豆を炊く2017年03月20日

春分の日。
と言っても、よく言われるように昼夜の時間が等しい日ではない。
東京の昼時間は12時間8分。
すでに昼は夜に勝利している。

夜明け前の4時半、犬に起こされた。
老年期特有の時間感覚の麻痺なのか、毎朝のように暗い時間に僕を起こす。
仕方なく、1キロほど散歩。

帰宅すると、自宅の前に風船が落ちていた。
拾い上げると、幼稚園の卒園式で放った物だと書いてある。
園児の名前入りの封筒に、アサガオの種が5粒。
マップで調べると、自宅から20キロ弱の幼稚園から飛んできたようだ。
よくここまで飛んだものだと思う。
犬が起こしてくれなかったら見つけられなかっただろう。
幼稚園児と犬からの贈り物として、大切に育てることにする。

      ----------------------------------------------------------


Mの居ない夜。
往った冬を思いながらストーブで豆を炊く。
本当は暖房が必要な室温ではないのだ。
でも、この柔らかな灯りと暫くお別れかと思うと名残りが惜しいのだ。

冬は嫌いだ。
でも、この灯油ストーブが好きだ。
ストーブで煮物をしながら本を読むのが好きだ。
コトコトコト、と微かな音を聞いていいるのが好きだ。
今夜は、去年収穫した落花生を炊いている。
甘くして、療養中のMの御両親に食べてもらう。