなくなってきた。
怖い、と思ったらもうバイクはお終いだ。
そしてこの頃の僕は、バイクを怖いと思うようになってしまったんだ。
10代からずっと乗っていたバイクだけれど、そろそろ引退かな。

大きな荷物が有ったり、遠くに出掛けたりは車。
好天時の通勤や、近場の移動には電動チャリ。
これからはそうなりそうな気がする。
ちなみに僕の使い方だと、航続距離はカタログ値をはるかに超える。
たぶん、アシスト領域を超えた時速25キロ以上で走る事が多いからだろう。
下り坂の出勤時はアシストに頼らず、登り坂が多く疲れている帰りは電気に助けられ。
そんな使い方が多い。
普通の自転車よりも少し高いけれど、買って後悔はしていない。