卒業2017年03月16日

高速を2時間走り、Mの下の子の卒業式へ行く。
引っ越し用の段ボールを満載した車を、寮の駐車場へ入れた。
そして思い出す。
初めて一人暮らしをする彼をここへ連れてきたのは雨の日だった。
ガランとした学生寮に、彼一人残して帰る時の不安をよく覚えている。
あの日が、つい先日のことのように思えるのだ。

ホテルの式場で父母席に座り、卒業生たちを見ていた。
この2年の間に、じつに沢山の子たちが退学していったようだ。
競走馬に係わる職に就くための、少し変わった学校だ。
生徒たちは殆ど休むことなく、日の出前から実習の毎日。
彼らにはそれがとても過酷だったんだろう。

でもその日々を耐えた子たちの逞しさよ。
日焼けし、引き締まった身体つきに変わった彼らがとても眩しく見える。
その殆どは育成牧場への就職を決め、日本中に散ってゆく。
それでも、ここで作った利害の伴わない友達付き合いはずっと続くだろう。
みんな頑張れ。
ここでの経験は、必ずこの後の自信に繋がるはずだ。

Mの子は、オーストラリアの牧場に就職を希望している。
もうすでにその牧場での就業体験を終え、順調なら秋から働けるようだ。
これから数か月、日本の牧場で働きお金を貯めるのだという。
まだまだ先は長い。
それが上手く運べばいい。
でも挫折してもいい。
見守るしかない。

帰り道、やっと子育てが終わったとMが言う。
いやいや、子育ては一生ですぜ。
俺なんか、親の介護と看取りで学んだことが膨大に有るもの。
子育てって本当に大変だね。
でも良いものだ。