カリオストロと落花生2016年10月17日

自宅のHDDレコーダが、テレビを勝手に録画してくれる。
先日、どんな語句に反応したのか「ルパン三世カリオストロの城」が録れていた。
おー、懐かしいね、など言いながらMとそれを見る。
そして二人とも、台詞まで暗記している事に気付いた。
Mとこの映画を見るのは初めてだ。
互いに、それぞれの環境で過去に何度も見てきたのだろう。

この映画が公開されたとき、僕はたぶん小学校6年生だった。
吉祥寺の映画館で友人と見たのを覚えている。
その時Mは鳥取の倉吉に住んでいて、中学生。
神社の神主をしていた祖父と映画館に行ったらしい。
そんなに違う境遇に育った者同士が、やがて知り合って20年以上も一緒に居る。
面白いな、と思う。

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昨日、僕の畑から落花生を掘り上げた。

母の実家は落花生の産地だ。
子供の頃、毎年この時期になると落花生が送られてきた。
それは掘り上げたままの、干す前の生豆。
それをさやごと塩茹でにして食べるのが僕も兄も両親も好きだった。
甘く香りよく、少ししょっぱい味がする。
そうだ、親父の酒の肴や子供のオヤツに、この時期はいつも塩茹で落花生だった。

やがて母の両親が居なくなり、畑を作らなくなってしまった。
だから東京の我が家で塩茹で落花生が食べられることはなかった。
生の豆など店頭に並ぶものでは無いから。

僕が埼玉に畑を借りて、落花生を作り始めたのは8年ほど前。
長い時間を経て、また我が家に塩茹で落花生が出た日の事を良く覚えている。
両親が笑いながら懐かしみ、すっかり酒飲みになっていた僕も肴に楽しんだ。



父がいなくなり、母もいなくなった。
それでも僕は落花生を作っている。
収穫直後の新鮮なモノを濃い目の塩で50分ほど茹でる。
冷凍保存ができるから、茹でたものを小分けにして暫くは楽しめる。
酒の肴に少しずつ食べよう。

これを食べると、色々な事を思い出す。
またあの頃のように家族でこれを食べられたら、と思う。
そんな事、もう出来ないのに。
それを今は辛く感じても、良い思い出を貰った自分は幸せだと思う。
塩茹で落花生はやっぱり美味い。