ばっけ味噌2017年03月07日



暗闇にまぎれて、フェンスの隙間から今は兄の家になっている実家へ侵入。
深夜にひっそりこっそりと、フキノトウを摘む。

僕はフキノトウが好きだ。
我が一族で、それを好むのは僕と両親だけだった。
いまや世代の変わった実家で、フキノトウは人知れず咲き萎れてゆく。
ゴミ屋敷と化したあの庭で。
錆びた自転車と捨てられた灯油タンクの間で。
あのフキとミョウガの畑を廃品置き場にしやがって。
そこは僕がずっと堆肥を入れ、いい土に育てた場所なのだ。
バチ当たりめ。

まずはよく洗い、それをサッと茹でる。
フキノトウのエグミが好きなら茹でなくても良いけれど、
それは僕には少しクセが強すぎる。
茹でたらザクザクと刻もう。
そしてギュッと絞り、フライパンで炒めるのだ。


味噌と、好みの量の砂糖。
練りやすくするために、僕は味醂と酒も少し入れる。
砂糖も多め。 こいつは少し甘めが好みだ。

それがフキノトウ味噌。
東北出身の友人はそれを、ばっけ味噌という。
ばっけ味噌。 美味そうな響きだ。


温かなご飯にのせて食べよう。
もうたまらない、春の味。
酒の肴にもいいぞ。
燗酒でやったら、言う事なし。






コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策で認証を入れます。
それから と4文字入力して頂ければコメント残せます。

コメント:

トラックバック